なんとも素敵で真面目な患者さんです。10年前には難しい状態をうまく治して、お喜び頂けました。その結果を覚えていて、今回もまた治すなら、私に頼みたいと言って再来されました。実はその間、何人かの患者さんも紹介して下さいました。優しい患者さんです。
この様に、患者さんと医療者である私が、人と人として付き合えるのは、美容形成外科医、いや医師としての幸せです。もちろん日常的に付き合っている訳ではありません。特に、今や美容形成外科医の中の多くは、ビジネスに徹しています。医療の目的が金儲けで、資本主義に毒されています。難しい言い方になりますが、アベノミクス後から、儲けることが良いと捉えられ、その上その頃から、政治家が嘘を吐きまくるから、国民も追従して、特に美容形成外科の世界では、SNS上や広告で間違った情報を流して稼ぐチェーン店が、横行してしまいました。
医師は先生(センセー)と呼ばれます。それは診療行為だけでなく、患者さんに対して健康のための指導を務めとするからです。その際病気を診るか、人を診るかが問われます。さらに国民全体の福祉も診るべきです。中国の諺に「小医は病を医す 中医は人を医す 大医は国を医す」とあります。私は政治家でも役人ではありませんから、大医としては役立ちません。でも美容医療の分野に於いては、国民全体の、つまり患者さん側に立って、37年間美容医療をまともな医療にするべく、ビジネス系チェーン店クリニックの”ワルさ”を指摘してきました。狭い分野ですが、美容医療に於いては、大医を目指してきました。小医と中医の違いですが、美容医療=美容外科・形成外科の診療行為に於いては、社会的状況が治療効果に影響するから重要です。人によって求める治療とゴールが違います。ですから私は、診察に時間を掛けて、病歴や既往歴、必要に応じて社会歴も執り、検査やシミュレーションにも手を掛けます。こうして人を診ます。医師のみならず、医療スタッフと患者さんが理解しあう事が、診療効果を高めると考えます。
医師の知識や技術は、医師となってから身に付けます。医師国家試験は、最低限の医学知識を求めるだけです。ですから卒後教育が差を産みます。大学病院や大病院で、システマティックな教育プログラムに沿って受けなければ、高度な専門分野の知識と技術は身に着けられません。でも美容医療はビジネスを目的としたら”テキトー”な教育しかしません。本来国民の一人ずつの患者さんに満足を与えるには、高度な知識と技術を要します。未だにチェーン店には、新人医や他科からの参入医が多く、怪しい技術は見よう見まねで最低限は”手”に付けられても、診療のための”脳内”への知識は教育されません。稼ぐ事が最優先で、教育を授ける、または受ける暇などありません。私は、卒後教育を北里大学形成外科に16年在籍して受けながら、父の美容外科医院でも診療と勉強をしていました。また新人時代から日本形成外科学会と日本美容外科学会,JSAPS & JSASに入会して、学術的にも研鑽してきました。
そう言えば本症例の患者さんも先生です。教育の質や必要性は理解されています。ですから、真摯に勉強しながら美容医療を遂行してきた私を、信頼して下さるのでしょうか?。その点で前回の診療効果の満足されて、私の姿勢を覚えていて下さったから、再来されたのだと思います。嬉しい限りです。真面目に診療して良好な結果を得たいと思いました。
症例は72歳女性。約10年前に私が窪み目を伴う後天性前後葉性眼瞼下垂症の手術をしました。当初腫脹が強く開かなかったのが、数週間後には見事に開いてお喜びでした。2年前に糸が露出して修正術を施行しています。
本年再来されました。今は画像の様に開いているのですが、若干弱くなったと感じ、窪み目も再発しています。患者さんは、現役の先生なので、不便を感じるそうです。もう一度開瞼を強化して窪み目も軽度に治したい希望です。早速フェニレフリンテストをしてみますと、パッチリ開いて窪み目も軽度改善が診られ、私が「シミュレーションです。この通りにして差し上げますよ。」と言うと、患者さんはワクワクされました。さらに「このシミュレーションで開くなら、切らない眼瞼下垂手術で同じ様に挙がります。」と言うと、患者さん「そうねえ〜!。まだ現役だし。それならすぐ治るでしょう?。」と乗り気です。私「費用は掛かりますが、開瞼に関しては半永久的です。」「瞼板に架けると緩みません。」と言っても患者さんには解りません。さらにカルテの年齢を確認して「一生持つかもしれません。」と半分いじわるな言を懸けると、「そうなのお〜?、じゃあ早めにして下さい。」とさらに乗り気でした。最終確認として私、「重瞼(二重)ラインは変えないで、左右差はあるので、左に合わせたら良さそうですね。」とブジーを当てながら話して決めました。
画像は日を追って、いろいろな表情で観ましょう。
術前の正面視遠近二葉。どちらにしても窪み目が深いです。開くと治りますかね・・。
上方視では、前頭筋を収縮して激しく眉を吊り上げます。三白眼ともなります。閉眼では前回の重瞼線が左右対称的に診られました。これを使います。
近接画像では窪みの深さを見ておきましょう。宛かも三重瞼です。
いよいよ手術です。まず重瞼線をデザインして、2点ずつに針穴を開けておきます。上右図は第一段階。上眼瞼挙筋を結膜側で縫縮した後です。糸が2本ずつ前にあります。
両眼瞼2本ずつの糸を結紮したら、開瞼が強化されます。上左図は正面視、上右図は上方視。
上左図は上方視時に顔の上方から撮りました。この三葉の図で、開瞼はかなり向上しているのが解ります。まだ重瞼は作成していません。
開瞼が強化されたのを確認後、糸を重瞼線上の2点に引き出しました。
その糸を結紮して、結紮の直上で切って、あらかじめ作った針穴に埋め込みます。
さて手術直後の画像ですが、いろいろな目つきをして下さりました。ところが、右眼瞼が既に腫れていて開いてくれません。
露光を変えて、近寄って撮りました。開きは増えました。閉瞼での糸の点は消えます。
明るくしたら、かなり開きました。近寄るとほとんど左右同大です。
下方視では当初は糸の点が見えます。半目では点は見えません。
近接画像では右眼瞼縁が丸くありません。そうです糸で占めた2点が挙がってその間が晴れているからです。
下には術後2週間での経過観察時の画像群。
出来た!。開いた!。クッキリ!、パッチリ!。やはり術直後は腫脹の左右差が開瞼に反映していたのです。仕事にも便利度満点だそうです。前回は現在の私に近い年齢でしたが、現在は年上ですが、若返って60歳代に見えます。でも老視の度は進み(3D,私は現在2D)、ほとんど常時、特に仕事柄眼鏡を必要としています。その際凸レンズですから、目の窓が拡大している訳です。私の手術効果が倍加しています。面白いので撮りました。目が大きい!。
近接画像では左右とも開瞼良好です。窪み目は完全に解消していませんが、浅くなって若返っています。楽譜を見るのが楽になってお喜びです。魅入られる様な目元です。
下には術後1ヶ月の画像群。
遠近二葉を観ても、両側の目のの窓がほぼ対称的です。開いていて便利だそうです。ピアノを弾く時に、楽譜と鍵盤を交互に見るのに、顔を動かさなくても良くなって楽だとの事。そうです。これは社会歴ですが、この様な面も診療の一助になるのです。
近接画像でよく診ると、開瞼にわずかに差。上縁に映ったフラッシュライトの有無が示しています。窪み目は半分治っています。
当院では厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守し、ブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。
症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
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