2020 . 2 . 7

とてもこの年齢に見えない美人。口周りから手術開始。

最近、来院される女性に美人が増えています。二つの要因が考えられます。一つは美容医療に罹る患者さんが増えたから。ダメノミクスが国民の一部には効果をもたらして、経済力に余裕ができた人が居ること。インターネットでの情報(あくまでも情報であり知識は希薄)により、目にする機会が増えたから、身近になったからです。その意味ではこのブログも寄与しています。もう一つは、口周りの手術を受ける患者さんは、いつも私が書いてきた様に”最終兵器”として罹るから、他は大体出来上がっている人が多いし、”最終兵器”まで到る患者さんは美容的センスが旺盛だからです。美人になりたい。美人でありたい。美人を保ちたい願望を持つことは美人の条件です。逆に美人はより美人になる資格があります。その意味で本症例の患者さんは合致します。

実は私が正直だからです。美人には「綺麗ですねえ!。」とまず誉める。うっとりしてみせる。更にどの面が美人の条件を満たしているかを説明する。数年前のブログに簡単に書きましたが、美しさには基準があります。個体差は個性ですが、最上の美は模範があり解明されていて、国民も人間全体の大多数が無意識に認知しています。逆に言えば大多数が認める造作が美の基準ですし、私達は美の専門家ですから、その模範像を計測して数字的に科学的、知識として持っているべきです。

私は来院者を一目見て「これは美しい!。」と思ったら直ぐに計測する癖があります。その瞬間「この点では美人の条件を満たしていますね。」と言いながら「この点は改善の余地があります。」と告げて診療に到ります。通常来院する患者さんは、改善点を希望して私に告げますが、ほとんど多くの場合は私の見立てと合致します。そして少なからずの機会には、他の問題点をも見出して告げるのですが、約半数の患者さんは理解して、場合によってはそっちからと言うことにもなります。残りの半数の患者さんは「余計な事言わないでいいのに。」という反応で希望部位の話しに戻ります。

本症例の患者さんとは何回かの診察の機会があったので順番を忘れました。まだまだ多くの相談をしました。ところで最近整形サイトが横行しています。ある患者さんが私の名前を書いて「先生はいつも私を『可愛くて綺麗でよく出来ている。」って言うのが嬉しい。」と説明していました。そうです。私は正直に誉めただけです。美人は好きです。他の患者さんを誉めたら「私は先生の作品ですから、美人で当たり前です。」といた人も居ました。本症例の患者さんも美人の要素に満ちていますしとても年齢に見えません。これからも診ていきたい患者さんです。

症例は45歳に見えない?!女性。遠方から来院。ショートヘアーを売り物にしている主婦。一昨年に当院を初診。鼻に軟骨が入っているが糸を足した。同時に顔中にスレッドリフトしたがつまらなかった。その間私にも罹った。

その際の診察所見では白唇(毎回書きますが、皮膚の部分も唇です。日本人だけが知りません)の長さは(鼻柱基部〜赤唇縁のCupid’s bow,の陥凹点=言い換えると山の噴火口)19㎜。顔面の縦比を診ると上顔面(生え際〜眉下)78㎜:中顔面(眉下〜鼻下)60㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)64㎜とやや下が長い中で上口唇(鼻下〜赤唇交連{上下の赤唇が接する}の中央)の矢状長25㎜:下口唇(交連〜頤尖)39㎜であり、上下の比率を黄金分割比の5:8で計算すると上も下も長い。しかも白唇が直線的で中央が前突。計算上5㎜短縮が適応で、外反C-カールの作成が必要。顔面横比は内眼角間32㎜:鼻翼幅36㎜:口唇横径46㎜でこれも黄金比率に合わせると口角は横に2×2=4㎜拡大可能で口角挙上術は40度方向に5㎜挙げられる。鼻翼縮小も検討の余地あり。

その後昨年11月から私に口周りの診療を再開。実はFLは1年前に他院で受けたが、側頭部が挙がっていない。目尻をちょっと挙げたい希望。頬骨隆起部が横に凸なので剥離して挙げたいとの診察から入りました。

進まないのでもう一度口周りの診察をしました。67/25:42でも4㎜切除可能だと考えた。頤の梅干しはあるが気にしない。E-ライン(鼻尖と頤前縁を結ぶ線)より口が3㎜前にあるが頤を前に出していくなら解消していきます。鼻翼は他院で治したので不要となった。口唇は拡大したい。やはり口角挙上術は40度方向に5㎜の適応と示唆した。術後は2週間、日常的に上口唇を伸ばさないように注意して手術スケジュールを立てることにした。また鼻の糸が出たので抜挙しなければならないが、多分抜くと鼻が上を向くのでその際は軟骨移植を追加するかどうか検討要。もちろん上口唇の手術後3ヶ月はおく必要がある。

手術当日口角は下がっている方なので、40度方向でも6㎜挙上に増やした。

画像は術前から。

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正面像でも近接像でも口角の下垂は明らかです。口唇横軽が小さいので、口の外側の余白が広い。白唇は長いが、もっこりでなく平板。人中は明瞭で赤唇縁の弓型も明瞭。

IMG_5451IMG_5453斜位像や側面像ではE-ラインより口が少し前ですが、下品ではない。鼻線は上にありいつか治したいかも?。白唇はC−カールというほどは反り返っていないのですが内反でははない。

下にはデザイン画。

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術前に精密に診察した結果の評価の後検討したデザインです。

上口唇短縮術は両側鼻翼間を4㎜切除して引き上げます。ご覧の様にNostril sill(鼻の孔の底の入り口の膨らみ)がはっきり土手状なので、その下を切開するべき症例です。もし鼻の孔の中で切除すると、鼻の孔の中が丸見えになります。そうしたら治せません。

口角は真上から40度斜めに倒した方向に6㎜引き上げました。計算すると、横にはsine40度×6=3.8567••㎜ずつ拡大し、上にはcos40度×6=4.5963••㎜挙がります。鼻翼の真下までなだらかにあげるデザインです。

下に手術直後の画像。

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鼻翼が横にも下にも引っ張られます。表情筋の中でも弱い鼻翼挙上筋がダメージで効かないために鼻翼が下に引き下されますが、回復に数週間以上罹ります。鼻翼が横に引っ張られるのは口輪筋の回復に伴い戻りますが、通常1ヶ月は罹ります。どちらにしても元の位置に戻っていきます。

IMG_5460IMG_5462斜位像や側面像では、腫脹に因って白唇のみならず赤唇も前突します。あくまでもE-ラインより口が前だと頤に梅干しができるのは仕方ないのです。不随意に下口唇をあげて口を閉じようとするからです。これも口輪筋が回復すると、上口唇が閉められる様になりバランスが取れて下のオトガイ筋が弱まり梅干しが軽減します。

頤の梅干しは頤筋の収縮でできます。

術後1週間で大部分抜糸しました。下に画像。

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いつもの様に鼻翼の横の糸は残しました。でも糸は見えないでしょ?。創の赤さの方が目立ちます。真皮縫合を強固に密にすれば創跡の線は幅がゼロミリで停まります。創の癒合する面は表皮層(表面から深さ1㎜以下の細胞層)は術後1週間以内に着きますが、真皮層(約2㎜のコラーゲンの層)は強固になるのに術後約3か月掛かります。その間にどうしても引き離す力が掛かるので着きかけた真皮層が切れて、新たに再生するコラーゲンは足りなくなり、表皮層は引っ張られて薄くなりツルットした帯状になります。創跡が目立つのはその幅があるからです。もちろんそうなれば創跡の幅が出来るので手術で短縮した効果も後戻りします。真皮縫合を密にして、真皮縫合が終わった時点で隙間が無くしていれば真皮縫合の糸は3か月寄せ続けますから幅が拡がる事はありません。その様にするには時間と手間と技術を要します。形成外科医でなければ出来ませんから、チェーン店の美容外科に陥れられない様にしましょう。ちなみに私は年に約200例の上口唇短縮術の中長期結果として後戻りゼロ症例が99%です。逆にチェーン店で上口唇短縮術を受けた結果後戻りした症例は年に10例以上来院します。困ったものです。

IMG_5687IMG_5689術後1週間では腫脹はまだ505程度残っています。50%とは、術後48時間のピーク時と比べてです。実際終打つ翌日に見ると手術直後より腫れていました。また手術野の表情筋とそれを動かす神経(顔面神経の枝)は局所麻酔や腫脹でダメージを受けますが、回復には時間が掛かります。しかも筋ごとに時間差があります。口輪筋は術後約2〜4週間、鼻翼挙上筋は1か月以上掛かります。読者の皆さんも今後の経過を見て下さい。

今回術後1週間まで提示しました。術後2週間で全抜糸しますからもう一度見ましょう。手術後は1週間と2週間では結構回復が進んでいますよ。お楽しみに!

術後2週間です。

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機能回復の程度は画像からは分りませんが、創跡の回復は進んでいます。形態的にもなかなか出来上がりつつあります。という事は周囲の表情筋の機能回復も進んでいるのでしょう。ただし若干創跡の発赤が強い方です。これは個体差ですし、運動制限の度合いもマチマチですから気をつけましょう。

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斜位像でも側面像でも、いい形です。笑顔に見えて素敵です。ほぼダウンタイムをやり過ごして社会復帰するそうです。次回術後1か月をお楽しみに!

術技1ヶ月の診察です。実はその前にも来院され計測しました。実は他の部位の話もしたかったからですが、上赤唇を下に引き下ろしてみると、傷跡の線が0.5㎜程度拡がり、白唇が伸びます。患者さんには引き延ばさない様に注意しているのですが、私だけは検査としてしていいのです。

それだけではいけないことしている様なので、患者さんに説明します。創が癒合するのは、真皮層の面にコラーゲンが析出して、糊の役目をするからです。術後3週間くらいでほぼ全面が癒合しますが、当初のコラーゲンは幼若なタイプⅢです。幼児の成長期のコラーゲンです。成長時はどんどん新しいコラーゲンを作るためです。幼若で、軟らかいために引っ張ると伸びます。例えれば、糊が乾く前に糸を引く様な状態です。

コラーゲンはどこでも、3ヶ月で新しく置き換わります。そう癒合に寄与するコラーゲンもそうで、手術後に癒合が始まってから3ヶ月には成熟コラーゲンのタイプⅠに置き換わります。だから手術後3ヶ月が完成時期なのです。

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術後1ヶ月で傷跡はまだ赤いですが、(幼若な傷跡は材料動員のために毛細血管拡張している)標準的です。計測しましたが、14、5㎜で短縮しています。傷跡が癒合する際に幼若なコラーゲンが成熟する際に周囲のコラーゲンも収縮します。その段階で一度わずかに短くなる様です。

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斜位像でも側面像でも、優しい口元です。赤唇の厚みと弓のカーブ、白唇短縮だけでなく人中も明瞭で可愛いです。年齢不詳です。

当院は、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。