症例が増えるごとにいろいろなことが解ります。富士山型が増えています。どうしてか考えました。私は今や最多症例でしょうが、SNS上では私以外にもたくさんのクリニックが載せています。流行を作った訳ではないのですが、私の症例が評判で他のクリニックも追随しようとしているのでしょう。ただし所詮真似っこですから、細かいデザインは間違うし、術前診察が稚拙なのでバランスが崩れる症例が多発しているのでしょう。残念ながら今時の若い医師や新参医師には、素養と技術、医学的知識を兼ね備える暇はないようです。ましてや、なんとかミクスに乗じたビジネス的非形成外科医には無理難題でしょう。
今回の症例は私が口周りを三回目の手術をする人です。前回のブログも前々回のブログもあります。追加修正手術と別の手術を同時に行います。なかなか難しい症例です。どんな手術でもやりすぎると戻せませんから問題が残りますが、足りない部分は追加で治せるので、場合に依っては、要するにやってみないとわからない部分もある訳です。そしてこのように追加修正と別の手術を加えて効果を得ようと考えるのは正しい選択だと思います。今後の方針は白唇部(人中部を除く)短縮術追加と鼻翼挙上術を予定します。頤骨切りも検討します。口角挙上術の追加はその後評価してから。更に鼻を高く細くする希望もありました。
症例は35歳女性。半年前他院(知り合いだが非形成外科医)で白唇短縮術を受けた。20mmを6mm切除して14mmにしたが後戻りして16mmになった。傷跡が2mm拡がったものと考えられた。Nostril sill に傷跡と糸の跡が目立つ。鼻翼下の切除幅を減らした模様で富士山型になった。切除幅を鼻柱基部3mmで外反し、鼻翼下は5mm。シミュレーションで口は閉じられる。
顔面横部品の比率を診ると、内眼角間距離32㎜:鼻翼幅36㎜:口唇幅46㎜です。黄金分割比率を適用して口唇幅を51mm目標にしたいが、上に挙げなければ富士山型を治せない。30度左6mm、右5mm。鼻翼は不要。
約1か月後再診。人中部4mm、鼻翼基部は6mm可能。口角は左7mm、右6mm可能で30度方向に上口唇は10㎜内側まで=鼻翼下まで。上下口唇(赤+白)が23:42なので黄金比からして頤骨切り術を要する可能性は示唆した。
2回目手術(私の1回目)の画像の術前、術直後から載せます。
正面像ではいつも以上に腫脹が強いです。二次手術ですから。実際術中にも口輪筋が一部切除されていたようで瘢痕が多く、血行状態が不良でした。その結果静脈還流が低下しますから腫れます。近接像ではデザインを見ましょう。鼻柱基部から下4㎜、鼻翼基部したから6㎜の切除幅です。そして口角は術直後にデザイン通りの形になっていますよね。
斜位像と側面像では二回目ですから腫脹が強く外反が強調されています。赤唇もです。本症例は二次手術ですが、わざわざ私に依頼してきたように患者さんは、顔面の形態のバランスを重要視しています。あえて評価を訊きましたら、「やはりもう少し切除量の調節をしたらよかったかも?、富士山型は残りましたね!。でも人中部の切除もしたかったのですし前医の作った傷跡も切り直したかったのだから仕方ないと思っています。」と優しく答えられました。
そこでの検討結果として、鼻翼基部を中心に約3㎜の追加切除を加える?。富士山型を完全に解消するためには口角挙上術は必要だが、解消には至らない。やはり鼻翼下の切除調節が第一選択。
術後3ヶ月で来院されました。
その後の方針は白唇部(人中部を除く)短縮術追加と鼻翼挙上術を予定しました。頤骨切りも検討します。口角挙上術の追加はその後評価してから。更に鼻を高く細くする希望もありました。
こうして鼻翼下の追加切除と鼻翼挙上術の組み合わせという初めての試みがなされることになりました。ちなみに切除は鼻翼基部で4㎜。鼻翼挙上も4㎜ですが、相反する方向へ引き合うのでどちらの効果が勝つか?不明です。半々くらいで2㎜短縮し、2㎜挙上すれば上等でしょう。
まず各方向の画像を術前術直後で並べます。
上左から術前、デザイン画、術直後の順です。デザインですが、鼻翼下を三日月型に4㎜切除するのと、鼻翼をU字型に切開して中の組織を寄せるデザインが繋がります。
鼻翼挙上術を加えたのに、術直後は何時ものように鼻翼が下に引っ張られてその効果は見られません。鼻翼は上に戻ります。必ずです。
近接画像でも同様で何時もの様に鼻翼は横にも引っ張られています。これは口輪筋の筋力の回復が戻していくので長引かないでしょう。鼻翼は4㎜挙げたのに術前と比べると2㎜下がっています。
斜位像や側面像では鼻翼が下に引かれています。術後3ヶ月まで診ました。
早速次の段階に進む相談をしました。口角からです。前回鼻翼基部までを挙げました。次には鼻翼の内側まで挙げて富士山型を解消します。でも「赤唇縁の創跡は目立たないですよね?」と訊いたら、「無くはないですよね。」と返されました。私も敢えて言いました。「○○さんの赤唇の土手,lidgeは高まりが無いので、内側まで創跡が有っても余り目立たないのではないかな?。」即座に患者さん「でも創跡が増える事には違いないでしょ?。」と嫌な表情。続けて「でも次の段階は口角を内側まで挙げたいです。」
その様な訳で、前回の手術から3か月診て、その形態の評価が為され、二次的に口角挙上術を追加することになりました。一度ここまでブログ公開します。今後の手術は先ず引き続き提示していきながら版を変えていきます。
そしていよいよ、口角挙上術の新しいデザインを試行(通常は施行しますが、今回は特別なデザインを使います)します。二つのポイントがあります。台形デザインと赤唇縁切開の延長です。富士山型の修正は難しいのですが、診て来たら、生来の口唇の特徴がありました。
本症例は赤唇の横幅が小さく、言ってみれば鼻翼の下から口角までが短いのです。前回の口角挙上術はでは、通常のデザイン=鼻翼基部から外側を三角形に切除してその頂点に口角を引き上げました。確かに口角は挙がりましたが、赤唇縁の端っこだけがキュンっと挙がりました。
私はこれまで何回か書いて来ましたが、赤唇縁にはridge,リッジ=畝、赤唇縁の帯状の膨らみがあり、赤唇のセクシー度、それは擬態と表現してきましたが、膨らみが相手を引きつけるのでしょう。だから赤唇縁のリッジを切開切除すると、寂しくなります。昔父が上口唇短縮術を赤唇縁の上の白唇を切除しました。私は何人かの患者さんを継いで診ていますが、何か貧弱な口元となっていて、他の部位は若く綺麗(父も私もいろいろ治して来て、よく出来ている。)なのに不釣り合いな印象を呈しています。残念ながら赤唇縁のリッジは取り戻せません。
本症例は赤唇縁のリッジが生来はっきりしていません。だから赤唇縁のかなり内側、具体的には鼻翼の壁の内側まで切開切除して、赤唇の外側をしっかり挙げようと考えました。手術において取り戻せない結果となり得る場合は、一回目は控えめにします。でも損益を測りに掛けて、形態を優先して作る為に、創跡が長くなりリッジが消失するのを容認してもらえるなら、拡大手術をしても良いと考えます。
更に二回目の追加手術に於いては、オーバーコレクション,over correctionに成り得ますが、本症例は口唇の横幅が小さいので富士山型が急な訳ですから、もう一度挙げ足し、また横に拡大してもバランスが取れる症例です。
そこでデザインですが、鼻翼下まで充分に挙げる為に、台形切除を流用しました。前にも書きましたがチリの医師が発表しているデザインです。ただしそれは、上赤唇縁だけ切除するので、口角の外に余計な創跡が出来ます。白人は皮膚が白いので白い跡が出来ても見えませんが、我々アジア人には適しません。でも、口角の上の白唇を切除して、下赤唇縁も切開して、口角の横には創跡を造らない私のデザインなら可能です。韓国の医師で使っている医師もいます。ただし台形切除だと赤唇縁がカクカクっと挙がる可能性はあり得ます。その点は画像で経過を診て行きましょう。
そんな診察を繰り返して来て、いよいよ手術の前にデザインを書きます。今回は理解力の高い患者さんなので一度診てもらいました。
そこで私、「台形のデザインは初めてですが、チリのvidalという医師が発表しています。」と言うと患者さんは「見た事あります。」との事「私いろいろ見ていますから。台形は韓国からも載っていました。」デザイン後こんなやり取りは初めてです。私「へえ〜よく知っていますねえー!。」と驚いた振りして、でも私の認識していない知識を披瀝されて悔しいから「でもチリからの論文では下口唇を切らないから挙がらないのですよ。私の手術は口角の上下の赤唇縁を横V字に切開するからよく挙がると評判です。」私心の中で、実は韓国の医師からデザインを教わったくせに偉そうに言ってみた。「韓国でも台形デザインを使っているんだ。へえ〜!。」そのまま知らなかった事には口を噤んで、「でもこれ良さそうでしょ?。」と念を押すと、「お願いします。」とお答えを頂き手術開始に到りました。
アッ、デザインの説明を忘れました。今回のデザインは口角から斜め45度方向に5㎜挙げる予定でした。ご覧の様に一度5㎜で書きましたが、それでは口角の方がまだ下にあるので6.5㎜まで増やしました。上赤唇縁に内側に向かってデザイン、鼻翼の内側まで書きます。上の切開線は鼻翼基部で3㎜にして台形に繋ぎました。下赤唇縁は鼻翼外側くらいまでとします。
続いていつもの様に局所麻酔を注射しますが、切除量が多いので通常の1.5倍は要しました。約2分間待って切開していくと、考えてみたらこんなに上の方には口輪筋がありません。赤唇縁に近づいてから筋層を確かめて切除層を決めました。口角から下への剥離は口輪筋を分けていきますが、二回目なので一部に瘢痕が硬くなっていて難儀しました。縫合はいつもの様に口角の位置を二層縫合で決定してから、筋層を合わせますが上の創は長いので水平マットレスを2本ずつ。やはり上の縫合線は長く、幅が多いので緊張があるから、縢り連続縫合にしました。術後の画像を見ましょう。その前に見てもらいました。
見せた瞬間に「いいですねえ!。」と言ってくださいました。富士山型でないのは確かです。
翌日もみせてもらいました。
ご覧の様に内出血はなかったのですが、帰途で少々再出血したそうです。自発痛は無いですが、運動痛はあり、開口1横指以下で、フライドポテトぐらいしか口に入らなかったそうです。よく挙がって富士山型には見えない。赤唇縁のカーブは経過診るしかないと申し上げました。
そしてまた学術的知識を交わしました。いきなり患者さん「チリの論文を見たことあります。」私は、なかなか探し出せないのですよ。と言う前に「ここにあります。」実はパソコンに入っています。ただし実は今ブログを書いている最中だったので、論文を開けられません。
慌てて直後に見ました。やはり口角の上の皮膚に傷跡があります。アジア人には不可能な手術です。ただし日本で受けた症例が居ます。傷を短くするために控えめで、結局挙がっていないだけでなく、それでも余計なところに傷跡がありました。私は追加修正手術を数例施行しました。全例うまくできました。2例ブログにも載っています。
確かに口角がこれだけ挙がれば富士山ではありません。ただし赤唇縁が波型になりました。口角挙上術で富士山型を解消する為に鼻翼の下まで3㎜の切除して、その内側を台形にしたからです。私じーっと見つめて「う〜ん!この内側を切除追加すれば治せますね。」と申し上げました。患者さんは解っていて、「何れにしても3か月は待ちます。」ですって。何か立場が逆の診察場面に感じました。でもとにかく一歩ずつ進んでお悦びでした。
斜位像や側面像での赤唇縁のカーブは富士山解消が解ります。確かに意味のある手術でした。
たぶん今後突っ張りが解消すると、ある程度なだらかになりえます。今後の経過を診ていきましょう。お楽しみに!。
実際に術後2週間で診せてもらうと➡️
赤唇縁が結構なだらかになってきました。そう言うと患者さんは「たぶんやはり、腫れが影響しているのでしょう。治って来そうですね。」とまた理解力の高いコメントを頂きました。実際の形態も視て変化を認識しています。助かります。
その上で患者さん「いろいろ私ばかりがコメントして、偉そうに言って申し訳ないです。」この回のブログに私がそう書いたのを気にしています。いやいや私としては、知識が豊富で理解の高い患者さんは診療が楽しいのです。「書いたの気にしてますか?。でもコメントが適切ですから、ブログの情報も豊富になり有り難いです。」患者さんも納得しいました。
本症例は富士山型を解消する為に私に頭脳を駆使して取り組んでいます。同時に患者さんも理解して治そうと思っています。二人のコラボレーションが効を奏しています。経過を診ていきましょう。更なる向上も求められれば知力と体力の限り頑張ります。
下に術後4週間の画像です。
上赤唇縁のカーブが富士山型では無くなったのは、認めて頂きました。カクカクした線は解消しつつあります。患者さんはお悦びです。
斜位や側面では前後位置が見え、まだ赤唇縁の屈曲が影になって見えます。私「治し方を毎回考えています。」「でも要らなくなるかもね?。」と言いながら「でも出来れば念のため来月も診たいです。」と申し上げました。
そこでもう一つ提案を頂きました。鼻唇角を下げるプロテーシスです。部位が近くても違うので早速施行しました。
画像は正面像の術前術直後の比較から。
鼻柱から鼻柱基部が下方移動して、鼻翼基部よりも下にあります。結果的に人中部付近の白唇が短縮します。術直後は局所麻酔が残っていて口が閉じ難いので画像に反映していませんが、赤唇の中央部も押し下げられて富士山側の解消に一役買うはずです。
下から診ても変化は判りませんが、上左図は術前、上右図が術後。中央がプロテーシスを下から見た図で、これが鼻柱から鼻柱基部の人中の上端に入りました。わずかに膨らみが見えます。
側面像ではん術前と術直後で、鼻柱から鼻柱基部が明らかに下方移動してるのが判ります。中央の画像はプロテーシスを横から見てこの位置のまま、鼻柱の中に入れました。だからこの分鼻柱が下がったのです。
何症例か前からレティナーを使い始めました。術直後はポケットがプロテーシスよりも大きめに作っています。そうでなければ入らないからです。その結果上の画像ではやや左に存在しています鼻孔の大きさで判ります。そこでレティナーで中央に押すといいと考えました。
レティナーはシリコン製の軟らかい二本の筒が中央で繋がっています。上右の画像は後ろ向きですが、この方向で鼻孔にフィットします。ちなみに筒なので息は通ります。
上左のような方向で鼻孔に差し込みます。上中央、上右図の様にです。結果鼻柱の位置が中心化し、鼻孔も左右対称化しています。実はこれ!、マスクの中なら見えませんし、どうしても外さなければならない時間はレティナーをスポンっと抜いてもらいますし、再度入れるのも簡単です。鼻唇角プロテーシスは外から創も見えないし、腫脹も軽度で内出血は滅多に無く、術後出血はすぐ止まります。でも今ならマスクでカムフラージュできるのでレティナーを使えばより安心です。
今回鼻唇書くプロテーシスの術前術直後まで載せました。次回から版を変えて前段をダイジェストにして書き換えます。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。今回追加修正で切除範囲も少ないので半額にしました。口角挙上術は25万円 +消費税。今回は施行なので10万円+税としました。鼻翼挙上術は28万円+消費税。なお局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。