眼瞼下垂症は疾病(病気)です。一重瞼は先天性異常です。アジア人の中でも新モンゴロイドとされる人種は突然変異に因る遺伝子異常を継承しています。いきなり学術的な説から入りました。私は医師ですから、医学という科学に基づいた医療を役目としています。
ホモサピエンス(現生する人間種)は約20年前にアフリカで発生したミトコンドリアイブと称される人の遺伝子から派生しました。彼等は全員二重瞼でした。約5万年前に南アジアや中央アジアに進出して変異してきたのがモンゴロイド人種ですが、まだ二重瞼でした。約2万年前に北東アジアのモンゴルからシベリア、その後満州国方面に進出した集団が、一重瞼と蒙古襞を発現する突然変異遺伝子が蔓延しました。寒冷地適応と不毛の砂漠地帯での適者生存競争の結果として、目が小さい人が生き残る環境だったのです。彼等を区別して新モンゴロイド人種と称します。ちなみに腋臭症でない遺伝子や体毛が少ない遺伝子も同時期に新モンゴロイドに発生した遺伝子です。
有史以来彼等は中華国に進出し、その後朝鮮半島を経て日本列島にも上陸しました。日本には南からの古モンゴロイドが上陸していました。彼等は二重瞼です。渡来人が持って来た一重瞼の遺伝子は混血し、メンデルの遺伝の法則により、今や日本人では二重瞼と一重瞼は半数ずつとされています。学術的統計が存在します。
もう一度書きます。寒冷で砂嵐の吹きすさぶ環境では一重まぶたが生き残るやつだったのですが、今現在日本反その様な環境にありあません。でも数千年単位では遺伝子は変異しません。だから、進化し東アジア人は人間の知性を使って二重まぶたにしてきたしするべきです。もちろん同座遺伝子にある蒙古襞の拘縮も治さないと不自然な形態となります。一重瞼は人類の元々の遺伝子では無く人類の中では異端です。いずれにしても知的作業や精密な作業をするためには目が大きい方が優位なのは自明です。国を挙げて提唱するべきです。事実韓国や北朝鮮では(中国も)、人格の一部として一重瞼で先天性皮膚性眼瞼下垂症の形態は機能障害として治すのが当然の情勢となっています。日本は東アジアでは医学や科学技術が進んでいたのですが、戦後の高度成長期に、逆に余り巧くない医者が美容整形を蔓延らせた為に、一般市民の間に忌避観念を植え付けてしまいました。結果的に美容形成外科医療の面では日本はアジアの後進国に成り果てました。なんとかミクスで金をばら撒いていないで、国民の機能を向上させる手術をばら撒けば、もう一度先進国入りできますよ。
昭和51年に形成外科、昭和53年に美容外科が国会で承認され、特に形成外科医は研鑽を重ねました。医学的に高度で有用な知識と技術は10年単位の研修を要するのは当然ですから、大学病院級の施設でしか身に着けられません。卒後数年で美容外科チェーン店に就職しても身につける余地はありません。結果的に日本の美容形成外科医療は進歩しなかったのです。
症例は50歳女性。二重まぶたはこれまでラインを修正している。加齢により皮膚弛緩してきたが、眼瞼挙筋は働いている。前頭筋は常時収縮していて左右差もある。挙筋機能(滑動距離)は正常で、瞼縁も挙がっているが、前葉が落ちている。前葉を挙げる為に埋没法、当院得意の黒目整形の一方の方法MT法を適用した。
上は術前二葉。
上は翌日の二葉。まだ経過中です。今後の画像が楽しみです。
眼瞼下垂症は前葉性と後葉性、先天性と後天性に分類します。分類は診断に基づき治療法の選択肢提示するために必要です。
前葉性とは、眼瞼の前部分の成分つまり皮膚、眼輪筋及びSOOF,Sub Orbicularis Occuli Fatが弛緩して開き難くなる状態。後葉性とは眼瞼の後方の成分つまり後ろから結膜、ミューラー筋、眼瞼挙筋、眼瞼挙筋腱膜、眼窩脂肪が弱まったり伸びて眼瞼を開く力が瞼縁に伝わらない状態です。
先天性と後天性は読んで字の如く、原因が産まれつきとけ加齢性経年変化の分類です。先天性前葉性はイコール一重瞼の事。先天性後葉性(主に筋原性)は産まれつき眼瞼挙”筋”の筋力が足りない事。後天性前葉性は皮膚、眼輪筋が伸展して来る事。成人後10年で約1㎜ずつ伸びます。第一眼位で瞼縁よりも下まで被さると眼瞼下垂症状を呈します。後天性後葉性はほとんど腱膜性です。眼瞼挙筋筋力は正常でも挙筋の下方の腱が瞼縁の瞼板から外れてしまう事で、挙筋の牽引力が瞼縁に伝わらなくなり、開瞼が不足になります。ミューラー筋は外れていないので、一生懸命に力を入れれば開きます。
眼瞼下垂症はいくつかのメカニズムで起きます。ですから、鑑別診断が必要です。診断は治療法の選択に関わります。経験と知識を要します。何でも埋没法で対応するしかない駄目な医者に掛かると、時間とお金の損失だけで、形態と機能の改善が得られない事になります。多いんですよ!。
上段に難しい理論を書き並べました。これは眼瞼の埋没法も医学的見地で診療しているからです。美容医療も商売では無く医療行為です。国民の多くは自費診療は金儲けだと思っているかも知れませんが、大間違いです。反知性主義政権を支持するのと同根です。美容形成外科医療は確かに個人差のある医療です。そこにある形態と機能は千人千様だから、理想に近づけるにしても診療法は千差万別です。だからこそ、診察により治療法を選ばなくてはならず、その選択の基盤として豊富な学門的な知識を抱えていないと不可能なのです。もちろん巷間のTVCMを打っているビジネス的美容医療機関は、知性に基づいていません。反知性主義とは”知恵”を金儲けに向ける方法論ですが、知性はロジカルな部分の理解と思考を駆使することで、哲学のレベルになる方法論です。
過日尋ねられました。「先生博士なんですって?!」私は「美容医療の題材で医学博士を取得したのは日本中で私一人しかいないでしょう。国会図書館に行けば証明出来ますよ。」と軽く答えました。医学博士は洋語でPhD. M.D.:Physical Doctor, Medical ですが、直訳すると哲学博士、医学分野です。学問を究める事は哲学だと昔から考えられたからです。だからといって私が哲学の高みに達しているとは思いませんが、産まれながらの美容形成外科医である私は、その分野でのそのレベルを目指しています。
下に術後1週間の画像二葉。
可愛い目元ですねと申し上げましたら、恥ずかしそうに笑顔で写ってくれました。
下には術後2週間の画像。
何気なく眉をちょっと挙げた瞬間と目力を入れた瞬間の二葉を診ましょう。上左図は優しい目元。上右図はキリッとした目元。意識下のではないと思いますが、逆に言えばどちらの表情も使えます。目が開き易くなると表情が豊かになります。微笑みも見つめる目もどちらも魅力的です。今回は患者さんに対してコメントするのを忘れました。嬉しそうな表情を見たかったのです。
上には術後1か月での画像二葉。とても満足そうな表情です。次に進む話しは次回にしましょうと申し上げたら、ニコニコされていました。
MT法は埋没法ですが、他に比べていくつかの優位性があります。
第一に診断が確かな点です。医療ですから診断の下に治療方針を決めます。眼瞼下垂症を伴うか?、その原因は?等々上に書いた様な検査と診療が必要です。私は美容形成外科医として、慎重に判断しています。
第二に道具が違います。局所麻酔は当院で開発された世界一細い針を使います。細い針は取り扱いが難しく、上手に刺さないと簡単に折れますから、美容形成外科分野以外野医師には使えません。またビジネス的金儲け主義の美容整形クリニックは広告料の元を取らなければならない分、私達の2倍売り上げなければならないので、忙しくて優しく注射している時間がないので細い針を使えません。細い針だと内出血の率は格段に下がります。更に糸を皮膚に通す際にも血管に当たる可能性がありますが、予め決めた点に孔を開けて、電気メスで焼いておくと出ません。この電気メスも世界一細い針と同じ太さですから、血管損傷が避けられます。
第三に手技上ですが、挙筋法のみ行ないます。瞼板法は二重の解剖学的構造になりません。しかもキツく締めないと糸が露出して危ないので血行を遮断して浮腫み腫れます。挙筋法を遊びを作って結ぶと自然で取れ難い二重が出来ます。チェーン店系ではより方を知らないし教わらないのです。
第四に糸も細いのに緩まない、当院で糸の会社に特注で作らせた物を使います。通常の倍額します。切り糸の10倍します。でも明らかに持ちがいいのです。私達は広告費に費やさない分道具や糸や針にコストを掛けていますが、実は全体では10%程度の差です。
優位性はまだまだあります。当院のオリジナルの切らない眼瞼下垂を必要とする症例では、手技には他に教えていない特殊技術を使うので、戻りません。他院で盗んでやっていますが、直ぐ戻って内に来てやり直す患者さんが頻発しています。
術後3ヶ月で診ます。
埋没法は取れるとしたら、3か月がヤマです。糸は切れません。ほどけません。その様な事が起こればテクニカルエラーです。もちろん溶けませんし、劣化はしても糸の周りに瘢痕が出来ます。「取れる!」と言うからいけないのですが、「外れる。」事はあります。糸は眼瞼挙筋と皮膚または眼輪筋再浅層を繋いでいます。筋からは外れませんが、皮膚からは外れる事があります。皮膚はコラーゲンですが、創跡を治す為の幼弱なコラーゲンは脆く裂けることがあります。3か月で置き換わります。その前に皮膚から抜けてしまう事があるのです。約3か月で成熟したコラーゲンが包み込めば、かなり強い力を掛けなければコラーゲンは切れなくなります。
もう一度記しますが、埋没法の糸は皮膚から外れる事はあります。でも眼輪筋の最浅層に引っ掛かっていれば挙筋の収縮による牽引挙上力は働きます。二重瞼は挙筋が眼瞼後葉(挙筋と眼窩脂肪)を開く際に前葉(皮膚と眼輪筋)も持ち上がる構造です。挙筋からコラーゲンの線維が枝分かれして皮膚へ達しているのです。私が20年前に走査電子顕微鏡写真を撮って証明しました。
本症例でも皮膚がクッキリ挙がっていませんが前葉全体は挙がっています。だから前葉が瞼縁を隠していません。額の筋=前頭筋を強く収縮して眉を挙げ、眼瞼皮膚を引き上げなくても充分に視界が得られます。
しかし糸を掛けたのは二点。眼瞼の横径が25㎜だとして、二点の糸は10㎜間隔で二カ所にしています。上の画像で診てもだいたい黒目(角膜)内側の上あたりから浅くなっています。外側は折れ返りの癖で目尻当たりまで引き込みがありますが、引き上げは弱くなり目尻から所謂垂れ目になっています。患者さんも「垂れ目と云われて来た。」と述べました。
日本人には垂れ目と称される人が多く見られます。本当の意味では違いますが後段に説明するとして、もちろん一重瞼なら目尻まで被さりますから当然垂れ目になります。そして一重瞼の人は、開瞼時に前頭筋を収縮して、眉を挙げて、眼瞼の皮膚を持ち上げる反射運動が常時起きますから、皮膚が伸びて目尻から外側の被さりが余計に多くなります。
因みに、眼瞼の傾きとは目頭と目尻を結んだ線を診ます。アジア人では水平の人は少なく平均約5度は吊り目です。英語ではMongolian slantと云われ、差別用語です。白人や黒人では水平が平均です。何故そうなのかというと、骨格と蒙古襞の影響です。蒙古襞は英語でMongolian fold ですから人種の遺伝子が規程しています。
重瞼術は挙筋の牽引力を前葉に伝える構造にする方法ですが、挙筋は幅約20㎜しかありませんから、目尻付近は挙げられません。相手が無いのです。つまりアジア人では皮膚は被さるので切れ長の窓になり難いのです。
でも逆に、日本人の中でもバリエーションがありますから、前葉性の垂れ目が目立つなら外側を挙げたい気持ちが募ります。そこで私が開発したのが切れ長整形です。目尻の外側には眼窩骨があり、それを相手にして繋げる方法です。強さの調節が難しく、私は20年来試行錯誤してきました。時に強過ぎて緩めたり、弱過ぎて締め直したりのこともありました。でも調節できます。
本症例は本人が「垂れ目と云われた。」ので、切れ長整形の適応性が高いと言えます。近々検討課題とします。その際もブログ提示が出来るといいですね!。