2022 . 6 . 7

何年振りかに切らない眼瞼下垂手術=黒目整形=NILT法。どうしても落ちますが追加は可能です。

眼は左右にある二つの臓器です。 眼瞼は開いて見る閉じて守る為にあります。ですから、目を開いて活動する際に、目の窓が形態的に非対称だと気になります。しかも眼瞼の形態は機能に依存します。機能は目の開閉の程度ですが、開閉度は重瞼にも影響しますし、開瞼は皮膚の挙がり程度である重瞼に影響されます。

ですから眼瞼の形態の改善、つまり機能の診療に於いては、何が改善の余地があるか?、どの様な経過で生じた問題か?を診断しなければなりません。診断は治療法の根拠です。

まず眼瞼の機能低下の部位を前と後ろに分けて考えます。眼瞼は葉の様に薄いので、前葉と後葉と称します。前葉成分は皮膚と眼輪筋(目を閉じる筋)で、後葉成分は眼瞼挙筋(目を開く筋)と眼窩脂肪です。基準として第一眼位(顔面を正立しての正面視)での見た目で検討します。前葉成分は、一重瞼で目の前にかぶさると眼瞼下垂状態です。加齢で前葉成分が伸びても目の前に被さります。後葉成分の挙筋は、普通に開こうとしてどれだけ開いているかですが、第一眼位で角膜(黒目)の上が2㎜以上隠れていると下垂とされます。また一重まぶたで眼窩脂肪が多く被さっていると、腫れぼったいだけでなく開瞼を阻害します。

もう一つ、病態がどの様な経過で生じたかも診断しなければなりません。先天性か後天性かの鑑別です。まず、一重瞼は先天性前葉性眼瞼下垂です。人類の中で東アジアだけに発生した突然変異です。後天性前葉性眼瞼下垂は、加齢に伴い皮膚、眼輪筋が伸展することで誰でも起こりますが、一重瞼の人は若くして被さっていますから進行が早いのです。先天性後葉性眼瞼下垂症は、生来眼瞼挙筋の筋力が弱く産まれて来た状態で、筋力は回復しません。後天性後葉性眼瞼下垂症は、眼瞼挙筋腱膜が瞼板(眼瞼の縁の硬い部分)に付着していなくなる変性疾患で、筋力そのものが低下する訳ではありません。

夫々に適した治療法があります。

先天性前葉性眼瞼下垂症である一重瞼は埋没縫でも切開法でも重瞼術が必須です。美容目的に限りません。異常な機能と形態を放って置いてはいけません。

後天性前葉性眼瞼下垂症は加齢性とか老人性とか謂われたり、仮性眼瞼下垂症とも謂われますが、伸展して余剰な皮膚、眼輪筋を切除しなければなりません。切開線は重瞼線に有れば開瞼時には見えませんから、二重瞼の症例は線を変えませんが、一重瞼の症例は二重瞼にしなければなりません。だから一重瞼は予め二重瞼にしておくべきなのです。また、皮膚切除が目的なら、眉下切開でも可能です。どちらかというと眉下の方が楽に受けられますが、創跡が顔の前にある数少ない美容形成外科手術ですから、その名の通り、真皮縫合の上手な”形成外科”で受けなければいけませんよ!。美容整形屋やチェーン店系は不可です。

先天性後葉性眼瞼下垂症は生直後に目が開いたら判ります。角膜の中央まで隠れる程の重症なら視力の発達を妨げない為に早期に手術を要します。眉と瞼縁を繋げる方法です。軽症では糸で吊り上げておきます。中等症までなら、挙筋”短縮”術で可能とされますが、目が閉じにくくなる程度には挙げられません。挙筋機能に依ります。

後天性後葉性眼瞼下垂は挙筋腱膜を瞼板に縫い止めれば治せますから、切らない眼瞼下垂手術でも、切開法でも可能です。切らない眼瞼下垂手術は結膜側から挙筋腱膜と瞼板を繋ぐ技で、当院の十八番です。ちゃんと糸を掛ければ、永久とは言いませんが、年単位の半永久的効果があります。LT法と称します。Levator Tacking の略で、タッキングとは、ズボンのタッキングと同じ様な縫い留めの意味です。切開でも短縮しないで縫い止めるだけで良いので手技が簡便ですが、腫れます。なお先天性後葉性眼瞼下垂症にはLT法をすると、結膜を縫縮するから一度は挙がりますが、早いと数日で、長くても数週間で直ぐ戻ります。

今回の症例提示に際しては、これまでの経過の画像を一部再掲していき、その度に適応する複数回の手術が意味を持つ、または可能であることを観せていきます。

症例は45歳女性。初診は6年前です。その一年前に皮膚科?!で埋没法を受けたが眼瞼の開瞼の左右差が気になり当院を受診しました。ソフトコンタクトレンズ装用していて後天性後葉性眼瞼下垂症が進行した模様で、窪み目も生じていました。挙筋筋力は右11㎜で左13㎜と先天的には右側が重症でした。でも右眼瞼にフェニレフリンテストしたら左も落ちました。ブジーでシミュレーションしたら、重瞼線の上に前葉成分が持ち上げられて膨隆するから眉下で弛み取りを併施することにしました。都合で日時をずらしてまず眼瞼埋没:右はNILT法、左はMT法を施行しました。眉下で皮膚と皮下脂肪全層を4㎜切除しました。下左図は初診時、下右図は眉下後です。右は開瞼が強化され、二重は整いました。窪み目は後葉性眼瞼下垂に伴っていて治りました。眉下で前葉性眼瞼下垂症を改善しました。

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左もその後NILT法を追加施行しました。1年後に右側の前葉が落ちてきてMT法、左側の開瞼が低下したのでNILT法を追加施行しました。下左図が術前、下右図が術後です。左側の開瞼が低下して窪み目が再発しました。術後は改善されました。

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2年前に再来。右は徐々に落ちてきたとのことで、挙げた分の半量落ちていました。生来左右差はあった模様です。窪み目も生じたため、これは前葉成分の問題もあると考え、まず眉下の追加切除から希望されました。3㎜切除しました。重瞼や挙筋についてはその後に手術する予定を立てることにしました。下左図は術前、下右図は術後です。眉を挙げなければ開かなかったのは前葉成分が邪魔だからですが、窪み目は完全に治っていません。後葉性の改善をしようと考えていたのですが、2年前は見合わせました。

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ところがその後2年間は来院されませんでした。今回来院されて、今度は左の開瞼が低下して、重瞼が広くなったのが判ったと申告されました。挙筋が弱って開瞼が低下すると重瞼が広がるのです。いわゆる眠そうな目になります。患者さんはよく理解していらっしゃる。今回は左NILTだけを希望しました。

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上に今回の術前の遠近二葉。重瞼の差が見えます。開瞼の差は重瞼の差で判ります。

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上に今回の術直後の遠近二葉。左右比較すると明らかに挙がり過ぎに見えます。オーバーコレクション(過度の修正),Over correctionです。必ず半量は後戻りするからです。

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上には術後2週間の遠近二葉。左右の形態と機能がほぼ同等です。

下に左眼瞼部の近接像を追っています。

IMG_9188術前は重瞼がこれまでの様に広い。

IMG_9191術直後はオーバーコレクションの為に重瞼が狭くなります。

IMG_0162丁度良い開きと重瞼幅になってきました。

術後2ヶ月です。

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遠近(上左図が遠景、上右図が近景)で眼瞼の力の入り具合が違います。接近して撮ると、つい引いてしまい目を細めますが、離れて撮る瞬間に「レンズを見てください!。」と言うとグッと開きます。逆に言えばそれだけ目元の表情に幅が出るのです。

IMG_0631最近接画像では細めてしまいました。もう一度画像を頂く約束になっていますので、ぱっちり開いていただきましょう。

術後3ヶ月で完成を診ましょう。

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私が診察室に入るとこの画像を撮影していた患者さんは、いきなり、「よく出来たわあ〜!。」とお喜びでした。「周りにも褒められました。」と言って下さいました。私は診察中にこれまでの画像を視て「これまでで一番かな?。」と、惚れ惚れとした視線で見て「引き込まれそうな目元ですね!。」とかうっとりとしながらも嬉しくなりました。

IMG_1384相変わらず近接画像の撮影時にはカメラが近寄ると、開瞼を弱めてしまいました。

でも患者さんは「今回が一番綺麗ですね。」と言って下さいました。めでたしめでたしですが、私は「再発しないといいですね。」と言うしかありませんでした。「その際はいつでもどうぞ!。」とも添えました。

当院では厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守し、ブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。

症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えます。NILT2点法は、消費税込みで両側22万円、片側では11万円+税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。