2017 . 10 . 4

上口唇短縮術と口角挙上術の経過は良好ですが、口角挙上の追加を求められました。どーなる?

上口唇(白唇部)切除術と口角挙上術の組み合わせ手術の形態は良好です。動的なDynamic 形態と静的なStatic 形態がありますが、動きも正常化し、セクシー度合いが挙がってきました。他の患者さんが本症例をご覧になって、「唇の形が石原さとみさんみたいに可愛くなっていますよね!」って云っていました。表情に富んだ口元という意味でしょう。元の形態により手術法も使い分けなければならないのです。本症例はその点で満足な形態を得られたそうです。しかしまだ先が経過が長いのです。それは最大限希望を汲んでの手術法というか、切除幅を大きくしたからですが、患者さんは、「創跡の問題は置いておいて、次に進みたい!」と切り出されました。

先ずは前回の経過を示します。症例は26歳、女性。ご覧の様に歯列矯正中ですがそれは前後位置で、上下長を治したい形態。内眼角間30mm、鼻翼幅36mm、白唇長17mmと長いし、鼻の幅もある。相対的に唇の横長も短い。逆に横長に比して厚みはある。

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まずどう見ても長いから切りたい。白唇を切除すると口角が下がって見えるので口角リフトは必要です。鼻翼のサイズがあるのですが、顔面とのバランスはよい。でも口唇幅との比率からして寂しい。口唇幅を大きくしたいので、口角リフトのデザインを検討した結果、斜め方向45度に向かってあげたらいいのではないかと考えました。さらにシミュレーションして、白唇部切除は口が閉じるギリギリの7mm。口角は8×8mm頬骨弓方向へつまり45度方向に引き上げるとデザインにしました。側面像でエステティックラインがゼロなのに鼻の下が長いので唇がべたっとしている。もう一つ唇の裏返りは足りないので軽く外反させる事にしました。

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術直後の正面像はすごい画像となります。腫脹が起きます。創も目立つ部位です。

 

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術後3週間です。創跡の幅が出ました。口角部もまだ創跡が見えます。

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術後5週間の画像を提示します。実はメイクして創跡の赤い線を隠してくれました。口唇の運動機能は回復してなかなかいい。とはいっても、これまでとはサイズが違いますから創跡は消えません

側面ではエステティックラインが整いました。斜位でもチョコンとした唇が乙女チックです。動的な形態として”微笑み”を湛えているかのようです。

口角部の創跡が目立ちます。そりゃあそうです。8×8㎜も切除しました。引き上げ量が多ければ移動距離が多い。それだけ創が引っ張られます。上の画像で両側口角にV字型に創跡の線が見られます。左鼻翼〜鼻柱下の創跡は、本症例では幅が出ました。肥厚性瘢痕です。赤く盛り上がる様態は同じですから、私はケロイドもどきと説明します。創跡が成熟するまで待ちました。いつか切除再縫合が求められるかも知れません。6ヶ月目までは待ちたいと思いますと言い続けました。

今回の症例では過去最高の切除をして、形態的には満足でした。社会的機能はタレントに凝らされた程の向上を見ました。この症例後患者さんが続いています。患者さんは理解力が高く私と丁々発止の診察をしてきました。そのうちに、創跡の経過は置いておいて、口角の追加手術の話題に移りました。そして今回の手術です。先ずは画像を!

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術前と術直後の正面像と右斜位像を提示します。口角挙上術の追加切除をしました。前回頬骨弓に向けて45度方向に7×7㎜の切除をしましたが、もっと挙げたいと望まれました。

そうやって診ていると、解りました。本症例患者さんの口唇は厚い。それはそれでセクシーですが、前回の術前の画像を見ても、幅が無いから縦横のバランスが取れていない。前回口唇を外反させたから口唇の厚さは増加した。それもそれでセクシーで、それこそS.Is.になっちゃったのですが、経過を診てきてみると追加切除したくなったのも判りました。口角が上口唇結節(中央のプクッとした部)より下では無いのですが、徐々に僅かに下がったと考えられます。

前回の手術は経過が長く、口角にも肥厚性瘢痕を生じました。でも説明した様に肥厚性瘢痕は拘縮しますから(水かき状と表現しました。)、引き上げていたのでしょう。年単位経て肥厚性瘢痕が軽快していくに従って緩んで、僅かに後戻りが生じたのかも知れません。

白唇部は創の線に直行する方向に力が働くので、創跡が広がれば後戻りします。対して口角は創跡が水かき状に拘縮していると過剰に挙がっていて、瘢痕が成熟して軟らかくなると後戻りした様に感じるのでしょう。実は後戻りでは無く、デザイン通りの位置に戻ったのに過ぎないのかも知れませんが、若しかしたら年単位で周囲の皮膚が弛緩したのかも知れません。

いずれにしても、縦横のバランスを変えたいのは視診上判りました。ただし患者さんと私は頚をひねって悩みました。鼻唇溝を越えて口角を持っていく訳にはいかないでしょう?!。それでは解剖学的に不自然でしょう?。そんな形はあり得ないでしょう?。また丁々発止の診察場面を楽しみました。

術前のデザインプランは立ちました。私が作った口角を更に、45度方向に5×5㎜の三角まで切除して引き上げられます。ご覧の様に鼻唇溝から数㎜の余裕を取れました。術前と術直後の写真を見れば、かなりやった感がありますが、前回の経過画像を見れば判る様に目立たなくなり、形態も綺麗になります。

もちろん今後の経過画像を載せていきます。お楽しみに!