2020 . 8 . 9

男性でも顔は使います。目力という生体機能は社会生活機能にも影響します。

美容医療とは、形態の改善を求める医療で標榜科目で言えば美容外科と形成外科の総称です。標榜科目とは広告に載せられる科目名です。法律で決まっています。美容外科は(美容整形という科目は標榜出来ません。)専ら美容的形態の改良を目的とし厚労省が保険に収載しません。形成外科は病気や怪我や腫瘍や先天的異常などの異常性(SD1〜2から外れる)が原因で形態異常を来した上に、軽度でもまたは社会生活上も機能的障害も伴うことがある場合に適応される科目で、保険収載されています。最近では科目名を組み合わせて、皮膚科が美容を目的の自費治療をするための、美容皮膚科という科目も標榜出来る様になりました。

美容医療の中でも眼瞼は機能的異常を伴うことが多く、一重まぶたは先天性前葉性(皮膚と眼輪筋)眼瞼下垂ですから、MRD2.5以上は異常範囲で形成外科の守備範囲です。ただし切開法で定着させないとなりません。さらに後葉性(主に挙筋筋力低下または伝達不良)眼瞼下垂症は当然に機能障害を伴うから切開法では保険治療です。

私がこれまで提唱してきた様に、蒙古襞の拘縮は眼瞼下垂症状の一因になり機能障害を伴うので、原理的に保険治療が適応するべきですが、学会は認めても、厚労省はお金がないのか頭が硬いのか保険収載しません。実は目頭切開は外人に憧れて、または女性が戦後進駐軍にぶら下がるためにこぞって受けたから、(その後は男女を問わず芸能人の多くが受けました。)昭和36年に国民皆保険が成立する際に拒絶されたのです。現在私が頻用しているZ−形成法による目頭形成術は、(術式と原理からして、及び機能的改善を目的とするから目頭切開と呼ばない様にしています。)機能的改善と形態的改良が伴に得られますから、保険収載してほしいものです。

いずれにしても蒙古襞の拘縮が原因の半分を占める眼瞼下垂症。そして内眼角間距離が遠く、顔面幅との比率が取れていない症例には目頭形成術が必須です。眼瞼下垂手術の切開線に繋げてデザインする方が、重瞼ラインが綺麗に弧を描くので併施が望ましいのは当然です。男性でも形態と機能を向上するためにはオススメな手術です。もちろん患者さんは社会人で顔を人に見せるし、目力はコミュニケーションの手段として有用なので社会的な機能向上ももたらします。

症例は47歳男性。本年に入って来院。いきなり眼瞼形成術を希望されました。診察すると、先天性後天性はLF14㎜と正常。重瞼であり先天性前葉性でもない。若年時より開瞼が落ちた自覚。ハードコンタクトレンズ装用30年が原因と考えられ、フェニレフリンテストでよく開くことから後天性腱膜性眼瞼下垂が主体と思われる。顔裂横径27㎜:内眼角間(二重まぶたの平均値33㎜)37㎜:角膜中心間(男性の平均値60㎜)64㎜:顔面最大幅140㎜で顔の中で目が離れていて間が遠い位置関係。つまり目頭を両側2㎜動かしたいし、拘縮があるため開瞼時に内側が挙がりにくい典型的な症例。切開ラインは中間で上の皮膚<3㎜切除。目頭は繋げて切開して治したい希望。

2週間後に再診確認目頭は数字上4㎜動かしてもいい。涙湖全体が見えない程度に出来る。

手術当日にデザインを決めるためにブジーでシミュレーションすると、上のラインが好ましいと判断された。画像は術前の遠近図から。

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近接撮影では眼球が輻輳するので寄り目になり蒙古襞の影響が判るはずです。

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上にはデザイン後の開閉時画像を二葉。目頭Z−形成術のデザインが見えます。

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上の術直後の画像は腫脹で開きません。重瞼が倍以上広くなっています。

下に左右各眼瞼部の近接画像です。

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術前は力を入れれば何とか開きます。これが後天性腱膜性眼瞼下垂症の本態です。

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術直後は腫脹で開きません。目頭Z−形成術の創は縦長のZ型になります 。

術後1週間で抜糸しました。

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腫脹は48時間がピークです。そのピークから緩やかに軽快していきますから、腫脹の消失時期はピーク時の程度に依存します。

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近接画像では内出血が顕在化しています。腫脹は強かった。

内眼角間距離は34㎜でそれは皮弁の腫脹が影響しています。開瞼と重瞼幅は反比例します。特に内側が挙がらないのは、内側の挙筋が弱い構造のためと、Z−形成の皮弁が腫れて硬いために拘縮が残存しているからです。

本症例は男性ですから、術中の腫脹が高度でした。結果的に腫脹の軽快が遷延しています。術後2週間にも診ましたが、やっと半分治った程度です。しかも画像を頂くのを忘れました。従ってまだまだ出来栄えが見えてきません。次は術後1ヶ月になりますがその際にはいい画を載せられるでしょう。その日を待つといつまでもブログを見せられないのでここまでからアップします。次回術後1ヶ月を載せて更新しますから、お楽しみに!

術後1ヶ月で画像を頂きました。

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腫れが引いてきつつあり、開瞼が向上しつつあります。画像を見れば一目瞭然です。したがって重瞼幅も狭くなり、特に内側の開瞼が得られてきたので眼瞼全長に渉って重瞼幅が揃ってきました。

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でも見て取れる様にまだ腫れは強いです。したがって今後まださらに開瞼は向上します。重瞼幅もまだ1.5倍くらいあるとおもいます。

目頭の肥厚性瘢痕は軽度です。現時点で処置の要はありません。ただし皮弁はまだ腫れています。したがって内眼角感距離もまだ動きます。

次回術後3ヶ月で診せてもらえます。肥厚性瘢痕の起き得る時期ですから・・、それに腫れが長引く症例なので診ていきたいからです。

その様な訳で、目頭形成(目頭形成)が足りないとの訴えがありました。計算上足りている筈なのですが、内眼角間を測ってみると1㎜足りないのです。何故かは判りません。それでは切り足しましょうということになりました。

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内眼角間距離は現在34㎜です。

IMG_8621デザインはW−形成術です。切除幅は1㎜(マーキングの幅を入れると約1.5㎜)ですが、蒙古襞の皮膚は表と裏にありますから、動くのはその半分の0.5㎜で、両側で1㎜です。

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術直後は突っ張ります。

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創はW型です。

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術後1週間で抜糸しました。

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いつもの様に抜糸直後は傷跡が赤く傷みます。

術後1ヶ月で診せてもらいました。外出自粛にも関わらず診せて頂き、ありがとうございました!

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形態的には満足頂けました。

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近接画像ではまだ若干赤い傷跡が見えますが、いずれは消えます。

今回目頭の蒙古襞の拘縮を解除すべく、一辺4㎜60度のZ-形成術を施行しました。目頭切開ではありません。拘縮の解除を目的とする目頭形成術です。内眼角間距離は三角関数で計算して提示しました。やはり人間の身体は生体ですからぴったり計算通りにならないことがあります。

仕方ないので追加手術をしました。今度はW−形成術です。蒙古襞を切除します。そうです!。これは目頭切開(切除)です。でもすでに目頭形成をして蒙古襞の拘縮を解除していますから、再拘縮しませんでした。

これまで目頭切開手術というと切除するだけで、傷跡が縦にできるから、傷跡が拘縮して余計に拘縮して、ひどい時にはBow stringになって段差が出来て、傷跡が目立つことになるのです。

日本人はモンゴル系の血(遺伝子)が多寡あれど入っています。だから蒙古(モンゴル)ひだは程度の差があれど持っていますが、一重まぶたの遺伝子に伴うので一重まぶた者と二重まぶた者で平均約3㎜の差があります。これを治すのが目頭切開ですが、蒙古襞の拘縮は被さりの程度に比例しますから、拘縮が強い一重まぶた者には、まずZ-形成術を施行するべきです。蒙古襞を切除しても拘縮は治らないばかりか悪化する症例が頻発しています。よく私が治しています。

もっとも内眼角間距離の改善が不足なら追加切除は可能です。本症例はその結果良好な形態と機能を造り上げられました。

IMG_1563追加修正術後3ヶ月です。下に近接画像。

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傷跡は近接画像でも見えない程になりました。

「完成!」と叫びました。

当院では、一昨年に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」を遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用は眼瞼下垂症の診断が得られれば保険診療で3割負担は約5万円(出来高請求です。)目頭形成術は角膜に掛かる程でないと保険は適用出来ません。自費で28万円+消費税。