2024 . 4 . 1

口角挙上術の2回目ですが、口角の内側の白唇がダブついているから、台形切除のデザインです。

美容医療は形成外科と美容外科を車の両輪と捉えて、使い分けて診療するべきです。一言でいえば、形成外科医療は何らかの原因(外傷や病気や先天性異常等)がある状態を正常な形態に戻す治療ですから保険診療、美容外科医療は正常範囲の形態をより改善してまたは加齢という正常変化による形態破壊を取り戻す治療なので自費診療です。しかし歴史的には紆余曲折がありました。

そもそも、美容的な医療は有史以来自然発生したのです。重瞼術は三国志にも記載されています。我が国でも少なくとも昭和時代に医学論文が刊行されています。もちろん美容外科どころか美容整形との科目名もない時代で、眼科医や耳鼻科医が手を出していました。日本は昭和36年に国民皆保険制度となりましたが、それまでは美容医療に限らず自費診療でしたから、美容医療に忌避観念がなかったからでもあります。戦前から美容医療を謳う病院はありました。昭和の戦後に美容整形と標榜(本来は違法)する美容医療が隆盛しました。

その後形成外科は昭和51年に標榜科目(広告も含めて表立って名乗れる科目名)となり保険診療が大部分となりました。美容外科は昭和53年に標榜科目(美容整形は標榜科目ではありません)となりましたが、自費診療のままで認められました。

形成外科は、第一次世界大戦時に国民総動員戦となった為に、ヨーロッパ各国の非職業軍人が、特に塹壕戦で顔面外傷が多発したから、戦後に形態的改善を求められ、ヨーロッパ各国が政治的に医療を動員した後に、技術と知識を集約して担当医達がPlastic Surgery,形成外科として立ち上げました。その後、形態的修復手技は外傷だけでなく、先天的および後天的な疾病にも広がりました。そして第二次世界大戦時にも活躍しました。そして日本は終戦直前に核攻撃を受けましたから、戦後に進駐してきたUSAの形成外科医達が治療?(原爆の人的被害を確認)しました。

実はその中の一部の有名な医師が美容整形病院(Juujin)で講義しています。私はその論文を読みましたが、口唇裂手術の大家ですが、美容外科的医療も行っていました。このように、戦後すぐには美容医療はカテゴリー分けされていません。

ところが昭和30年代に入り、USAやヨーロッパの先進国で美容医療を学んできた医師群が、Plastic Surgeryを形成外科と訳して医学だと主張して、それまで市井で美容整形と称して、美容医療を診療していた医師を糾弾し始めました。つまり二群が存在することになりました。

こうして形成外科医は大学病院や大病院で診療され、美容整形は開業医が主体で診療されてきました。後者は当然ながらビジネス的に変遷していきました。その後交流が進み、昭和50年代にはどちらも標榜科目となりました。でも学会は現在まで二つ存在します。ちなみに私や父は両方に汲みしてきたので、コウモリと呼ばれていました。

私が大学医学部を卒業して北里大学医学部形成外科医局に入局した昭和62年には、形成外科医と美容外科医は反目していました。私は入局直後にある上級医(とっくに開業した有名な医師)に「おまえさんは、当然に美容外科を継ぐんだから、一緒に勉強しよう。」と期待されながら、他の上級医には「美容外科医いや美容整形屋はインチキだし、患者は皆ビョウキだぜ。」「形成外科専門医に合格する6年目まではビヨウに手を出すな。」と釘を刺されました。

もちろん私は、父のクリニックでアルバイトとして美容外科を診療しました。当時形成外科医局に在籍しながら、美容外科診療も研修できた医師は数少なかったのですが、私は”おめこぼし”を受けていたのです。その後、今世紀に入った時学会で「形成外科医は美容外科医療にも積極的に進出しましょう。形成外科と美容外科は車の両輪ですから。」と提唱され、その後現在に至るまで、大学形成外科出身の医師で美容外科チェーン店に就職する機運が立ちました。逆に卒後に形成外科に入局する目的が、美容外科の下地だと考える不埒な輩が増えたのも困りものです。実際S.美容外科クリニックチェーンでは形成外科に2年在籍した医師を雇って、HPの経歴に載せて箔を着けて、まともなフリをしています。やっぱりインチキです。

何だか判りにくい前振りになりました。でも私の患者さんの多くは同年輩で、この話題を知っている人も居ます。昨今ITとコマーシャリズムに乗せて、美容医療が隆盛に見えますが、上に書いた様な経緯は忘れているか、知らない降りをする人も多いので、書いてみました。

症例は58歳女性。約2年前に初診されました。いくつかの手術を施行して来ました。1年半前に口角挙上術を致しました。垂直方向から35度倒した方向に5㎜挙げました。

昨年10月末には他が一段落して、口角の内側を追加切除したいと言い出しました。翌月にも話しています。年末にプランを立てました。次の口角は60度で横に、4㎜と記載しています。

本年に入って手術。手術直前のプランは”やはりあまり横には引かない。そうして診ると、口角の内側の白唇がダブついている為、45度方向に4㎜。口角の内側を挙げたいので台形のデザイン。

デザインは患者さんと二人で共同で検討しました。

確かに口吻が前突しています。歯槽骨が前傾しているのです。結果的に前歯だけでなく犬歯部の白唇が”モッコリ”としています。ここに注目してデザインを考えました。

残念ながら台形のデザイン画を撮り忘れました。仕方ないので、画像を出力して紙にデザインを描いてから撮って、載せてみます。

4方向で観ても、頤と鼻があるから、E-ラインよりも口吻が3㎜程度前なだけですが、口吻が尖っています。斜位像で口角の内側が前突しています。

近接画像で前回の傷跡は目立ちません。近くで診ると、口角の内側の余剰が判ります。

術直後の画像ですが、台形切除だとカクっと挙がります。挙がると、後方へ移動して見えます。

4方向で、腫れていてもスッキリしています。

下には術後1週間での抜糸後の画像群。

カクっとしていません。むしろよく挙がって見えます。

台形のデザインが功を奏して、来院するなり、「上品に挙がった!。」と一言。両顎歯槽が前突な為、中央が尖っていたのが、サイドが上がって尖ってなくなった。上げすぎだと下品になるのを丁度良く挙がったとお喜びです。

私告げました。「51%は患者さんの認識が正しかったからで、それを汲めたのはこのところよく診させてもらっているから信頼関係が深いからです。

術後1ヶ月の正面像ですが、形は良いですと。祈雨後も目立たなくなって来ました。

4方向で見ても赤唇縁のカーブが自然です。

下には術後3ヶ月の画像群。

成功と言ってくださいました。上品と返しました。

漠然とイメージが合った結果です。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の提示です。口角挙上術は25万円+税。本症例は複数回となり切除量も少なく、ブログ掲載の契約を受けてもらえたので、出演料として特別に40%オフとしました。