2022 . 6 . 25

こめかみリフトは大流行り。今回はLateral Buttress(梁だか控え壁)までさらに広範囲剥離して。たこ焼き状を治しました。

頬上顎複合体はMalar,メーラーと呼ばれ、前から見ると、眼窩下縁つまり下眼瞼の下を底辺とし、鼻の横が内側の辺で、外側は頬の後ろに囲まれる逆三角形の部分です。骨格的にも頬骨上顎複合体があり、Tripod,トライポッド=三脚(上下逆)と称されます。Malar にはMalar fat があります。骨の前の脂肪の塊ですが、笑うと”たこ焼き”型に膨らみます。三脚のうち後側の脚をButtressと言います。Malarと上顎を横の梁で繋いでいます。Buttressは訳すと控え壁とも言い、顔の横を支えています。

最近私はこめかみリフトを頻用しています。こめかみから眼窩外縁から、Malarへ向かって皮下剥離し、ゴルゴ線の外まで、つまりMalarの外側半分まで剥離します。ゴルゴ線はゴルゴ13,サーティーンの顔に書いてある線で、怖い人の象徴です。作者は先日他界しましたから、この際ゴルゴ線も亡くしたいと希望される人が増えてます。剥離した皮膚を引き伸ばして、皮膚を斜め上に移動させて、皮膚裏面をベースの面と癒着させます。ただ切って縫っただけだと面の位置は変わらないので後戻りしますが、剥離した皮膚は移動して”癒着”しますから、後戻りを少なく出来ます。

今回の症例は、Malarより下のButtressまでたこ焼きが垂れ下がっています。剥離範囲をButtressの部分まで拡げて、ここに垂れた弛みも引き上げたいと考え決行しました。初めての試みですが、ここまで引き上げられるかの結果が楽しみです。

何度も言いますが、剥離範囲が重要で、後戻りを減らし、効果も充分に得られます。こめかみリフト手術は球面を剥離しますので引き上げた皮膚が顔の後ろ側に押しますから、剥離腔への出血が押し潰されて、血種が起きないし内出血も剥離腔の先端だけです。要するに、剥離層が皮下なら皮下と、一定に剥離出来るかが手技上のポイントです。見えない腔なので反対の手指で表から触れて、層を感じながら剥離していくことが重要です。触覚と繊細な操作が求められます。だからそんじょそこらの美容整形屋には不可能な手技です。多くの特にチェーン店系では剥離ゼロで【切って縫うだけ】のなんちゃってリフトが横行しています。糸リフトよりも高料金で、長持ちしないので、バカバカしくなって、私の下に来院する患者さんがひっきりなしです。

症例は56歳女性。いきなりこめかみリフトを主訴として来院されました。もちろんブログをご覧になっています。私は顔をじろっと眺めて、いきなり診察します。頬骨隆起が角張って、顔面最大幅が135㎜と面長でも幅があります。頬前もフラットです。ただしゴルゴ線は浅いです。特徴的なのは、頬骨上顎骨の前のMalar fatがたこ焼き状で、骨の前から骨の下外を超えて落ちています。

いきなり私はこめかみからButtressへの超広範囲剥離のプランを立てています。 他に口周りの診療にも言及していますが、超広範囲剥離リフトはダウンタイムが長くなりそうなので、スケデュールを立てられるこの時期に受けたいと希望されました。

それでは初めての試みである超広範囲剥離こめかみリフトの画像を見てください。まずは正面像。

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上左図が術前、上右図はデザイン後。Malar fatのたこ焼きが垂れ下がっています。

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上左図は術直後。たこ焼きは無くなっても、腫脹で顔が大きくなります。上右図は術後3日。腫脹はピークなはずですが、下方から引き始めています。

こめかみリフトの形態的変化は側方や斜位から診ると良く判ります。術前から。

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上左図の右斜位像でも下左図の左斜位像でも、Malar fat のたこ焼き型の膨らみが頬まで垂れていて、その下に影が見えます。側面像でも影が見えます。

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下にデザイン画も4方向。

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たこ焼きの垂れている下の影の直上まで剥離腔をデザインしました。

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今回切除皮膚を撮影しました。

IMG_0154最大幅1.3㎜切除しました。結構多めです。ただし、切除幅が効果を出す訳では無く、剥離範囲が効果を出します。

下に術直後の4方向。

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Malar fat の弛みの下の影との段差が目立たなくなっています。ただし診ると、既に剥離腔の先端に内出血が赤紫色に透けて見えます。

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勤務の都合で術後満3日で、私は拝見させて頂きました。その後術後1週間で抜糸した際にも画像をいただきました。4方向を並べてみましょう。

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上左図は術後3日。上右図は術後1週間。黄色い内出血の跡が1週間でうすくなっています。側面像ではMalar fat の下垂が見えません。

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斜位像でも、下垂に因る段差が目立たなくなっています。

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左斜位像では平らな頬横が綺麗で、早くも効果が見えてきました。

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エー!。意外と腫脹が酷くありません。しかももう!、バットレスの弛みが取れているのがわかりたこ焼きが消失しています。

ところが引き上げた分こめかみの陥凹が目立つ事になりました。患者さんにも気付かれました。「治せます?。」と訊かれ私、「もちろん検討します。」内心”元々ですから予め検討しておくべきだった”と思いながら「ヒアルロン酸は長持ちしません。」「PRPはついでならしても良いが量を必要とするし、この部は1年保たないです。」「知っていますか?。私こめかみプロテーシスも出来ます。」結論的にこめかみプロテーシスの適応ですが、リフト後3ヶ月以上でなければ無理です。

次回は術後1か月です。ダウンタイムが過ぎて形態が見えているでしょう。お楽しみに!

術後1ヶ月で来院されました。

IMG_0783たこ焼きは下がっていません。手術効果に満足されています。画像を見比べて患者さんもお喜びです。

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斜位像では明確に改善が診られらます。垂れていません。

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側面像ではたこ焼きの下の見られなくなりました。患者さんはこれまでのブログを観てたこ焼きの意味が分かったそうです。

術後約3ヶ月です。

IMG_1771現状ではたこ焼きは後戻りしていません。

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右こめかみの傷痕に黒い点。毛が生えています。左は目立たないです。

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Buttress の下のたるみが僅かに見えてきました。患者さん「手術直後は見事でしたが、腫れが取れたら変わったかも?。」と仰います。定期的にみている私よりも、常時見ている患者さんが正しいと言えます。さらに患者さん「もう少ししたら、切り取りだけ追加したらどうです?。」と気が早い。私「まあ、2回目は1年以上待ってくださいよお〜!。」とお願いして、実はまた来院されますから、また画像を載せます。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守し、ホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。こめかみリフトは40万円+消費税です。こめかみリフト手術後は、上中顔面全体を載せますから、ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。