2023 . 7 . 10

何箇所かの美容外科手術を私が施行してきて満足されたから、いよいよ上口唇短縮術を施行します。

私の患者さんはリピーターが多いのですが、理由が幾つかあります。

美容医療を金儲けを目的にしていません。多くの美容外科(美容整形屋)に「女性が好きかお金が好きか?。」と訊くと、95%以上の医師は「美容外科はお金が儲かるからです。」と答えます。私だってもちろん稼がないと暮らせませんが、当院では私以外に医師が在籍していて、”私は手術をメインに、他の医師は美容皮膚科治療や手術以外をメインに”と棲み分けしていますから、手術の価格設定は低めにしています。私はあくまでも、女性(男性も少なくない)の美しさを向上させて、喜んでもらって”なんぼ”なんだと思っています。その上美容医療は楽しんでもら痛いと思っています。私自身も楽しんで、患者さんにも楽しんでもらう様に努めています。その様な私の姿勢を楽しみにリピートして来る患者さんが、かなりいらっしゃいます。

一般的には美容医療を受けた患者さんは明しません。隠したい人がほとんどです。他の科目の医療で病気や怪我などで診療を受ける際に、個人情報保護法が摘要され、隠したい場合もあり得ますが、通常学校や仕事を休むのなら、申告します。対して美容医療では周囲の人にも隠したがります。一般人には美容医療に対して忌避感や、悪感情があるからでしょう。その原因は二つ考えられます。一つは、昔戦後から昭和50年代までは、医学的見地から外れた間違った方法が横行していて、隠れた被害者が多発していたからで、現在の高齢者は記憶されている人が多いのです。二つ目は今更かもしれませんが、儒教精神、またはパターナリズムが日本人に染み付いているからです。もう「親にもらった体をいじるなんて?!」などという人は少ないでしょうが、成育時に刻まれた深層心理には残ります。私はその言を聴くと「じゃあ医療全体を否定していることになるよ!。」と言いたくなります。なお美容医療には、機能と形態を同時に治す形成外科も入ります。皆さんもっと勉強しましょう。それに美容外科医療も、医療者でなければ手を出してはいけないのです。患者さんの希望に沿って正しい医療を行なうことは、産まれながらの美容形成外科医である私の勤めです。だから忌避されません。そして皆さんやって来ます。

私は美容医療をトータルで診ていきます。いい加減な話ですが、私は料金を詳しく知りません。料金を知ると患者さんの顔がお札の肖像に見えてしまうからです。だから私はルックスを診るだけでなく人間を診ます。個人の内面と外面の調和を図りたいのです。社会性との調和もです。そして、顔面なら全体のバランスを診ます。大多数のチェーン店系美容クリニックでは、カウンセラーと称する受付嬢が予め治療内容を決めておいて、医師は簡単に説明するだけですから、その部分しか見ません。私はどの患者さんでも、希望する部位以外の顔面全体から見始めます。場合によっては計測を始めますが、顔面輪郭や体型とのバランスも診ます。その結果として治すとよくなる部分と方法を伝えます。ですから、いくつかの部位をバランスを診ながら、順を追って手術する場合が多くなります。経年変化も起きます。結果的に当院で診療を始めたこの15年来、いや銀座美容外科時代から私は35年、父の時代から64年間にリピーターとなる患者さんも増えてきたのです。

そして医療ですから技術と知識が必要です。技術は解剖や生理の知識に裏付けられます。何回も書きましたが、医師国家試験は必要最小限の知識しか担保していません。医師となってから大病院で上級医に専門知識を教わり、自らも多くの成書や論文を見て勉強します。チェーン店系の美容外科は医学部卒業直後の医師も採ります。また他科からの転科も多いのです。勢いビジネスが優先しますから美容医療の医学知識は身につけられません。美容外科・形成外科の専門的医学知識は市井のクリニックでは身に付けられないのです。ちなみにその見分け型は、医学的な知識が求められる日本形成外科学会専門医と日本美容外科学、それも形成外科6年間研修後にしか獲れない,JSAPSの専門医に合格しているかで判ります。現在日本に100人程度しか居ません。非形成外科医の集まったもう一つの日本美容外科学会,JSASは学問的試験はありませんから、知識はなくても取れます。チェーン店系も含めて何百人も居て、HPに載せていますから、騙されない様に。

皆さん。上に書いた解説が、リピーターが多い理由かどうかは判断して下さい。よく書いてきた内容ですが、逆に言えば医療の問題を一般人が理解していないことも気になるところです。先日とんでもないニュースを視ました。非医療機関のエステティックサロンで脱毛を受けたら副作用を起こした問題が載っていました。一般市民にインタビューしたらよりによって、「エエ〜、脱毛は病院でしか受けられないの?。」とのコメントが流れていました。びっくりしました!。法律上誰でも知っているはずですが、若い人は騙されるのでしょう。日本人は医療に対する正しい知識が啓蒙されていません。マスコミがいい加減だからです。その様な情勢を利用して、JSAS側のチェーン店系の”美容整形”(この言葉もマズゴミが使います)が嘘ばかり流していますから、国民が騙されます。

症例は61歳女性。これまで他院で美容医療を受けてきました。当院に罹り始めたのは2年前です。当初から上白唇が進展してきて、赤唇が貧弱になったのは気にしていました。人中の長さは21㎜でした。自己免疫疾患でプレドニン(ステロイド)を服用しているため、大きな手術は後回しにしようと、お互いに見解が一致しました。手術名だけを順に羅列します。眉下切開。鼻唇角プロテーシス。口角挙上術。鼻唇溝プロテーシス。

上記の様に幾つかの手術を受けてきて、創治癒の経過やダウンタイムを知ってきたので、本年に入ってから、いよいよ上口唇短縮術を希望されました。鼻唇溝プロテーシス挿入術を受けたら、ほうれい線が短くなって対比して鼻の下が余計に長くなって見えると患者さんは感じています。計測値をもう一度記載します。実測値はさすがに長くはなっていません。人中部の上白唇の縦長は20㎜でした。顔面部品の横の幅は初診時に計測していて、予め口角挙上術は施行しましたが、鼻翼直下の長さは21㎜のままです。人中の幅は13㎜と広く、弓の頂点もはっきりしない。赤唇は薄く結節がない。患者さんも知っている両側鼻柱基部で、人中をずらして縫合する手技が適応です。両側人中綾を1.5㎜ずつ寄せて人中幅を10㎜以下にすることを求めます。アッ、そうか!、思い出した。上白唇短縮術の際に鼻翼の横まで切開するので気を付けます。もしプロテーシスが露出したら戻します。見ないで可能なはずです。

画像は各方向を経時的に視ていきましょう。

中下顔面の正面像。上左図は術前、上右図はデザイン後。両側鼻翼間を5㎜切除します。

上左図は術直後。上右図は術後1週間。直後には無かった内出血が、翌日には診られました。術後48時間までに露呈してきました。通常黄色くなって、術後2週間では消えますが、本症例は身体状況からして特殊ですから、若しかしたら長引くでしょう。

下に4方向を経時的に観ましょう。

術前は長いものは長い画像です。

術直後はバランス(比率)の取れた下顔面を造り上げられました。

術後1週間では内出血で形態も不明です。

下には近接画像で、術中画像も提示します。

上左図は術前。口角の傷跡は目立ちません。上右図はデザイン後。両側鼻翼基部間を全て、幅5㎜切除します。本症例は鼻孔底隆起(土手)が明瞭なので、その麓を切るべきです。鼻翼横のドッグイヤー修正の切開が5㎜の割に短めに見えます。

切除物は皮膚、皮下脂肪全層です。デザインの通りの形です。上右図は術中に一枚。筋層を縫縮した後に、真皮縫合を全部で18針後の時点です。全く隙間がありません。一部に血液が付着しています。鼻柱基部と人中綾を真皮縫合する際に人中を1.5㎜内側にずらしています。人中が狭くなり弓の頂点がはっきりしました。

上左図は手術直後。皮膚縫合を終えて軟膏を塗っています。上の真皮縫合後の時点と創の幅は変わらないですよね。じゃあなんで皮膚縫合が必要かと言えば、特にこの部位は折れ返りの谷線なので合わせないと厚さが合わないからです。上右図は術後1週間です。左側の鼻翼の横にドッグイヤーが残りました。縮小しなければCO2LASERで焼き潰します。その下には鼻唇溝プロテーシスがあるわけですが、露出しないで手術できました。たーだし〜、その部分も腫れますから触診すると触れます。本症例は内出血が重度です。ステロイドの影響です。

術後1ヶ月で来院をお願いしました。

内出血は消失しましたが、左鼻翼横の膨隆が増大しています。当然「プロテーシスではないですよね?。」と訊かれ、私慌てて今回の経過の画像を見直します。術直後はドッグイヤー状です。術後1週間では半球形となり、今回は楕円形です。プロテーシスなら形を変えるはずはないので安心しました。

でも左斜位で見ると、ドッグイヤーが目立ちます。加齢と病態の影響で皮膚が弱いので膨らみが多いのですが、逆に焼くのも創傷治癒過程を待ってからです。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の提示です。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円+税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。