今や大流行りとは、言い過ぎか?。でも私の中ではブームです。先日、JSAPS日本美容外科学会(形成外科系)元上司のDr Ut.やリッツのDr H.に会い、一言頂きました。「広範囲剥離リフトは靭帯法の次に効くし、後戻りも少ないですよね。」お墨付きです。それに靭帯法は長時間(約8時間:当院にバイトに来ていて、帝国にバイトに行っているDr K.が経験済み)かかるので費用も莫大です。ちなみにJowl に対しては広範囲皮下剥離リフトの方がSMAS法よりも効きます。データはDr Ut.が示しています。最近月一位の広範囲剥離リフトをしてきましたから、上達しました。当初は4時間以上かかっていましたが、今や4時間以内に終わります。当院では原則的に手術時間は3時間45分ですが足ります。そしてなにしろダウンタイムが短いです。腫脹の程度は剥離層及び範囲と操作時間が左右しますから、SMAS法より侵襲が少なく、2週間で軽快しています。内出血は深部から浅層への穿通血管からで、止血が必要なのですが、引っ張った皮膚が血管を圧迫しますから、動脈でなければ止まることがほとんどです。
たまたま先日、JSAPSがリードして美容医療の各学会群が、美容医療の学術的な指針を発行しました。その中に”リフトアップとは、外科的手術を対象とする用語でする” と記載されています。そうだ!その通りだ!。美容皮膚科分野では”機械(高周波やLASER)でリフトアップと謳って宣伝していますが、表面からでは締まっても支点がなければ挙がる筈がありません。学会も”弱く”提唱すると書いてます。リフト手術は100年近い歴史があるのに対して、表面からの治療は電気は古くからあっても顔に使うのは微弱だし、LSAER系に至っては医療機械として実用化されたの50年前です。リフト手術は長年研鑽されてきましたし、学会でも沢山の症例が提示されてきました。
実は昨今、美容医療が国民に認知されてきた様に捉えられているかもしれませんが、一般人、特に日本国民は記憶を消すからです。今から60年前に、父は銀座美容外科(昭和53年までは銀座整形と標榜していました)を開設しました。十仁病院は戦前から美容医療手術を行なっていました。ちなみに昔もTVCMを流しましたし、番組出演もしていました。イレブンPMは全員集合と同時期ですから、50歳以上の男子は見たことがある筈です。でも当時、何人かの美容医師が出演して講義していたのは、周りに訊いても誰も覚えていませんでした。日本人は面倒なことは忘れる性分なのです。何故か?。そこには昔は忌まわしい美容整形屋が横行していたからでしょう。美容の患者さんは、周囲にカミングアップしませんでしたから、たまに問題が起きると結構沸騰しました。また水商売系(飲み屋系と芸能系)が対象者の中でも多数を占めていましたから、時に反社会型とも繋がりましたから、忌み嫌われました。
昭和53年に美容外科が標榜科目となり、徐々に参入する医師が増えました。標榜できるから大手を振って広告を多発します。約10年前まで景気が悪かったから、コマーシャリズムが食い物にしました。今は亡きアベノミクスで景気が良くなった様に見えたら、患者は増えましたが、参入者も増え、CMと広告は増える一方です。本来は医療のはずの美容医術のビジネス化は留まるところを知りません。ただし最近では、SNSを利用して、嘘のない症例結果を流して啓蒙する医師も増えてきて、一般市民が美容医療の知識を手に入れられる様になったのでまともに近づいています。でも広告宣伝を主に使っている美容医療機関は、元を取るためにトッピングで稼いでいます。
こうして日本国民は美容医療に対して理解を与えてきたのです。ただしニーズが広がると、裾野が広がった層は軽い負担を求めます。軽さは料金もですが、侵襲性が主体です。治療時の疼痛や時間、施行後の腫脹や内出血が少ないと宣伝されればそちらを選ぶ人が増えるのです。でも本当かどうかは不明ですし、正しい経過を説明していない医師も横行しています。逆に効果と持続性は落ちるのは当然なのに、正しい説明をしない医師も横行しています。外科的リフトアップ手術は、結果が見えます。私はブログでたくさん見せています。広告宣伝に惑わされないで、症例の結果を視て、美容医療の担当者を探しましょう。
症例は32歳女性。予診カルテには二言記載されています。骨切り後の弛みにフェイスリフトを希望しています。他にも顔のバランスを診て治療法を相談したいです。判りやすい希望です。いや解っているから書けるのでしょう。勉強されています。こうなれば私、一生懸命考えていろいろな面を診断して差し上げる知識がありますから、披瀝します。カルテを読みながら、書いていきます。
昨夏にLe-FortⅠ型骨切り術とSSRO, Saggital Spliting Ramus Osteotomy を受けて、両顎を4㎜後退させました。結果的にいくつかの点でバランスが崩れました。羅列します。
1:梨状口(上顎骨の鼻の乗っかっている孔)の骨が後退したので鼻唇溝が深くなりました。鼻唇溝プロテーシス(韓国では貴族手術と称する)の適応ですが、そこにはまだプレートが入っているので、硬い物質が必要です。
2:下顎が後退した分軟部組織が余ってたるみました。特に元々は無かったJowl が目立つ様になりました。これには私の得意の広範囲剥離MACS lift が適応です。
3:Le-FortⅠ型では鼻尖の後の骨だけ後退するので、鼻尖が垂れた。4㎜後退したが、軟骨3枚で3㎜高く(計算が合わないですが、一回目は3枚)する適応です。
4:鼻翼は梨状口に付着しているが、靭帯を外すので緩んで拡がります。鼻翼幅42㎜:鼻尖幅23㎜ですが、縮小の適応です。患者さんは皮弁法で定着させたい希望です。
5:人中部の白唇は20㎜と長めで、上顔面65㎜:中顔面60㎜:下顔面70㎜と面長の中でも下顔面が長く、上口唇縦長27㎜:下口唇〜頤長43㎜と黄金比率ですが、骨切りの結果上口唇が垂直化して長さが強調されました。5㎜切除の適応です。
他の部位ですが、目頭の蒙古襞は狗縮(突っ張り)があります。チェーン店系美容外科で、三日月型切除を受けたが狗縮は解消していません。当たり前です。内眼角間距離が33㎜となったが、面長なので狗縮解除を目的としてZ-形成の適応はあります。
吊り目でキツい印象には、Z-形成法に依る蒙古襞の位置移動と共に、同時に下眼瞼の垂れ目形成の適応もあります。
長々と診察しましたが、これだけの事が起きたと言う事です。今までにも骨切り後の副作用は何例も診ました。ああ〜すいません!。副作用でなく副次的形態変化です。今回はこちらが指摘するまでもなく、患者さんも解っているので、話しが終らないのです。私は34年間美容外科医として研鑽してきましたから、レパートリーは広く多様でしょ?。ですから次々と提案していたら、1時間以上経っていました。
でもいくらなんでも全部一遍に手術する事は不可能ですから、順番を決めなければなりません。原則的に土台の基礎工事から始めるのが適切です。ですが、こう言ってみて思ったのは、もっとも土台なのは骨格です。逆に骨が動くとその前の部品も動いて、いろいろな面でバランスが崩れたのです。難しいもんですね。ですから次の工事は軟部組織を大きく動かす事です。下顎骨の表層の組織である下顔面のJowl が目立ったので、ここから治しましょう。広範囲皮下剥離リフトです。
画像は各方向を経時的に視ていきましょう。正面像から。
術前像とデザイン像。正面では見づらいかも知れませんがデザインの再前部はJowl の前、マリオネットラインの外まで描いてあります。
手術直後像と翌日の画像。手術の数値を書きます。耳垂先端部を45度方向に28㎜、耳前部は耳球上部で20㎜、耳後部は垂直方向に20㎜挙げました。筋層を吊り上げてから、細かく真皮縫合更に数カ所アンカリングしながら皮膚連続縫合と3層縫合しています。PRPを組織糊として止血作用を求め剥離面に塗ります。同時に癒着を助け後戻りを減らします。なお手術直後よりも48時間後の方が腫脹が亢進します。でも内出血は起きませんでした。PRPの併用が効を奏しました。
術後1週間で耳前部の抜糸後と術後2週間で全抜糸後。48時間まで増えた腫脹(腫れ)が術後1週間ではまだ残っています。術後2週間ではかなり減っています。何れにしてもJowl は消失して、下顎遠がカーブを描いています。
上左図は術後1か月で来院されました。腫脹が引いて、自覚症状も何も無いそうです。効果は充分です。ただし右の方が挙がっていると申告されました。その目で術前像を診ると、やはり既に左右差はあります。触れてみると、骨格も左右差がありました。こめかみリフトの際に方向を引き上げ量を変えてみるつもりです。
上右図は術後3ヶ月です。現在後戻りは診られません。
次は4方向で説明します。
横から見ても斜めから見ても、術前画像では、Jowlが見られます。
デザインは耳前部切開、耳珠部は後側に隠します。耳垂を回って耳後部は溝より5㎜耳介側です。剥離範囲はマリオネットラインの後ろまで点線で描きます。
術直後は腫脹でJowl が凹んでいません。
縫合は3層です。SMASはPlication、プリケーション (スカートのプリーツの様に折り畳む)して引き上げます。真皮縫合は3〜5㎜間隔で蜜に、耳垂部などポイントは深くSMASにアンカリングも掛けます。耳珠の前に皮膚をアンカリングして、丸みを再建します。皮膚縫合は連続です。今回は耳後部から後ろに曲げて余った皮膚を切除しました。
翌日は通常腫脹が亢進しますが、Jowlだけでなく全体が腫れるので、下顎縁のカーブは綺麗です。
術後1週間では耳前部の抜糸をします。腫れていても下顎縁のカーブはなだらかです。
術後2週間で全抜糸します。腫れは引いてきました。下顎縁は綺麗なカーブです。
前週に抜糸した耳前の傷跡は線が赤いだけです。右耳後部の傷跡はシワが寄っていますが、平になります。
術後1ヶ月では腫脹が解消しています。この角度ではJowl の改善は見えます。
左耳介を半周する傷跡は一部は赤い線で一部は白い線です。もっと目立たなくなります
右耳介の周囲の傷跡は赤白線ですが、耳後部のシワシワは改善中です。なお診ると!、耳垂先端の下に縦線があります。そうだ!、アンカリングした真皮縫合が浅くて緩んだのかも?。だからわずかに後戻り?、だからJowl に差?。正面像で書いた言い訳の説明と違うじゃないか?。まあまあ今後の経過を診ましょう。
術後3ヶ月です。
両側の耳介を半周する創跡を前後で視ましょう。耳珠の前を除いて目立ちません。逆に耳珠は膨らみが温存出来て不自然ではありません。耳後部にもドッグイヤーが無く創跡は耳介の付け根の折れ返りにあるので見えません。
当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守し、ホームページの修正を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の説明も加えなければなりません。広範囲剥離中顔面リフトは80万円+消費税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。