2024 . 6 . 25

ギューっと目を閉じたら浅くなった二重瞼。前回の切らない眼瞼下垂手術の効果=目の開きは保たれていますからMT法で可能です。

人間は類人猿から枝分かれしたのですが、現世の人間はホモサピエンスという種類で、特徴的な構造を作る基本的な遺伝子は皆同じです。ちなみにチンパンジーとホモサピエンスは、1%も違いません。でも遺伝子は一定のインターバルで突然変異します。交配もします。だから基本的な構造は同じでも、個人的な形態と機能は皆微妙に違います。

これまで何度か触れてきた話題です。類人猿の時代から、いやその前に枝分かれした哺乳類も多くは二重瞼でした。哺乳類が進化するに従って視機能が高まったのは、生存に優位だからです。少なくともホモサピエンスがアフリカで発生した際は、皆二重瞼だったと考えられています。二重瞼は視界が広い分、視機能の利用に有利です。

約2万年前は最終氷河期で、北東アジアは極寒で、しかも砂漠化していたので、アフリカからはるばるやってきたホモサピエンスの集団は、目を細めないと見えなかったのでしょう。ある時この集団の中で、遺伝子が突然変異を起こして、一重瞼で蒙古襞が被さった(拘縮)した人が多く生き残り、生存に有利なため、この集団に遺伝子が蔓延(交配)していったのです。徐々に東アジアにも進出しました。万里の長城は中国人が防御のために作ったのですが、北東アジア人は騎馬民族で強いので、簡単に破り進出しました。その後韓半島を得て、日本列島にも進出した集団が、渡来系日本民族(いわゆる弥生系から古墳時代人)です。それ以前から居た日本民族(いわゆる縄文人)は、一重瞼と蒙古襞の突然変異遺伝子を持っていなかったので、二重瞼でした。席巻した渡来人と縄文人は徐々に混血していって、現在日本人は二重瞼と一重瞼が半々です。

いつも書きますが、開瞼は第一眼位で測ります。顔面正立(ホモサピエンスだけができる)での正面視時の、目の見える窓の縦長です。画像で測れる方法でMRD, Margin Reflex Distanceという指標が使われます。訳せば、瞼縁と角膜中心のフラッシュの反射の距離ですが、2、5㎜以上が正常です。ここまで書いて考えてみたら、開瞼とは瞼縁か?、皮膚か?。そこが問題です。私はいつも説明しますが、第一眼位で瞼縁よりも皮膚が上にあるのが二重瞼で、瞼縁が皮膚で隠れているのが一重瞼です。だとすれば、眼瞼下垂は前葉と後葉の両面を考慮するべきで、やはり開瞼は、第一眼位での窓の大きさそのものを基準としたいと考えます。

ですから、開瞼の最大化のためには二重瞼である方が有利です。上に書いたように、視機能の向上は、人類にとって生存に影響してきました。現代においても、知的作業にも視機能は影響します。視機能は視力、と一言で片付けられますが、それは一定の方向と距離での見え具合だけの指標です。屈折調整(どの距離か?)と視野も機能として考慮されるべきです。

開瞼は視野に影響しますが、二重瞼か一重瞼かで明確に差が生じます。また眼瞼挙筋の挙上力は個体差があります。両方を治す場合、どちらかを治せば良い場合。両側か片側化などいろいろなバリエーションがあるので、診断が重要です。診断は治療法の選択の根拠となります。

症例は30歳女性。2022年11月29日に最終更新されているブログに前回の手術経過が載っています。コピペします。私が眼瞼を診て話を向けると、手術の既往歴の話になりました。3年前Ky.美容外科で、4点埋没法で重瞼術を受けた。本人は広いと思っている。開瞼は生来良好だったが、広い二重のせいで、なんか求めた結果と違うと想っていた。いわゆるハム状態とも認識していた。「黒目整形で治せますか?。」と訊かれて「もちろん!。」と答えると、患者さん「だって先生のブログ視ましたよ!。治っていて、よくできているよね!。」と乗り気。眼裂横軽が大きく目が大きく、小顔の美人なので、眼瞼を改善することを希望されました。そこで前回の術前と術後3ヶ月の画像を載せます。よく出来ていました。

IMG_5982IMG_8908

前回の画像は上左図が術前、上右図が術後3ヶ月ですが、開瞼は向上しています。但し重瞼は変えていません。

さて、今回ある時二重が緩んで浅くなり、しかもラインがずれて前葉に左右差ができたので、緊急来院されました。突然患者さん「(何かしたら)外れました。ギューッと目を閉じる行動後の翌日見たら変わっていました。」原因となる行動は書きません。外力ではありません。ですが、よく診ると、開瞼はそれなりに保っています。フェニレフリンテストをするまでもなく、今回は重瞼術埋没法、当院が得意とするダウンタイムが短いMT法の適応と考えました。

では今回の術前画像遠近二葉を観ましょう。

上左図は遠景、上右図は近景。どちらもやや下方視となっています。前葉が落ちたから開きにくく、しかも眉が挙がっています。

重瞼線は特に右が狭く、しかも段違いになっています。左も外が二本線です。

早速手術中画像です。

デザインを描いた後に、糸の通る孔を開けました。針の太さの細い電気メスで孔を開けておくと、針が通るときに出血が起きないので、侵襲が少なくできます。孔は小さすぎて、画像で判らないかも知れません。今回は予め測っておきました。リラックスした閉瞼時の、瞼縁からの高さを測りました。右眼瞼外側7.5㎜、右眼瞼内側8.5㎜。左眼瞼外側8㎜、左眼瞼内側8㎜です。吊り目を防ぐ希望にて内側を高くしています。

上左図は糸を通した直後です。青い糸が、各点から出ているのが見えますかね。この後結紮します。皮膚面より2〜3㎜上で結んで、”アソビ”を作ります。あそびとは車のハンドルやアクセルやブレーキが、踏んだらすぐ効いたら危ないので、力が働いた瞬間は効かないことです。眼瞼でも、開こうと眼瞼挙筋が収縮した瞬間に瞼が上がると、キツイ喰い込んだんだ二重瞼になるのを防ぎたいから、”アソビ”を作ります。そう入っても手術直後の上右図では、腫れた分喰い込んで見えます。

術直後に10分冷却すると腫脹が軽快します。今回は希望にて、その間涙袋に注入するための貼付麻酔(ペンレス)をしました。上図遠近二葉は注射後です。

右内側の重瞼線の点を挙げましたから、相対的に若干開きが弱りました。負担が係っているからです。治るでしょう。

下には術後17日の画像。

腫脹(腫れ)は引いてきました。でも線の上の膨らみは残ります。

患者さんの希望に沿ったつもりですが、細かい点を指摘されました。美人はこだわって良いのです。確かに開瞼はピッタリ同じではありません。でも患者さんは「誰でも全く対称的ではないですよね。」と言います。そう言いながらも「右の二重のラインが好きです。」「左はこの目頭側が落ちているし・・。」と指差します。私「だってこれ、カルテ見て!、左右同じラインでデザインしない希望でしょう?。」と逆に指摘。患者さん「じゃあここ挙げられる?。」と訊くので、私「MT一本足してもいいよ。」と言えば納得しましたが、今度は「眉の下のブヨブヨを無くしたいかも?。」と訴える。私はいきなり手で引き上げてみて、「眉下で取れるね!。」「腫れぼったさ、たるみっぽさは脂肪,ROOFですが皮膚と共にとれますよ。」と診断しても「まだ先の話で良いでしょ?。」と閉めました。丁々発止の診察でしたが、美人なので楽しいやり取りのひと時でした。何度でも診たい可愛い患者さんです。

当院では厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守し、ブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。

症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えます。MT法2点は消費税込みで107,800円です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。