2021 . 3 . 24

嬉しい事に広範囲皮下剥離リフトが流行り始めました。究極のJowl LiftにもPRP併用で経過良好。

最近スレッドリフト,Thread lift 糸リフトが頻用されました。もちろん持続性はありません。でも逆に言えば、長持ちしないから頻回となります。それで良ければそれはそれでいいと思います。でも永久的効果を得る為には切開フェイスリフトを施行する他はありません。

では何故でしょう?。その前にリフト手術とは何かといえば読んで字のごとくリフト,Liftは持ち上げることです。弛みは皮膚、皮下脂肪、表情筋と支える靭帯が伸展し弾力がなくなるからですが、その結果として、支点である骨格からその表層への距離が増加するから落ちるのです。ですから重力に抗して持ち上げるしかありません。

リフト手術の持続性は、何がポイントなのでしょう。剥離と層です。剥離は持ち上げたい組織を支点となるベースの組織から剥がすことです。剥がして持ち上げてその位置で固定すれば、その位置で面が癒着します。もちろんスレッドリフトでは面の剥離はしようがありませんから、後戻りします。かと言って解けない糸でのリフトでは経年変化として皮膚が菲薄になると糸が露出し兼ねませんから禁です。金の糸は錆びない解けないを売りにしていますが、よく出てきます。

さて切開リフト手術はいろいろな方法が喧伝されてきましたが、違いは剥離層と剥離範囲です。上に挙げた全ての層が剥離層に設定出来ます。皮下剥離は安全性が高いのですが、幅2〜3㎝だと癒着面が少なくてずれやすいです。Sなどでは剥離ゼロでごまかすことも多い様です。最近私は広範囲剥離皮下リフトを多用しています。他に皮下組織下の筋膜下、SMASliftですが、耳の前約3㎝以上では耳下腺から顔面神経が立ち上げっているために難しく、かと言って剥離幅が少なければやはり後戻りが起きます。広範囲SMAS liftは本邦では数人しかしません。しかも桁違いに高額です。また筋肉下剥離のリフトは世界でも数人しかしません。内視鏡を要するし、ものすごいダウンタイムとなります。神経血管損傷の危険も高く、私は術後を診たことがありませんが、学会誌の画像を視ても大した効果はない様です。

話を端折って、私は最近広範囲皮下剥離リフトを何例もしています。美容外科医歴30年となる私の集大成と想ってやってます。30年前に父が行っていたリフト手術は皮下剥離と称して層がバラバラでした。私がSMASを教えて、頻用しました。でも父の行っていた皮下剥離リフトの効果と持続性に勝てませんでした。さらにリフト手術に命を賭けるUt先生も靭帯付け替えの手術(最低500万円!)とExpnding lift 広範囲リフトだけが後戻りが少ないと教えてくれました。彼はタットウーを入れて後戻りの量を掲示的に測り、学会発表もしていました。

正直に言えば、当院ではスレッドリフトを奨める医師が多く、あまり私に切開リフトが来ませんでした。でも1年前に広範囲リフトをして、ブログに載せてから、それを見て要望する患者さんが増えました。2020年は何例か行いました。実際後戻りは少なく、拘縮でオーバーコレクション,Over Correction になった症例もありました。結構手間がかかる手術ですが、SMASはPlication あだけなので安全です。ただし剥離啌の奥の方は止血が不能なので、激しい腫脹と内出血が起き得ます。本症例は如何でしょう?。画像をお楽しみに!。

症例は45歳女性。2019年5月に初診。当院の美容皮膚科医(本来は形成外科医)に罹り、LASER治療を続けていました。何年前かに金の糸等のリフトもどき手術を受けている話しをしていながら、「そろそろリフト手術をしたい。」と話していましたが、前医はスレッドリフトを薦めていました。

PRP治療も予定していて、7月に私が担当した際に、「いつかはちゃんとしたフェイスリフト手術をしたい。」と私に告げていました。その後はPRPの経過観察として、2020年1月私が診た際にPRP後にLASERもしながら、「今年中にフェイスリフトを受けたい。」希望を述べられました。その際PRPを組織糊として使う事も約束しました。9月に再来。いきなり「ブログ視ました。」「上中下に分けての。」「すごいですね。」と嬉しいお言葉を頂き、続けて「私はどこから?。」と聴いてきました。Jowlを挙げる中顔面からが通常です。当日私は「Jowlまでの広範囲剥離をします。」「PRPを組織糊として併用します。」と約束しました。

上中下に分けるのは麻酔の為です。広範囲フルフェイスリフトは局所麻酔では極量(これ以上投与すると、血中濃度が挙がり中毒を起こす量)を超えてしまいますから、全身麻酔が必要になります。費用がかさみますし、当院では体制が整っていませんし、人員が足りません。ですから広範囲フェイスリフトは上中下に分けて行ないます。

また、順位的に上中下のどこから始めるかは程度問題と希望に応じます。これまでの治療も影響します。本症例はJowlが目立ちましたから、中顔面リフトを優先します。症例に依っては他の部位は必要無くなる事もあります。上顔面リフトは目が吊り上がってしまう事もあり嫌う人も居ます。下顔面のネックリフトは頤下切開を併用しなければならない事が多く、同意されない症例が居ます。

しかしそうと決まれば、私は俄然張り切ってしまうのです。しかもその後銀座院でも同様のお申し出を受けていて2人手術しました。今回は年末に予定を立てたいとの事で、ことし最後のリフト手術となりますから、こちらも気合いを入れて手術したくなります。

では画像を診ましょう。先ずは術前と術直後の比較から。

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正面像で左術前、右術後。術直後は腫脹して、Jowlだけが膨らんでいたのが顎のライン全長が膨らんでいます。

リフト手術は時間がかかります。縫合だけでも約1.5時間です。剥離が広ければ当然時間は伸びます。奥の止血は難しいのでPRPを糊の代わりに使っています。でもこのところそれが定番です。

側面像と斜位像も診ましょう。

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側面像は術前、デザイン後、術直後を並べます。デザインはマリオネットラインの後方まで剥離する点線が描かれていて、術直後はマリオネットラインが消えています。

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斜位像でも、術前は口角から斜めに溝=マリオネットラインが診られましたが、術直後にはその溝はありません。

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左斜位像でもマリオネットラインが消えました。

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左側面像でもマリオネットラインは消えます。デザインの点線は剥離範囲ですが、術直後にその範囲が腫れています。

術後1週間で抜糸しました。

DSC01051まだ腫れています。

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右顔面も。

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左顔面も腫れていますが、Jowlだけの膨らみが全体的に膨らんでいるのです。

術後2週間でもまだマリオネットラインは見えません。

DSC01297Jowlはマリオネットラインの外側の膨らみです。表情筋の作用でも膨らみます。口をキュッと締める際、笑う際に膨らみます。皆さんも鏡を見れば判りますよね。

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ですから、斜位像ではレンズを意識しないから、無表情で写ってくれました。するとJowlは見えません。下顎縁のラインは頤から下顎角(エラ)までカーブを描いて凹凸がありません。

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側面像では平らなJowl部が判ります。マリオネットラインも見られません。

まだ2週間では腫脹はピーク時(なんでも48時間後)の60%程度の軽減です。本当の結果が見えてくるのは次回術後1ヶ月からです。

もう一つ、術後の腫脹は強いのですが、内出血がありません。PRPの影響でしょう。PRPで術後早期に止血が為されるから、内出血は少ないのですが、理論的にもPRPの反応で、腫脹は増量するのでしょう。学術的に更に勉強します。その点は良し悪し分かれますが、内出血が無い方が楽です。

問題は後戻りです。広範囲剥離リフトでは、1年で後戻りが1年分でした。1ヶ月では1ヶ月分なら、もちろん効果がよく持続しているでしょう。次回お楽しみに!

DSC01799術後1か月で画像を頂きました。

何故か顔面が正対していないで写りましたから、右顔面が大きく見えます。少なくとも診察時には、左右共下顎角部付近には腫脹が残っていました。それは斜位像や側面像で見て取れます。

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斜位像ではマリオネットラインの外側にはJowlが診られません。Jowl部は剥離部が癒着して、膨らみが消失しています。エラ(人間は魚ではないので鰓は無い。正しくは下顎角部)付近の腫脹は咬筋の浅層で皮下剥離した為に筋体まで腫れているからです。咬筋は噛むのは生きるためですから、当然元々厚いのですが、筋体は腫脹が激しいのです。これまでの症例でもそうでした。

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側面像ではエラの腫脹は見て取れませんが、Jowlはペタットしてマリオネットラインはやはり診られません。創跡ですが、赤い線ですが、耳前の折れ返りにあるので目立ちません。リフト手術のダウンタイムは腫脹が主です。本症例はPRPを併用したので内出血はなくて済みました。

本当に後戻りは診られません。S Clc.等で為されるナンチャってリフト手術では剥離範囲が狭い為に患者さんが想うよりも意外と早く後戻りします。よく見かけます。今回の広範囲リフトは長持ちするでしょう。ナンチャって術後3ヶ月が見頃です。楽しみです!

DSC03960術後3ヶ月で後戻りはどのくらい?。

とにかく下顎縁が細くなり、Jowlも膨らみが少ない。マリオネットラインは目立たない。

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両斜位像ではマリオネットラインが見えません。

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両側側面像でもマリオネットラインもJowl の弛みも見えません。

今後のあと戻りの程度を診ていきます。いつかまた画像を頂けたら嬉しいです。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守し、ホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。中顔面リフトは80万円+消費税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。