口周りの切開手術は得意分野です。加齢で長くなると顔面の縦の比率(バランスと安易に言わない))が崩れます。顔が長く下がった感じを呈します。品性が落ちます。
人中短縮術との術名は、非形成外科医と漢字が読めない韓国人が使います。間違いです。人中だけを短縮したら、富士山型となるに決まっています。私は上白唇短縮術と呼びます。ついでに言えば、口唇は赤い部位だけでなく、鼻の下の皮膚もです。赤唇と白唇と呼びます。そうでなければ口唇裂の治療が出来ませんよね?!。そうです。口周りの手術は形成外科医の十八番の筈です。
いくつかのポイントがあります。1、両側鼻翼間を全て同じ幅切除して富士山型を防ぐ事。2、口輪筋を切除したら口唇神経を痛めるから縫縮に留める。それでC-カールも造れる。3、鼻翼横の傷は創縁が違うので、辻褄を合わせて”真皮縫合”する。4、鼻柱基部で寄せるかは社会的な態様(女性性を強調するならキスシーンの唇を好む傾向)により選ぶ。5、美容形成外科手術の中でも、顔の前を切る縫う数少ない手術です。真皮縫合を細かく多くして、引っ張っても隙間が出来ないほど、縫う。6、皮膚縫合は創縁の厚さを合わせる。細かく縫う為には連続縫合が適応。
上記のポイントはやはり、形成外科医の解剖学的または生理学的知識と技術。特に真皮縫合法が担保します。”直美”や”他科からの転科医”は身に付けていません。
症例は47歳女性。12年前に眼瞼下垂症手術後、5年前から眼瞼手術以外にも、剣状強皮症に罹患されていて、形態的改善を図る手術や注入もしてきました。本年初頭に診た際に、Jowlが見えてきたと仰っています。注射やリフトの説明をしました。その後の診察時に患者さんから「若しかして上口唇短縮したら見た目の効果がありますよね?。」と訊かれ、私は直ちに計測しました。患者さんはもう一言「元は丸顔だったのが下膨れみたいになったのが嫌です。」とも仰る。私「言い得て妙!。」とその話に乗ります。
白唇長は人中部で21㎜。患者さんは、「自分で見ていて進展した。」と言う。私「多くの人を計測してきて10年で1㎜伸びるんです。」と自慢げに教えると、患者さん「赤唇も薄くなってきたのです。」とさらに乗り気になるので、計測を続けます。上顔面68㎜:中顔面61㎜:下顔面66㎜と下が長くなってきた。上赤白口唇縦長28㎜:下口唇〜頤尖38㎜で黄金分割比率で計算すると上が4.5㎜長い。4、5㎜切除を予定します。弓も人中も明瞭でも、口唇結節が下向きで貧弱化しています。4㎜切除で両側鼻柱基部で両側人中陵を1.25㎜ずつ内側に寄せる。
その前に、右鼻唇溝部の他院での黒子をCO2LASERで3回焼いた跡が目立ち、取り残しがあり得るので、部位が近いのであらかじめ切除生検して、約1ヶ月は待って腫脹が治って、形態が整ってから、口唇の手術に到る順番としました。画像で創痕の赤い線は見えます。
手術当日確認します。両側鼻翼間を鼻孔底隆起堤(明瞭です)の直下で4㎜切除。多めに1.5㎜ずつ寄せましょう。
画像は正面像と両側斜位像&両側面像の四方向を観ていきましょう。下段に近接画像で術中から、傷跡を観ていきましょう。
術前の正面像とデザイン画像。見た目に面長感を改善できますでしょうね。
4方向で見るとE-ラインは直線上にありますが、口は前突しています。
手術直後は腫脹は軽度です。白赤唇の形態は変わっています。スッキリ感はもちろん観られます。下顔面全体もスッキリしましたか?。
腫脹は軽度でもあり、口が前に出ます。ただしC-カールも出来ています。
正面像だけ頂きました。血痂は少ないですが、白いものが着いていて拭ったとの事。「何ですか?。」と訊かれる。「フィブリンです。」「出血を止める物質で取っていいんです。」「フィブリン析出が多いから今出血が少ないのですね。」と説明しました。腫脹は画像の如く通常度よりやや多めでした。内出血は赤唇まで流れました。よく見えませんがJowlにもです。私「重力が働きますから。」と説明すると、患者さん「下眼瞼も紫に腫れました。」私「そうですね。」患者さん「寝ていたから。」私「それも重力ですね。座位や立位では下に、臥位では上に流れます。」私ウーンと考えて、「やはり強皮症は自己免疫疾患ですから、身体の炎症作用を助長する機序が考えられますかね。」実際には専門分野では無いので断言できないのですが・・・。いずれにしても腫脹で形態はまだ見て取れません。
術後1週間で半抜糸しました。腫脹は4日目まで亢進し、やっと引き始めたとのことです。酷い頃の顔を写メで見せてくださいました。
左側のJowlの腫脹は、えら付近まで流れたそうです。やっと引き始めたそうです。画像を比較して確認しました。来週にはもっと減ります。E-ラインが口が出ていないのは患者さんも認識していました。でも赤唇結節が前向きになったら少し口が前へ出ました。患者さんはこれを喜んでいます。また、C-カールも認識されました。実際には腫脹が強い時期は形態的評価は難しいのですが・・。
下からは近接画像で手術中の説明です。
上左図は術前。長さは21㎜です。上右図はデザイン。両側鼻翼間を4㎜、この幅の皮膚皮下組織を切除します。鼻翼横に向かってテーパーして取ります。
手術を始めます。上左図はデザイン通りに皮膚皮下組織を切除しました。上右図が切除物です。
口輪筋は全て残してます。これを縦に縫い縮めたのが上左図。4㎜の隙間が半分になりました。上右図はその後、鼻翼基部を垂直方向に真皮縫合し、鼻翼横の傷も、上手く辻褄を合わせて真皮縫合しました。鼻翼横の創縁は内外で長さが違う為、合わせるに苦労します。図ではプリーツがありませんし、ドッグイヤーも生じていません。
上左図は両側鼻柱基部と両側人中綾に糸を掛けた後。白い糸が見えます。鼻柱よりも1.5㎜外側に糸を掛けています。上右図は両側の二本の糸を結紮した後。左右の図を比べると、人中が狭く、深く改良され、弓が狭く急峻で、口唇結節が前を向いています。
上記と合わせて、真皮縫合を全部で18針したら、引っ張ってみても隙間が全くありません。続いて上右図は皮膚連続縫合後。真皮縫合後に隙間はないのですが、何しろ鼻側と唇側の皮膚は厚さが違う為、ずれて段差になり得るから、皮膚縫合で合わせます。手術終了。
翌日から48時間までは、腫脹が亢進します。赤唇まで腫れています。また、鼻翼が横にも下にも引かれています。腫脹の為ですが、鼻翼を内側に寄せる口輪筋と、上に挙げる上唇鼻翼挙筋が働いていないからです。術後のダメージと腫脹で筋が働かないからです。人は表情筋作用が強く、覚醒して活動時には、トーヌスと言って微弱な信号が筋を作用させています。ですから神経と筋が回復する術後1〜4週間で必ず鼻翼の位置は戻ります。
次週半抜糸時の画像もお楽しみに!
術後1週間の近接画像です。右鼻翼横の鼻唇溝の上方の三角形の陥凹部のドッグイヤーを指摘されました。画像を診ると、黒子をCO2LASERで焼いた跡をスピンドルに切除縫合した上端のドッグイヤーがわずかにありました。その上今回の右鼻翼横の小さなドッグイヤーが合体した模様です。腫脹も関与します。次週診て縮小しないなら、いずれはまたCO2LASERで焼き潰すことができることを示唆しました。
当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の提示です。上口唇短縮術は28万円+消費税。本症例の様に全顔提示でブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として40%オフとなります。