2024 . 6 . 17

外国人もJowl Lift :引き上げて若く、ついでに鼻唇溝に入れた異物も目立たなく。お隣の国はやはり美容医療後進国ですね。

皆さんは興味がなくてご存知ないのか?、嫌いだから忘れたいのか?、本邦の美容医療の歴史は古いのに認識していません。日本国では既に、先の戦争の前後に美容医療が行われ、学術的発表も為されています。とは言っても他科からです。重瞼術は眼科医が、隆鼻術は耳鼻科医が書いています。お下の治療は当然泌尿器科が書いています。戦後すぐに美容医療を進めたのは十仁病院ですが、実は戦前は泌尿器科でした。結構流行っていたそうです。戦後に占領軍のGIにぶら下がる女性を対象に、外人にモテる様に変える美容整形が興隆しました。その後の高度成長期には、雨の後の竹の子の如く美容整形医院が林立しました。昭和30年代の東京では、山手線の各駅に美容整形医院がありました。駅の看板も必ず掲げられていました。私は電車通学でしたから、毎日窓から目にしては、「あっライバルだ。」と悔しがって、帰ってから父に訴えていました。

この様に経済成長が美容医療を隆盛させてきたのです。皆さんは中流意識が染み付いているでしょうし、失われた30年間には美容医療の話題は希薄でしたから忘れていたでしょう。実は最近になって、美容医療が流行り出した様に見えるのは、医療コマーシャリズムの抜け道に追随した規制緩和と、SNSの為です。実はHPに対しては、10年前までは医療広告と見做されませんでしたから、医療法での規制がなかったのです。チェーン店(大手という患者さんがいますが、ビジネス的という意味で、まともな医療機関とは言えません)の美容外科のHPでは、画像改竄が横行していました。だから逆に、10年前にHPとSNSに対して医療広告と見做すことになって、医療法での規制成立後には、チェーン店はTVCMの乱発合戦となりました。

この様に、経済成長とコマーシャリズムとインターネットの進歩が、美容医療を隆盛させたのは明白です。さらに民主主義国家でなければ、自分だけ綺麗になる美容医療は禁忌なはずです。そして資本主義国だからコマーシャリズムが利用されます。ですから金儲け主義と揶揄されるのも仕方ないのかも知れません。対して私は、患者さんに喜びを与える医療行為と経営を、上手くバランスを取って診療してきました。但し日本では、昭和時代に、医学的水準と科学を無視した美容医療が横行して、好ましくない、それも後遺する様な結果が多発しました。50歳以上の人は知っていますよね。だから、美容医療に対して一部で忌避観念が染み付いている面は否めません。

上に書いた理由から、東アジア国での美容医療の認知はつい最近からのことです。

韓国は今世紀に入って、5代前の大統領の時代から”民主化”して、みなさんご存知の様に4代前の大統領が眼瞼下垂の手術を受けました。その頃から国家を挙げて美容医療が喧伝されてきました。決して韓国は、美容医療先進国ではありません。国策として「美容医療で稼ごう。」との号令が流れているので、一般市民に忌避観念がなくオープンなだけです。ですから一般市民間で、美容医療の話題が彷彿します。くちこみも忌憚なく為されます。もっとも韓国はIT先進国ですから、TVCMにあまり費失しないで済む分、料金も下げられます。韓国は新しい美容医療国ですから、むしろまともに受けられ、国民は幸せなのです。

中華人民共和国は”一応共産主義国”です。共産主義では国民は平等なはずですから、美容医療はあり得ません。資本主義ではないから、コマーシャリズムも国家に規制されているので、美容医療は隆盛しませんでした。鄧小平氏により市場開放政策に転換し、外国の資本を沢山受け入れる様になってから、美容医療も導入された次第です。

したがって中国では、国民を対象とした美容医療水準は、医学的にも高度ではありません。ましてや今世紀初頭までの、投資を受けての真似っこ美容医療はテキトーでした。中国のテレビに出るアナウンサーはバレバレ二重で美容手術顔ですよね。今回もその様な症例です。異物が入っていても、なんだか知らないし、非吸収性ですから、摘除は諦めています。私キツく、後進国と書いたのですが、諦めてくれていて、私に代替手段を求めてきたのは賢明です。ならば「どうにかして上げよう。」と腰を起こすのが私の習性です。上手く結果が得られる様に頑張ります。

症例は52歳女性。中国出身ですが、日本に20年以上在住。当院と契約している通訳者でカウンセラーの女性に連れられて、4年前に来院しています。他医にスレッドリフト等の治療を受けました。今回も同様にカウンセラーが同行して来院されました。

いきなり、スレッドリフトではつまらないので、切開リフトを希望されました。しかし私は拝見するなり、「これなんですか?。」と叫びました。通訳が説明してくれます。「中国で20年前に入れたということです。」私「どこに入ってんの?、なんで鼻唇溝の溝でなくて〜、内側に入っているの?。」誰が見ても間違った部位に注入物があります。通訳はさらに「吸収されないものかな?。ずっとあるみたい。」と言う。上に書いた様に私、吸収されない注入物をこんな場所に入れるなんて、やはり後進国なんだと感心した次第です。

そこで私、Jowl liftで目立たなくできるか悩みます。流石にここまで剥離したら危ない(先日剥離が鼻唇溝を越えたら、やはり表情筋⦅頬骨筋群⦆を傷めた)し、そこで用手的にいつもの様にシミュレーションしてみたら、意外と棒状の注入物が平坦に近づいたので私「いけるかも。」と、手術で目立たなくしたくなったのですが、そこで患者さんも通訳も「これ、異物は完全に消えなくてもいいとのことです。」と腰を折られ”カクン”っとしてしまいました。私”ちゃんと人の話を聴いてないのか?。”と困惑して「もちろん消せないし、切り取れない部位です。」と告げる。

その上通訳が「後ろの傷跡は短くしたいそうです。」「顎の下は引かなくていいそうです。」と言うから顎下の頸部を診ると、確かに弛んでいないから要らない。「確かに!、頤があるから、顎の下は弛んでいないね。」と言っても【おとがい】は通じない。頤と書いたら解った。漢字だもの。そこで「耳後部を短くしたら、後ろに曲げて切ります。」と告げ、さらに「髪を上げたら見えますよ。」と念を押すと、患者さん「上げません。」との事。私「ならば出来ますし、鼻唇溝を目標とするなら、耳前だけでいいのです。」

その様な訳でJowl から鼻唇溝に特化したLiftを希望されました。耳後部の切開は短くします。手術前にもう一度説明します。「耳珠の上下の点をメインに引けば鼻唇溝にも働きます。」耳後部の切開は2㎝以下に決まりました。もう一度用手的にシミュレーションして、「外耳道前の耳珠の上下を2㎝は引けるでしょう。耳垂部は減らして、耳後溝の切開は短くして、後ろに曲げます。髪上げたら見えますよ。」ともう一度念を押しておきました。なお希望にて静脈麻酔を併用します。

画像は各方向を経時的に比較していきましょう。

上左図は術前の正面像:鼻唇溝の内側からマリオネットラインの外側に異物が観られました。上右図は術直後:局所麻酔が切れていないから顔が落ちていますが、術直後には異物は見えません。

翌日診ました。昨日の術直後は腫脹と局所麻酔で異物が見られなくなっていたのですが、翌日は若干何かが見えます。でもたるみが挙がったからお喜びです。

上左図は術後1週間で一部抜糸後です。異物の見え方は変わりません。よく引き上がって張りがあります。若々しい雰囲気が造れました。

上右図は術後2週間で全抜糸後。

今回中国に帰る用事があるそうで、都合に依り術後10日目に全抜糸しました。異物の件は今後検討しましょう。ヒアルロン酸を異物の両サイドに入れて隠すか?。引っ張られて潰されて、減って見えるから出来そうです。それも右だけでよさそうです。実はこの後注入しました。次回の画像で観ましょう。上右図は術後1ヶ月です。いよいよ注入物が見えてきました。このチャンスに溶かす注射をトライしましょう。

下には側面像と斜位像。

上は術前、下は術直後。

確かに異物は惹かれて平坦化しました。もちろんJowlもですし、下顎縁も引き上がりました。

手術翌日は、腫脹がピークなはずですが、スッキリしています。ただし異物は見えてきました。

術後1週間では下顎縁が立ちました。

斜位では異物が見られますが、減って見えるのは確かです。

上は術後1ヶ月の斜位像。注入物が見えます。

側面像でも術前と術直後の下顎縁の差、Jowlの引き上げは判ります。

手術直後には、内出血というか血液が透けて見えます。

何故か手術翌日には腫脹が引いてきましたが、異物は見えます。

術後1週間ではまだ内出血が黄色いのですが、メイクで隠せます。

術後10日で全抜糸しました。異物は左側が多いのでしょうか?。でも右側がボコッとして目立ちます。

上は術後1ヶ月の側面像。溶かす注射でどのくらい減るか、次回が楽しみです。

下には近接画像です。

デザインですが、前は鼻唇溝の外側まで。後ろは耳後溝を2㎝切開して後方に曲げます。術中の画像はありませんでした。

切除皮膚の上左図は右側の分、上右図は左側の分。下図は両側の切除皮膚を並べました。

私は原則的に左右同じだけ取ります。耳珠の上下部で20㎜、耳垂先端部で15㎜、耳後部の余りは15㎜でした。

術直後の前後の縫合創を見ましょう。前の上方は、耳輪前でもみあげ部は切りません。耳珠の後ろを切開していて前部にアンカリングして凹みを造り耳珠らしく再建します。耳垂前部はしわです。耳垂を回って耳後部は折れ返り線ですが、ドッグイヤー予防の為に後ろに曲げています。

下には術後10日の全抜糸後の傷跡です。

耳前部の傷跡のうち、耳珠以外は見えなくなっています。

耳後部の傷跡は抜糸直後で赤いですが、後に曲げた線はどんどん目立たなくなります。

下には術後1ヶ月の傷跡。

耳前も耳後も傷跡の線が目立たなくなってきました。

しかも耳垂も伸びていません。耳珠も変形していないし、ちゃんと珠の形が温存されています。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守し、ホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。広範囲剥離中顔面リフトは80万円+消費税ですが、今回は切開を短くしたので60万円+消費税としました。PRPは10万円+消費税です。静脈麻酔は5万円+消費税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として手術代から20%オフとなります。