なんか変な題名となりました。インテリは頭脳労働者を称しています。インテリジェンスIntelligeceは知性ですが、知能、思考とも訳し、USAでは情報、諜報の意味が強く、CIA,central Intelligence Agentは中央情報局(スパイ)です。なおインフォメーション,Infomationも情報ですが、伝達、通知、案内などの告げることが主です。本来頭脳労働者は、教える仕事ですが、知能に基づく知性が高く求められます。
ところが知性保持者は、知性を育成する時期の者や、反知性主義者に教育を与える義務があります。その際相手が素直に受け取れない場合があり、インテリの頭の中は悩みます。自然と不随意に表情を作ります。顰蹙です。
「顰蹙を買う。」とは、相手が困った言動を起こすのに対しての揶揄ですが、こちら側の表情で見せ付ける行動です。読んで字の如く、顰は眉を顰める。蹙は顔を顰めることです。インテリはその様な表情を作る心理状態の機会が多く、顔を顰めている時間が長ければ長いほど、当然に鼻唇溝は深くなるでしょう。
だから少なくとも、本症例の患者さんは鼻唇溝が深い。加齢性ですが、長年顔を顰めてきたのでしょう。法令線は人相学用語ですが、読んで字の如く、法令を司る際に顔を顰めるから出来ます。インテリはその場面に出会う機会が多いのでしょう。
ちなみに私も鼻唇溝が深く、もちろん加齢性ではありますが、骨格性です。両顎歯槽が前突だと、Malar complex(頬前の頬骨と上顎骨)との折れ返りの角度が付くので深いのです。なお私は医師ですが、インテリではありません。職人ですから。医師は診断のもと治療を下します。診断には頭脳を使いますが、経験と学術的に醸成したマニュアルが頭に入っています。反射的に考えます。治療は手術なら手が行ないますが、目で診て、頭で考えてから手を動かします。この回路が自動的に動くのが職人技です。頭を使いますが、診療に使うのは知性というよりは、運動神経です。面白い記事を見ました。英語では反射神経が良い運動選手を愛でる時、good hand-eye coordination と表現します。上に書いた様に外科医の場合は頭が間に入っていますから、知性も一部使います。ですから、1/3はインテリで2/3は職人です。医師は学者ですが、外科医は職人です。
症例は59歳女性。3年前に初診され、いくつかの手術を受けてきました。昨夏にブログを視て鼻唇溝プロテーシスを検討されました。他の部位で罹った際に相談され、私直ちに「深いですから適応大です。」と告げると、予定を立てることになりました。「ダウンタイムは腫れてオーバーコレクションですが、むしろその間が嬉しい訳です。でも少なからず内出血します。」と言うと、時間が取れる時にスケデュールを立てることになり、今回年明けに予定を立てました。
手術直前に計測します。側面を真横から診て、頬前の高さと鼻唇溝の底の差を測ります。画像で見て分かる様に側面で鼻唇溝上三角の窪みは頬に隠れます。鼻翼の付け根も隠れます。その段差を測ると、3㎜でした。
画像はまず、正面像と両側側面&斜位の4方向を術前、術直後で見比べましょう。
上左図が術前、上右図が術直後です。正面像では立体的な増量が判りにくいのですが、影の濃さで判ります。
上列が術前の、下列が術直後の4方向画像。術前に見えなかった鼻翼の付け根が術後に歯見えます。影の濃さも明らかに違います。術前に見えたほうれい”線”も術後は見えません。
近接画像と術中画像で説明します。
上に近接画像の術前。上右図は鼻唇溝三角形にマーキングした図。下にはマーキングの斜位像。
上左図はプロテーシスの原料。実はもう切り分けています。二つの部分を三角形に合わせて面取りしていき、滅菌シーツに描いた鼻の図に当てながら形を合わせます。
これを人間の鼻の横に乗せたのが上左図。挿入後が上右図。厚さなりに埋まっています。手術法は鼻翼内側からですから撮影不能でした。ポケットは三角形に骨の上に造りました。
下から見た術前と術後。見事に埋まっています。
下列には術後1週間の各方向です。
術直後は局麻量と腫脹でオーバーに増量されて見えました。術後1週間では引いて、減って見えます。患者さんに依っては「減っちゃってつまらない。残念!。」とも言います。本症例の患者さんはブログを視て知っているので「こんなもんですね。」と達観されています。さすがインテリです。関係ないか?。いや精神的安定は経過に影響します。インテリは内面的に美人で、精神的に安定しているから経過も認容できるのです。
4方向でも術後1週間でダウンタイムをやり過ごしました。位置は触れてもらいます。私も触診して「適切です!。」と告げます。わずかに内出血が黄色く視られますが、社会復帰は術後4日で可能でした。柔和で優しい口元です。
術後1ヶ月で来院されました。
位置は適切です。患者さんは「もう少し内側でも良いのでは?。」と仰いますが、私「そうすると鼻の中に飛び出して、露出はしなくても触れますよ。」と言い訳すると、「ええ、鼻の中にありますよね。触れます。」と教えられ私慌てて覗きます。流石に露出はしていないのでほっとします。
側面で視ると、鼻翼の付け根が見えて、鼻唇溝が浅くなっているのが明確です。斜位では鼻唇溝が線も明らかに浅くなりまして、患者さんは満足されています。優しいインテリ女史です。
術後3ヶ月での完成像を視ましょう。
ちょうど良い埋まり方です。浅くて広がっています。優しいインテリです。
斜位像でも浅い。側面像で鼻翼が見えます。
完成と言いたいところですが、まだ他の部位の予定があるのでその際にも診ましょう。
当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログに加筆しています。もちろん画像操作はありません。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の説明も加えなければなりません。今回の手術:鼻唇溝プロテーシス挿入術は両側で28万円+消費税です。ブログ提示の契約を頂いたら出演料として20%オフとなります。