2024 . 12 . 25

3回目の口唇短縮術と口角挙上術。患者さんが言うには後戻りしやすい体質と?・・。

口周りの手術を頻回に施行し始めてから、もう10年近くとなりました。患者さんは多数いらっしゃって毎週の様に手術していました。ただしこの数年は、若干ですが徐々に減りました。もっとも他の手術が増えたので、忙しさは変わりません。口周りの手術を施行する、他院の医師が徐々に増えたからでしょう。結果的に下手っぴいが増えて、トラブルも増えている様です。

さて美容医療:形成外科・美容外科(・美容皮膚科)に於いては、患者さんが来院するまでの手順が、一般医療と違います。誘引です。

まず広告ですが、TVCMや車内広告は内容が無いか、医学的に間違いが載っていて、本当の意味では参考にはなりませんが、認知度や有名性を上げています。チェーン店系美容整形屋では売上の半分前後を広告料に費やしています。国民は資本主義的ビジネスに踊らされているのです。結果的にその様なクリニック(S.やT.?)では、半分の時間で治療するために手抜きしています。そして昨今はインターネット上のHPや、スマホで視るSNSを参考にする人が増えています。実は数年前までは、HPにしてもSNSにしても、インターネットの記事はユーザーが選んで視るものなので、厚労省は医療広告とは、見做してはいませんでした。しかも画像改竄やステマが横行していました。やっと2018年に厚労省がガイドラインを作りました。主に画像を載せて魅せますが、特にインスタやXでは美容医療の専門家ではない一般人では、正しい評価は出来ない載せ方が多く見られます。私はブログオンリーでこの様に細かい説明を書き連ねています。

次に来院された患者さんは、まず受け付けに行きます。ここからが問題で、チェーン店系の非形成外科医が主宰するビジネス的クリニックでは、受付嬢がカウンセラーと称して、診療の説明を始めます。とは言っても半分素人ですから(それはチェーン店の若い医師も)、広告内容に沿ったテキトーな言質で、儲ける為に”攻める?!”だけです。患者さんは一人一人違う人間なのに、個人に合った診療内容を選択する余地など求めるのは、この仕組みでは無理な話です。そもそも、カウンセリング,Counsellingとは、訳すと相談や助言です。診療は英語でConsultationです。カウンセラーは相談者に過ぎないので、彼等が診療内容を決定するのはお門違いで、違法です。

さて、診療は医師と看護師が担当します。診療とは診察と治療のことですよ。診察は患者さんの個体の状態を見極めて、治療法を提示する為です。得られた診断は、料金を決定するためではなく、治療法の選択の為に下します。検査法や診察法は多岐に亘り、学問的知識が要されます。これもいつも書いてきましたが、医師は医学部では、最低限の知識だけ身に着けます。専門的、特に美容医療の知識は。卒後の教育のが質が担保します。チェーン店では見よう見真似でしか学べませんから、医学的知識は身に付いていません。そして治療は手術が主ですが、昨今はプチの方が裾野が広くなっています。ダウンタイムと費用と効果の持続性の意味で、手術とプチ整形は一長一短があり天秤に架けられます。この点でも患者さんの個人個人の選択の余地があるはずですが、そもそもチェーン店では広告で誘引しているので、押しつけが常態化しているのです。それに治療技術ですが、その点では美容的素養は経験が肝要です。手は目で見て頭が動かします。手先は器用ではなくても自然に動きます。これも知識と経験がさせることです。チェーン店の若い医師には専門的知識を身に付けていないので、個体差や合併症に対処できません。

とか何とか書いていたら!、新聞に拠ると!、美容医療に於いて、昨今問題点が噴出している記事が載っていました。非形成外科医が主宰するビジネス的チェーン店クリニックには、新卒医が多いこと。またずるい輩は、形成外科に数ヶ月だけ在籍して、HPの経歴に載せて伯付だけに利用している奴が居るとも、載っていました。またトッピング治療は常態化しているとも、載っていました。カウンセラーと称する非医療従事者がクロージングする問題点も、載っていました。またチェーン店ではカルテ(診療録)を、医学的に定式で記載しない医師が横行しているそうです。彼らは「病気じゃないからカルテを書きようがないので、詳しく書けないのです。」と開き直っていたそうです。医師法に違反しているのですが、摘発は難しいので、これからは厚労省が報告を義務化する方針だそうです。結局!、チェーン店のいい加減な方針の影響で、私たち真面目な美容医療の医師にとっては、却って面倒なことが生じてしまいました。

ところでこれらの記事の内容は、よく私がブログの前振りに載せていることです。ただ一つ、”形成外科が美容外科の基本的知識として必要でも、技術は教科書に頼ることなく、見て覚える様に”とK大の形成外科教授が書いていました。いつも私が書いていることと、若干違います。あえて言えば、形成外科医局では、上級医が手取り足取り教えてくれますが、解剖学の知識や生理学的知識は自らが教科書(成書=定説を纏めた本)で仕入れて、手術に臨んでは、医局で全員の前でプレゼンテーションして、ゴーサインが出なければ、手術をさせてもらえませんでした。逆に私は、13年次の医局員として講師として大学病院に在籍していた際に、意地悪かも知れませんが、余りにも勉強して来ない若い医師の手術を、却下したこともありました。ただむしろ、そんな医師はその後美容医療の道に進むことを諦めたので、美容医療の世界にとっては、それで良かったのかも知れません。

相変わらず苦言ばかりとなってしまいました。そこで最上段に戻って読み直すと、私に罹る口周りの手術が漸減しているしているのを、説明しようと思ったからでした。でも最近また増えています。結構手間暇が係る手術ですが、集中力を保ち、腰を据えてじっくり丁寧に手術していきます。ついでに言えば、ブログも真面目に、着実に書いていかなければ終わらないですね。

症例は61歳女性。5年前に初来されていてまず、上口唇に対して診療録に載っています。白唇長23㎜。E-ラインより口吻が10㎜前で赤唇が内反しています。生来は赤唇は薄くなかったが、貧弱になったそうです。上顔面55㎜:中顔面60㎜:下顔面60㎜と面長ではないが、上口唇29㎜:下口唇31㎜と、黄金比に比べて明らかに上が長いです。そこで当時の術前の画像を観ると、鼻の下がビヨーンと長い画でした。続けて眼瞼の件に話が回って、やはり口唇に戻り1回目の手術で、6㎜短縮し、口角は垂直から30度斜めに5㎜挙上しました。

眼瞼、頤、鼻翼などを治して1年後には白唇長17㎜と後戻りは診られなかったが、やはり比率的に追加切除を希望されました。3㎜切除を予定しました。口角は後戻りして下がったので、2回目の手術をしました。2回目で合わせて9㎜短縮したので、数週間は話す仕事に支障を来たしたそうです。その後リフトやPRPを施行していました。

本年10月に来院した際に、「やはり、上口唇をもう一度短縮したい。私後戻りしやすいみたいです。」と仰います。私カルテを反芻して、まとめて記載しました。上白口唇23㎜→6㎜切除→3㎜切除追加。計算上14㎜が5年間で15㎜まで後戻りとなっています。私心の中で”後戻り極小じゃないですか?、術技が担保しているさ!。でも元が長いから、もう一度したい気持ちは解る”と叫びながら「口が閉じるかどうかです。」とシミュレーションすると、やはり頤に梅干しが診られます。患者さんはよく理解していて「マスクで隠しておきます。」「いずれは治りますよね。」と余裕を見せてくれます。診察の結果4㎜切除で寄せない。口角は、垂直から25度斜めに5㎜挙上することになりました。

画像は各方向を経時的に観ていきましょう。正面像から。

上左図が術前。上右図が術直後。上白唇長15㎜が11㎜まで短縮できました。

翌日の画像です。珍しく内出血がひどくなりました。それも赤唇に回ると吸収に時間を要します。上右図は術後1週間ですが、口角の上の上白唇まで赤紫です。

上左図の術後2週間でもまだ赤紫です。嗚呼〜、形態評価をしていませんでした。上右図は術後1ヶ月なので流石に内出血は吸収されました。形態は良好と云われました。

下列からは近接画像です。

術前とデザイン。説明に書いたデザインです。

近接斜位で口角を観ましょう。三角形の頂点に口角が移動します。

切除物は皮膚皮下脂肪全層です。上右図は上口唇短縮術を終えた時点です。口角はその前に浅くトレースする様に切開してあります。

術直後の近接画像では内出血が診られませんでしたが、上右図の翌日画像では赤紫です。

内出血は術後48時間までに露呈します。上左図の術後1週間ではピークです。上右図の術後2週間でやっと吸収され始めました。

術後2週間の下面像で傷跡を診ると、線は幅が拡がっていません。術後1ヶ月でもです。

4方向ではE-ラインも見て下さい。

術前の画像では、頤が前に出ていても口が出て見えます。

術直後は腫れて赤唇が前凸します。

翌日はさらに腫れぼったいです。

術後1週間でもまだ腫れています。

術後2週間ではE-ラインが直線上に近づきました。

術後1ヶ月どぇはスッキリした口元が作り出せました。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。