個人情報を保護しなければなりませんが、一言だけ載せます。患者さんは来春大学を卒業して社会人となる予定ですから、上記の表題でいきたいと思います。ちなみに、医療に於いては、従来から守秘義務があり、特に対応は変わっていません。法律で詳しく規定して、さらにパラメディカルの対応が変わったのです。ところでブログ掲載の際は料金を下げて、承諾を得ています。ですから本来は何を書いても良いし、個人情報は社会歴とされ、重要な医療情報の一部ですから、ある程度は載せます。ただし詳しいことは、個人の特定に繋がるから載せません。
私の下に、従来から男性患者さんは多く来院されました。銀座美容外科時代は特に多く、20%近かったです。昔から”いい男”は、さらにルックスを向上させることで、社会性や経済性に有用性があると捉えるのでした。もちろん芸能人は当然です。先日は、銀座美容外科時代からの20年程前の或る患者さんが、更なる向上を求めて来院されました。ルックスは約75点で、社会的にも使えている様でした。私を見つけて点数を上げたい希望でした。嬉しくて「私頑張って診療します。」と宣言しました。さらに最近は、男性でも美容に興味を持つ患者さんが増えています。当院でも、ある程度の経済性を持った患者さんが多く来院されます。
また男性は、形態と機能の相関関係の面に、理解力が高い傾向にあります。何故なら、日常的に知性を使用して、ロジカルな思考を励行する人の割合が高いからです。機能は社会的機能と身体的機能の両面があり、例えばガテン系(古い言葉→今どき言わねえよ)のヤンキー顔よりも、スッキリした美男の方が、通常は社会的に高位にあるのは自明です。身体的機能は知性と肉体を含みますが、知性は顔に出ます。またイケメンはイケてるから称しますが、外面だけがイケてるのでなく、内面が表出するからです。内面は知性という機能です。
特に眼瞼は、人と対する際の道具です。”目は口ほどにものを言う”といわれます。ですから目元の表情を豊かに、表現力を向上させたいとの願望は、社会人としての有用性を求めて、男性”だからこそ”強く持つのではないでしょうか?。身体的には目の窓が広い方が、視界が広く便利です。視情報の量が増えるから、知性向上にも寄与するのは当然です。また目が大きければ、表情として小さくもできるので、目の窓が、大から小まで豊富に語れるのです。
目を開くという行動は、自律的ですが、逆に言えば脳がコントロールしているからです。自律的なので、主に自律神経系(交感神経と副交感神経のバランスのこと)が動かしますが、大脳の能動的な高次機能も影響します。簡単に言えば、気合を込めれば目の開きは増えるし、リラックスしたり笑ったり悩んだりの際には目を細めます。開くのは眼瞼挙筋、閉じるのは眼輪筋が主で、表情筋群も使います。筋の収縮のバランスで、いろいろな形態的変化を作れます。人間の表情は豊かなのです。だからもう一度書きますが、目は大きく開ける方が大小変えて、目で豊かに表現できるのです。内面性の表現には外面的な機能向上が影響するといえます。
この面は何度も記してきましたが、一重瞼は先天性前葉性眼瞼下垂症です。人類約70億人のうち、約2万年前にシベリアかモンゴル付近で寒冷地適応で発生した突然変異の遺伝子が、東アジアに蔓延したのです。現在約10億人に発現しているので、7分の1のマイノリティーです。開瞼の機能に損失を生じていますし、治せる障害なので治すべきです。その上その遺伝子には、蒙古襞の被覆(被さり)と拘縮(突っ張り)を造るDNAも載っていて、程度には連続的なバリエーションがありますが、同時に発現しています。統計はありませんが、私は全例計測してきました。内眼角間距離は、一重瞼者と二重瞼者で平均2.5㎜の差があります。ですから、一重瞼を二重瞼(正常です)に戻す、重瞼術、または眼瞼下垂症手術を施行する際には、蒙古襞の拘縮を解除する手術(一辺4㎜、60度のZ-形成法)を同時に施行しないと、形態的に不自然になります。眼瞼下垂手術+目頭形成術の結果、形態的に自然で、開瞼機能も向上します。
社会人として、知性的で、豊かな表現力を身につける為に、先天性前葉性&後天性後葉性眼瞼下垂の改善を求めて、縦横のバランスと蒙古襞の拘縮の軽度化も求めて、目頭形成を希望されました。もちろん私の載せてきたこのブログを診て、理解されてから来院されました。私「その通り!やります!。」と宣言して、気持ちを込めて手術します。機能と形態の改善に力を込めます。
今回男性だからって、いろいろ理由を書き連ねて、医学的説明は少なく、取り止めのない内容かもしれませんが、画像を見て下さい。上手に出来たと思います。
症例は23歳男性。本年初めに初診。来院時にまず額のシワを訴えられました。覚醒しての活動時に、前頭筋が常時強く収縮しています。私が直ちに「眼瞼下垂症です。」と告げますと、患者さんも「解っています。だから来ました。」と直ちに納得されます。カルテを転記します。”一重瞼は先天性前葉性眼瞼下垂症です。LF(Levator Function: 挙筋滑動距離)は15㎜で、先天性後葉性眼瞼下垂症ではないが、コンタクトレンズ装用歴10年で、後天性後葉性眼瞼下垂症はあり、フェニレフリンテストで挙がったので証明されました。内眼角間38㎜:眼裂横径22㎜:角膜中心間60㎜と眼球は標準的な位置で、蒙古襞が被さり目の横幅が小さい” 原因として、結果として、蒙古襞の拘縮を改善しないと不自然な形態になり、機能的にも開瞼を阻害することを教えると、すぐ理解され、患者さんは「もちろん同時に治したいです。」と期待されました。訊くと「SNS等でいくつもの情報を視たのですが、先生のがいちばん解り易く、結果も綺麗でした。」と言って下さいます。真面目に書いてきたブログのお陰です。
翌月再来。ラインは左眼瞼にある黒子の下で奥二重の重瞼線を造りましょう。一辺4㎜の60度のZ-形成に繋げます。ダウンタイムを要する切開の機会は来年以降とし、埋没法で前葉を挙げて、目頭形成をしたいとの事です。後日機会を得ての切開時は、「2回とも私なら(同医師なら)、繋げられます。」と告げておきました。
手術の日程を決めて予定を立てたのですが、私の個人的都合(忌引)で延期してもらいました。申し訳ありませんでした。その後再度予定を立てることになり、先月来院されました。すると「時間が取れたので、切開で定着させて、目頭形成とつなげるチャンスが出来ました。」ということです。その際も黒子の下のラインで2㎜切除し、4㎜のZ.と記載されています。
術前にもう一度シミュレーション。何度かブジーを当ててみると、黒子の上の5.5㎜にしないと、皮膚が被さってくるのが判明しました。切除幅は、年齢的に2㎜で充分です。画像を観ればその通りです。切除しないと重瞼が止まらないのです。私は成人に対しては最低2㎜切除を奨めます
画像は両側眼瞼部像で形態と機能を視ていきましょう。
術前の遠近二葉。説明の通りの眼瞼です。上右図の近景では寄り目っぽくなっています。蒙古襞で内側の白目の半分が隠れているからです。
デザインは説明通りです。開閉二葉で目頭部と眼瞼切開のデザインが繫がっているのが判ります。
手術直後です。目元に力が感じられて、知性的で、社会的機能も高まり、一言で言うなら「格好良く出来ました。」
翌日は診ましたが、後出血はなく、内出血も露呈していませんが、腫脹は増えました。謂わゆるダウンタイムは、術後48時間がピークです。
上の二葉は術後1週間の抜糸直後。48時間のピークから腫脹は引いて、現在右側は60%程度残っています。今後はどんどん吸収されます。
上の画像は術後3週間の遠近二葉。遠近で輻輳しても内側の白目の面積は印象としてほとんど変わりません。開瞼はまだ腫脹が残る右が弱く見えます。患者さんに聴くと、朝起床時は腫れていて、午前中一杯。夕方になると引く。という傾向を繰り返しているそうです。患者さんは自撮りして経過を客観的に観てきました。朝はピーク時の約50%はむくみが残っているそうです。
続けて片側づつ手術法も視ましょう。
術前画像は眉を挙げていて、とぼけた感じです。しかも三白眼(黒目の3方向〈内側+外側+下〉に白目)です。後天性後葉性眼瞼下垂症では、アイリッドリトラクターの作用で下眼瞼も引き下げられるメカニズムが働き、三白眼を合併することがあります。逆に第一眼位で黒目の上には白目が見えないどころか、右は2㎜以上隠れています。異常値です。
眼瞼の第一切開線は左側の黒子の直上です。仰臥位で緊張を掛けないで瞼縁から5.5㎜です。切除幅は2㎜です。目頭部のデザインはいつもの通りです。蒙古襞の稜線に下眼瞼側の蒙古襞の付け根から上に4㎜の延長する予定の線。60度で上下にZ型のデザイン。
いつもの使い回しの机上の図です。上の左眼瞼の図の、目頭に描いてあるZ型のデザインが、机上の図の左側の線です。
いきなり切開後の画像です。精密なデザインが消えたら困るので、先ず目頭の蒙古襞をZ型に切開します。続けて眼瞼部の皮膚だけ切開し、目頭の切開と繋げます。このデザインだと、Zー形成法に付き物のDog earが生じません。深部には眼輪筋が観られ、バイポーラー,Bipolar電気メスで止血した黒い焦げ跡も観られます。この時点で閉瞼している間は目頭の向きが判りませんが・・。
直ちに開瞼してもらうと目頭の向きが、自然に横向きになっています。開けると目頭が上に引き上げられているのですが、これが目頭Z−形成の効果です。目頭の皮膚を下方に引き下げる内眼角靭帯に停止する眼輪筋を、切離しているからです。
上左図は、更に目頭のZ−形成術の二つの三角皮弁に剥離を加えています。内眼角靭帯に付着する上下の眼輪筋を切断して、靭帯をムキムキにすると、靭帯ごとさらに目頭が移動します。上右図はZ−形成の三角皮弁を上下入れ替えて縫合中です。
この後眼瞼部の眼瞼挙筋腱膜を、眼瞼結膜側から縫縮して開瞼を強化し、その糸を使って重瞼固定を加えてから、閉創します。
術直後の画像です。左眼瞼の目頭の縫合線は机上の図の右側の線と同じ筈です。実は挙がり具合で微妙に違います。だから机上の空論だと言っているのです。目頭の横V型の縁は真横を向いていません。これが自然です。下眼瞼縁を外側から追うと、延長線のカーブから涙点の膨らみを越えて、目頭の先端に繋がります。これが自然な二重瞼者の目頭です。涙湖(赤肉)は半分見えるのが二重瞼者の標準です。下に術後1週間の近接画像。
左右で腫脹に差があります。そういうものです。したがって開瞼にも影響して診られます。開瞼差は術前にありましたよね。スライドさせました。前葉が眼球前に被さっている際は、瞼縁が見えないので、開瞼は評価が難しいのですが、退けると開瞼差が露呈します。
目頭の形態は見事に横向きです。下眼瞼縁とのカーブも自然です。下眼瞼のカーブも緩やかになり、三白眼も解消し、目頭が上がって吊り目も解消しました。
患者さんは「視界が広がりました。」とお悦びです。開瞼と重瞼と、目頭の傷跡は経過で変わります。目頭形成術の経過は肥厚性瘢痕の可能性を診る為に術後3週間でも診ます。下に画像。
肥厚性瘢痕は術後3〜6週間で生じます。そりゃそうです。術直後は創です。抜糸後は表面は閉じています。その後真皮層にコラーゲンが析出して深部が癒合していくのですが、過剰反応で肥厚性瘢痕となる場合があります。原因の差は、緊張力でコラーゲンが切れると治そうとして過剰反応します。体質にも因ります。本症例は軽度です。治療は必要ないでしょう。念の為術後6週間でも診せてもらい、さらに悪化がなければ安心です。念の為予防的に内服薬を処方しました。
術後6週間は肥厚性瘢痕の程度の大小が視えるヤマ時です。
遠近どちらの画像でも開瞼が良好です。目力ついたよね。腫脹が軽快して現在ピーク時の30%程度です。ただしまだ朝は浮腫むそうです。重瞼幅も対称的になりました。
肥厚性瘢痕はごく軽度で、これなら次回は見えなくなりそうです。リザベンの予防効果も奏功したのです。
術後3ヶ月です。
完成です。
遠近も見ましょう
近接画像でも対称的です。こうして来年4月には社会に出るそうです。目力は使えます。
当院では、一昨年に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」を遵守しブログを掲載しています。
医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用は眼瞼下垂症の診断が得られれば保険診療で3割負担は約5万円(出来高請求です。)目頭形成術は角膜に掛かる程でないと保険は適用出来ません。自費で28万円+消費税。