2023 . 1 . 20

鼻唇溝プロテーシス(鼻翼基部とは間違い)と鼻唇角プロテーシス(鼻柱基部も間違い)の同時手術は2回目です。診断根拠があります。

何度も書いてきましたが、鼻唇溝プロテーシスと鼻唇角プロテーシスは私と私の父が発明した手術です。必要は発明の母とことわざにある様に、ニーズがあるからです。

鼻唇溝(ほうれい”線”は人相学用語で、正しくは溝)は、加齢変形と骨格の影響で深くなります。法令線は表情ジワですが、鼻翼の横の溝の上方に三角形の深い窪みがあります。従来からその部位を注射で埋めてきましたが、ここにたっぷり入れると”線”も引き出されて浅くなり目立たなくなることを、父は昔から知っていました。私が美容形成外科医となった34年前にも、真っ先に指示されました。注入物は種々ありましたが、吸収されるか、吸収されない物は肉芽化します。そこで父は、当然(父はシリコンのオーソリティー)ながらシリコンゴムを入れたくなります。となるとどのルートで入れるかです。そこは器用な父と、解剖を熟知した私の合作です。鼻翼の内側からの挿入が出来ました。5㎜程度の切開から骨の前に侵入して適切なポケットを造り、挿入します。画像を見ても判る様に、創は見えない部ですが、鼻の穴の中を裏返す様に見て入れられます。しかもポケットのサイズがプロテーシスとマッチしていれば動きません。ダウンタイムも軽るく済み、表から見える様なこともありません。

鼻唇角は側面像での鼻柱と白唇の角度です。鋭角だと、鼻尖が喰い込んでいて意地悪っぽいから治したいし、口(歯牙や上歯槽)が前突して白唇が前傾していると鼻唇角は鋭角になりますが、この印象も変えられます。実は父は、台付きL型プロテーシスを駆使して、美人な白人の様な本当のアップノーズを造り上げるのが有名でした。台で鼻尖を押し上げて、ツンっとした鼻にするのです。その台は鼻唇角を変える作用もあります。平均的に白人はアジア人と比べて口が出ていませんから、鼻唇角が鋭角でないので、その点も目標に加えて調整していました。実は台とL型を分離して入れていた医師が同年代にいたので、別々に入れてみようと思ったのです。その後に台だけ、鼻唇角の改善だけを薦めることが増えました。

これも何度も書いてきましたが、鼻翼基部と鼻柱基部は点です。形成外科の知識です。口唇裂の手術の際には、口唇(完全型では白唇と赤唇から鼻孔底)が割れているから、左右対称的に作り上げるためにはメルクマール,Merkmal (独):指標、目印が必要です。鼻柱基部を左右対称に、鼻翼基部から鼻柱基部の距離を同値にして、裂側を引き寄せて左右対称に造り上げるための点です。残念ながら、チェーン店系の美容整形屋は形成外科・美容外科の医学的知識を学ばずに参入する医師が多いので、解剖学的な知識など身に付けないで間違った用語法を使うのです。アッ!、父は非形成外科医だったのに、何故か正しい手術名で呼んでいました。もう忘れましたが、もしかして私が教えたのですかね?。私を形成外科に入局するように奨めたのは父でした。もしかして?、自分が知識を吸収するためだったのかもしれません。

父は情報発信が下手だった。というか、美容外科が標榜科目になった昭和53年以後は、参入者が増えて、広告費用と機会が減ってきたからです。その頃から美容外科医師間では、最ベテランの父に教えを乞う物も多く、この二つの手術法を披歴してしまいました。その中の誰かが、韓国へまた教えして、韓国では美容医療がビジネスですから、”貴族”だとか、”ネコ”だとかとニックネームを着けて、情報を流布して流行らせてくれました。SNSは世界的ですから、それを視た日本人も知るようになり、私のブログも見て私の下に”戻って”来る様になりました。

ところで、鼻唇溝プロテーシスと鼻唇角プロテーシスの適応患者さんは多いと思いますが、非適応の患者さんも居ます。容貌は個体差があり様々です。よく吟味する必要があります。診察と、それこそカウンセリングです。診断根拠はいくつかありますが、良く診て、じっくり話し合う事が大事です。本症例は原因があり、容貌からして適応性大です。読んで、視れば判ります。

症例は26歳女性。これまで、他院で三年前に鼻翼内外切除で縮小している。胡座鼻は改善されたが、鼻翼横の窪み、つまり鼻唇溝の上三角が目立つようになった。さらに他院で鼻尖軟骨縫合法に依る縮小術を受けたら、プロジェクションで上向いて鼻唇角が喰い込んだ。そこで、鼻唇溝プロテーシスと鼻唇角プロテーシスを希望して来院されました。ブログを視て、同時に出来る事も知っていました。 ところで私は鼻翼溝プロテーシスを鼻翼内側から挿入しているのですが、鼻翼縮小術の後で問題ないかを懸念されていました。触診すると瘢痕は深くないし、侵入経路は骨の前ですから、手術しにくい事はないと考えました。鼻柱部には横断する瘢痕がありますが、短めの鼻唇角プロテーシスなら関係ないと考えました。 サイズですが、鼻柱基部が鼻翼基部よりも2㎜上方にあり、水平以下にしたいので、鼻唇角プロテーシスは鼻中隔軟骨の先端まで5㎜+2=最低8㎜の径が必要と診断しました。鼻唇溝プロテーシスは鼻翼の折れ返りから最底部までが左4㎜、右3.5㎜で厚さが決められます。形は深い部分をマーキングして決めましょう。

ちなみに鼻尖はもう少しツンっとさせた方が綺麗ですから、私の得意の軟骨移植を追加しても良いのではないかと進言しておきました。傷は同じで出来ますし・・。

画像は経時的に各方向を視ましょう。手術前から。 IMG_4421IMG_4423

手術前の最終診察時に、点線でマーキングして患者さんに確認しました。鼻唇角の下の人中稜には、中心を決める為にマーキングしています。

IMG_4435IMG_4433IMG_4427IMG_4429 4方向で診ると鼻唇溝上三角に3点描いてあります。側面像で鼻唇角は90度程度です。側面像で鼻柱が鼻翼に隠れています。

IMG_4426下面像で両側鼻柱基部にマーキング。この2点が鼻柱基部です。鼻唇溝上三角部が凹んでいます。

手術室へ入室後デザインを書き足しました。

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両側の鼻翼横の鼻唇溝の上方の三角が点線で描かれています。どう見ても深い陥凹ですよね。鼻翼縮小術で面積が増えたそうです。鼻柱が鼻翼より2㎜上にあります。2本線まで下げたいです。 ここから手術中の画像を視ましょう。

IMG_4438とは言っても、手術創は鼻孔内で写せません。プロテーシスの作成画像を視ましょう。鼻唇角から。上図は既に切開してポケットを作成した後です。大体形が合っている物を用意して、サイズを合わせます。今回は円錐系です。 IMG_4439IMG_4440

出来た物は最大径8㎜の円錐系です。上右図は前から見た画です。この後挿入して、創は2層(真皮2針+粘膜6針)縫合しました。

続けて鼻唇溝プロテーシス。

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やはり切開線は見えないのです。鼻翼の内側を縦に5㎜切開して梨状口縁へ剥離して、そこから外側に向けてポケットを作成します。デザインの点線を触れながら、その深部に曲の鈍剪刀を入れてポケットのサイズを知ります。その後、上左図の如く、鋭利な剪刀で作成していきます。上右図は右側のプロテーシスを切り出した物。

IMG_4442これを更に面取りして角を取り、三角形にします。 IMG_4449IMG_4450

清潔シートに清潔ペンで鼻の画を描いてプロテーシスを置いてみました。上左図は右側(向って左)のプロテーシスだけ角を削り、厚さは4.5㎜としてます。上右図は、その後私の頭の中を反転して、左側(向って右)のプロテーシスも同じ形に削り、厚さも同じく4.5㎜としました。 IMG_4451IMG_4453

上左図は顔にも、もう一度清潔ペンでマーキングして、窪みの形を確かめます。上右図はプロテーシスを顔の上に載せました。マーキングとピッタリ同じでしょう。 IMG_4454IMG_4455

上左右に正面像でプロテーシスを載せた図と挿入後の図です。挿入部は骨の上ですから、顔の前に置いた図よりも自然に見えます。当たり前です。でも窪みは無くなっています。 IMG_4456IMG_4457

近接画像でも平坦です。鼻柱の水平位置は鼻翼と同高です。下面像では、鼻翼横の鼻唇溝の上方の三角系のマーキング部に窪みはありません。因みにやはり、鼻唇溝の線も浅くなっています。 IMG_4459IMG_4460IMG_4462IMG_4461

4方向でも綺麗に埋まっていて、鼻柱が見えます。

そして、術後1週間で抜糸しました。

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位置は適切です。触れて判ります。患者さんにも適時確認してもらいます。

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実は左右の深さが微妙に違いました。画像を見てもまだ左の方が右寄り深いかも・・。法令”線”が見えないのは、それはそれで不自然です。明らかに浅くなっているのでこれで良しでしょう。

IMG_4704下から見ても創は見えません。本当に鼻唇溝の”線”も浅くなるのですよ。

術後3ヶ月で完成を観ましょう。

明らかに見えた鼻唇溝が浅くなり、喰い込んだ鼻柱基部が下がって鼻翼基部との高さが揃いました。位置も適切でしょうが、診られませんでした。

4方向で診てもスッキリした口元を造り上げられました。

当院では、4年前に厚生労働省より改定されて施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。鼻唇角プロテーシス挿入術は15万円+消費税です。鼻唇溝プロテーシス挿入術は両側で28万円+消費税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として手術部位だけ載せる場合20%オフとなります。