2019 . 12 . 16

かなり小さい目でも顔も小さいのでバランス取って縦横拡大しました。普通に魅力的な目元にしましょう。

ブログに詳しい説明を書いても、難しくて理解できないとの感想が聴かれます。内容に少なからずの専門用語,Technical term が混じっていますが、できる限りかっこ書きや注釈、時には脚注で一般用語でに言い換えているので読むのが面倒なだけでしょう。時折一般用語での説明が足りないこともあります。お許しいただいて読み飛ばしてください。

先日自宅で家族と飲食しながら話していて、高校受験を控える末っ子の三男と他の3人で、理科や社会科のクイズ合戦(受験勉強の復習)を始めました。私はテレビを見ながら知らんぷりをしながら、他のみんなが答えられないともどかしくなり、私は出番とばかりにごちゃごちゃ口を挟み出し、しまいには派生する知識を披瀝していました。やはり長男や次男に「相変わらずうんちくばかりうるさいなあ!。」と疎まれ、私は「ブログなんかもっとうんちくだらけだぜ!、見てみろ!。」と切れました。妻は反撃して「ブログばかり書いていて仕事してんの?」と混ぜかえすから私「日中は手術しているかブログ書いているかばっかりだ。」「大変なんだぜえ!。これが食扶持なんだから!。」と言ってみて冷静になり、「でも書くのは知的作業。切るのは肉体労働、でも頭脳労働も要るよ!。」と自分を褒めながら考えてみたら、ブログを書くのに時間は要していないのです。頭の中からサラサラ文字が出てくるのをキーボードで打つだけです。

ブログの説明は症例ごとの患者さんに対しての説明にもなります。患者さんは、一人一人違う容姿から、一人一人違う容貌と機能を求めて、微妙に差異がある手術を受けますから、ブログ内の説明で反芻してくれる人が多くいらっしゃいます。読者の皆さんというか私に罹る患者さんにとっては、予備知識となります。多くの初診患者さんが「ブログに書いてあった通りの診察内容なんですね。丁寧に時間をかけ下さって有り難うございます。ところで私はどのようにしてもらえますか?。」との順で話しながらの診察と検査が進みます。その後は考えたデザインでシミュレーションしたら、患者さんも私も見た目の結果が予想出来、「この通りに出来上がるでしょう!。」と期待を持たせると患者さんは「わあ〜いいですねえ〜!」と胸を躍らせます。ブログの内容は時間短縮にはほとんどなりませんが、噛み砕いた説明の必要性は減る分少々短くなります。

本症例もじっくり読んで来て下さったので、診察はスムースに進みました。見ての通りに手術適応性が明白で、定型的な手術法が選択されました。結果はこれから提示しますが、普通にまともにできました。ダウンタイム中は感想を述べようがありませんが、出来上がりを見てお悦びになると思います。では診察内容から提示していきます。

症例は26歳女性。5月に来院し診察。先天性一重まぶたは前葉性眼瞼下垂である事は理解している。後葉はLF,Levator function 挙筋筋力=滑動距離12㎜で正常範囲ではあるが下限値。ただし内眼間(平均32,5㎜)35㎜:眼裂横径(平均27㎜)24㎜:角膜中心間距離(平均60㎜)57㎜であり、また顔面幅<130㎜と小さく、眼球も近く目の横幅が小さいので縦の開きが少ないのは当然と考えられる。画像で見られる様に蒙古襞は斜めに狗縮し、開瞼を阻害している。一辺4㎜のZ−形成術の適応でない眼角間は平均的に出来る。(脚注1)重瞼ラインは末広型(目頭部が二重にならない事)の最上線で切除2㎜が必要。

9月に再来し再診。前頭筋と後頭筋が常時収縮しているため頭痛や肩こりが強いと訴える。眉を引き上げているから皮膚弛緩が他の人より進んだのだと診断し皮膚切除を3㎜に増やすことにした。下眼瞼圧迫テスト(*脚注2)では、上眼瞼が膨らまない。眼科脂肪がヘルニアしていない状態。

画像を診ましょう。

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術前の両側眼瞼像。上の所見の通りです。いきなりデザイン画。下にいつもの線画。

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線画はZ−形成術の拡大図です。上右図の左眼瞼(向かって左)の目頭部のデザインが線画の左図です。上右図の如く閉瞼しても蒙古襞の稜線にあるab線は見えません。

IMG_2379術直後はお疲れの画像です。もちろん腫脹が亢進中で、開き難いのです。見かけ上の重瞼幅は腫脹で既に1.5倍以上に拡がっています。

下には近接画像。

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MRD,Margin Reflex Distance 直訳すると瞼縁とフラッシュ反射の距離は、角膜中心と被さる眼瞼の距離で、2㎜以上が正常。本症例はMRD<2㎜です。残念ながら当院のカメラにはリングフラッシュが装着していないので角膜中心に反射が出ません。MRDは私が物差しで測ったのです。

蒙古襞は斜め45度に狗縮しています。だから特に内側が開き難い為に眉は内側の方が挙がっています。狗縮解除はZ−形成法により唯一為されます。目頭切開(切除)では為されません。最近提唱している術式名は目頭形成術です。

術前は前頭筋の収縮が強く、眉が5㎜以上引き上げられています。前葉性眼瞼下垂症の典型的症状です。前葉性後葉性については今回下段に説明します。

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術直後の近接画像では開瞼してくれません。術中に確認しますと明らかに向上が診られ、MRDは2㎜を超えていました。重瞼線は目頭ギリギリまで出来ています。末広型の最上線でデザインして目頭形成術を併施した結果です。この形のラインが自然です。

眼瞼形成術の創は目を開いていれば見えません。閉瞼してみせれば当初は見えますが、数ヶ月後には見えなくなります。いや私達形成外科医、いや当院の医師が精密な道具で適切な方法で手術するなら創跡は細くて平らで見えなくなるのです。

その部分は非形成外科医とは天と地の差があります。亡き父(非形成外科医の代表者)が手術した患者さんを今でも何人か診ていますが、毎回ギザギザの傷跡に閉口してしまいます。そういえば先日彼岸に墓参りしましたが「何人も診続けているよ!、でも毎回文句を言われるよ!」と拝んできました。家の仏壇でも毎日の様にブツブツ言っています。上に書いた様に家族に説明しても仕様がない事です。

前葉性と後葉性。先天性と後天性の鑑別診断は治療法の選択に関与します。前葉とは皮膚眼輪筋、後葉とは眼瞼挙筋と眼科脂肪で、どの成分が開瞼不良の要因になっているかで手術法とデザインが決まります。複合的な要因の場合もあります。先天性と後天性は病歴や検査での診断されます。

先天性後葉性眼瞼下垂症では産まれつき目が開き難いので、諦めて眉を上げなくなっていく人が多いのです。逆に後天性後葉性眼瞼下垂症では代償的に前頭筋を常時使う様になっていきます。こうして頭痛肩こりに始まり腰痛まで、更に食欲不振、不眠、羞明等の交感神経亢進症状を呈します。先天性前葉性眼瞼下垂症とはイコール一重瞼です。一重瞼が先天性疾患であるのは、これまで何度も学問的に証明して来ました。後天性前葉性眼瞼下垂症は加齢に因りますが、一重瞼の人と二重瞼だった人で進行が平均15年差があります。

本症例は先天性前葉性眼瞼下垂症に正常下限の先天性後葉性眼瞼下垂を伴います。後天性前葉性は眉を挙げると進行が早いのです。後天性後葉性はこれから起き得ますが、予め挙筋を強化しておくと進行が遅れます。

何を書いてもまだ術後1週間以上経ての画像を診ないと評価が難しいでしょう。先ず術後と術直後の画像と説明です。随時画像を足して更新していきます。ところで今回のブログを書いていてやはり説明に終始しました。また周囲からうるさがられるかも知れません。今回の症例は特に良く出来たと思われますから、力が入ったのでしょう。

下に術後1週間での抜糸後の画像。

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なぜか眼球が上方視しています。でもよく開いています。

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近接画像もなぜか顔面も眼球も上方を向いて撮影しました。MRDは測りませんでした。画像上の計測も不能です。

抜糸直後はいつもの様に引っ掻いたり引っ張ったりした結果傷跡が発赤しています。実はこの時点ではZ−形成の下の辺は発赤が強くありません。ところが多くの症例で術後数週間後から発赤視、場合によって硬結し、幅が出て来始めます。肥厚性瘢痕です。術後3週間ごろから発生しますが、これこそが肥厚性瘢痕の経過です。ですから必ず術後は経過観察し、皆さんにも提示していきます。

今後の経過画像が楽しみです!。下に術後1ヶ月の画像です。

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眼瞼部の遠近画像です。上左は約1メートルからでカメラを凝視してくれました。上右は近接画像ですが、上方視しています。上を向いても黒目が隠れません。明るい目元です。開瞼も重瞼もいい形態と機能を作り上げられました。目頭形成を併施したので、よく上がり縦横のバランスも取れ、アーモンドアイが作り上げられました。

可愛いでしょう?。全顔を載せられませんが、本症例の患者さんは子供のように可愛い女子なんです。その中で目もとをキラキラさせたのがピリッと効いています。

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近接画像を診ます。術後1ヶ月ですが、肥厚性瘢痕は軽度です。目頭の傷跡がわずかに硬いので内側の重瞼線の引き込みが二股に乱れています。上の線が予定線です。下の線は術前に蒙古ヒダが被さって拘縮していた時の末広の線です。瘢痕の部にはラインが出来ないのでまたぐように二股になっています。柔らかくなったら、上の線が勝ちます。また、目頭の下にある肥厚性瘢痕どころか粒上の膨隆は、Dog earです。Z−形成術に於いてはどうしても出来ますが、約術後3ヶ月で、コラーゲンがリモデリングして置き換われば消えます。

そういう意味でも完成を待たなければなりません。でも、もう一見するとよくできています。次回をお楽しみに!

脚注1:重瞼型(平行型と末広型)で目頭切開の適応を示唆される事が多いのですが、それはビジネス的美容整形屋のセールストークです。目頭形成には二つの要素があります。ひとつは蒙古襞の狗縮が開瞼に影響しているどうか?。もう一つは内眼角間距離と比率が関与します。

蒙古襞の狗縮が開瞼低下に影響していると眉を挙げた時に突っ張るのが見えます。内外の白目の見える面積も参考になります。その後計測するのですが、内眼角間距離は一重瞼と二重瞼の人達の間に平均値で2.5㎜の差があります。だから一重瞼を二重瞼に変える先天性前葉性眼瞼下垂症二対する手術=重瞼術を施行する際には内眼角間を2.5㎜近づける一辺4㎜のZ−形成術が適切です。ただし、顔面との比率も加味します。顔が小さく眼球も近いなら目の間は近い方がバランスが取れます。眼球が離れているから内眼角間距離が大きい場合は限界があります。顔の幅があり眼球間距離が平均なら顔の外の余白があるので目尻切開の適応もあります。

この様に目頭形成術は多岐に渉る要素を加味して適応とデザインを示唆しますが、重瞼術の際には必須と言えます。

脚注2:目が腫れぼったいと訴える人が多くいます。多くの症例は一重瞼で皮膚が垂れ下がっているのをその様に形容します。前葉性眼瞼下垂症です。挙筋力低下に因る後葉性を腫れぼったいと形容する人も居ますが、機能的疾患ですから治すべきです。脂肪が単独の原因である腫れぼったい目は少ないのですが、眼瞼下垂症に伴う事はあります。そして眼窩脂肪かどうかは触診で判ります。

眼窩脂肪は眼球を包んでいる脂肪です。眼球は眼窩(骨の窪み)に嵌っているのですが、眼窩脂肪がクッションになっています。眼球を包んでいるのですが前には眼瞼があり、上下とも前葉に抑えられています。通常加齢に伴い前葉は伸展弛緩して支持力が落ちます。また二重瞼では眼瞼挙筋から重瞼線を引き込む線維がある為に眼窩脂肪は落ちませんが、一重瞼では上眼瞼縁まで落ちて腫れぼったいケースがあります。

下眼瞼に眼窩脂肪が膨らんでくる形態をバギーアイ,baggy eyeと称します。目袋とも言います。眼瞼の皮膚が伸展し眼輪筋が脆弱になると眼窩脂肪が押し出されるからです。しかも当然重力で下眼瞼に出ます。ですからバギーアイについては前葉の強化術以外は効果がありません。上眼瞼では上にも書いた様に一重瞼では瞼縁まで落ちている症例があります。眼窩脂肪ヘルニアと称されます。二重瞼でも眼球が出目の人では眼窩脂肪も押し出されているケースがあります。私がそうです。

下眼瞼を押してみると眼窩脂肪は奥に押し込まれますがその分上眼瞼にも押し出されます。こうして触診テストすると上眼瞼の眼窩脂肪のある高さが判ります。重瞼作製時には上に除けなければなりませんがヘルニア状態ではなければ取る必要はありません。太っている人でなければ、眼窩脂肪の量が多いのでは無い訳で、眼瞼下垂状態を治せば腫れぼったさも治せますから。テストで見極める事が重要です。

実際に本症例の画像を診ても、眼窩脂肪を除去していないのに腫れぼったさは解消しています。何故かというと術前は一重まぶたですが、眼瞼は眼球の前にあり、眼球は球面だから、眼瞼もそのまま前に出ているので腫れぼったく見えたのですが、術後に二重になると、上の方だけが前凸するから腫れぼったく見えなくなります。

術後3ヶ月で完成像を診ましょう。

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画像は遠近頂きました。遠いと言っても1メートルくらいですが、やや上方視してくれました。キラキラしています。近くは50センチくらいです。やや下方を見てくれました。それでもよく開いています。そして前頭筋が収縮していません。術前には、力強く眉が挙がっていて、硬い表情に見えていましたが、本日来院された際には優しい顔立ちでニコニコされて可愛い女子でした。こんなに雰囲気が変わるものですね。

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二重の幅が微妙に違って見えますがよく見ると、眉の動きがまだ若干あります。両側眼瞼像を見直すと、眉の高さに差があり、当然に重瞼幅に反映しています。さらにその目で見ると、術後早期は眉を動かしていませんから、左右差がほとんどありません。デザインが違うのではありません。また開瞼の差も診られません。

患者さんはキラキラと明るく笑顔でいます。目元は顔とのバランスも重要です。眼瞼部だけの画像提示の契約なので載せられませんが、小柄で顔も小さいので、眼瞼横径との比率が5等分で理想的と言えます。数字的にも適切です。

こうしてブログ掲示は手術後3ヶ月で終了しました。可愛く出来上がって、キャラクターも優しい人ですから、今後も診ていきたい女性です。メンテナンスは必要なさそうですが、なんかあればいらっしゃいな!

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用は眼瞼下垂症の診断が得られれば保険診療で3割負担は約5万円(出来高請求です。)目頭形成術は角膜に掛かる程でないと保険は適用出来ません。自費で28万円+消費税。