題名からしてなんだか分からない症例です。私も混乱しています。長年(かれこれ10年)診てきて、他の部位は満足できる結果を得ているのに、鼻は何回かうまくいったり、他院で壊してきたり、私がやりなおしてもまた壊れたりを繰り返して・・・、現在またこんなになったのをなんとか造り直そうということになったのです。何故最終兵器として私を利用したいのかは、判りません?。他の部位は良好な結果を得ているから信頼関係が成立しているからか、私が作る形態を患者さんが上位に思ってくれているのか、はたまたどうにか直したいから私ができるだけ安価に設定してあげているからかは知りません。
ただし、これまで永らく診て来たので、患者さんの特性を理解して来たつもりです。とにかく美人でいたい気持ちは他の人より強く!、派手で!、美容外科手術を受けた感じが見えても、形態的に美しい事が大好きな患者さんです。それに他院で何回トラブっても、私に治して欲しいと帰ってくるので、何とかして揚げたくなる患者さんです。キャラクターもフランクで楽しい患者さんです。今回も頑張って治して上げたいと肝に念じました。
症例は35歳女性。経緯は複雑で、カルテを見ても混乱するほどです。何回もカルテを見直してみました。10年前から私が眼瞼の手術を行なってきました。その頃鼻に対して触れています。その7年前に他院で軟骨とプロテーシスを入れ、4年前と前年に入れ替えています。私に鼻スジがもう少し欲しいと求められたが、軟骨の移動だけが可能と答えています。
8年前に、私としての一回目の手術では、鼻翼の埋没法での縮小術と鼻尖に耳介軟骨3枚重ねをして、プロテーシスは細く作り替えました。1か月後には鼻尖がよく下がっていて、満足していました。鼻尖幅は細くしたが、上外側軟骨部は軟骨切除を示唆しました。その後も眼瞼の修正に戻りました。鼻翼挙上とプロテーシス増大を求められていました。しかし結局2年前に他院で隆鼻術を受けました。プロテーシスを入れ替え、6㎜厚と聴いたそうです。鼻柱軟骨移植もしましたが、感染して曲がったそうです。その後露出しました。段々創が拡大したので困って来院し、私が先ず縫合しました。創は一度癒合しましたが、数週間後には再び露出し、前のクリニックで抜きました。その後3か月して再びL型プロテーシスを他院で挿入、また露出しました。本年に私がI型を挿入、1か月後に露出したので摘出しました。
今回創が落ち着いたのを見計らって、取って置いたプロテーシスを再挿入します。プロテーシスの位置を5㎜程度下に移動したい希望も汲みます。わずかに残っている耳甲介軟骨を3枚重ねにして移植しました。
先ず画像は術前と術直後を方向別に並べます。術直後は直ちにテープ固定してしまいました。
正面像で術前は鼻尖に創跡だらけです。術直後はテープで隠れていますが、見える鼻尖は紫色です。何度も剥離し、創跡瘢痕が周囲にあるので血行不良だからです。うっ血です。でも押してみて離すと血行が戻るので壊死はし無いと評価できます。下方からのあおり画像では鼻柱の傷跡が見えます。同じ線を切開出来ました。
術前の右斜位像で鼻尖の右に陥凹が視られます。孔が開いた跡です。側面像で術前と術直後を比べると鼻尖が高くなったのが判ります。鼻梁(鼻スジ)の延長線上に鼻尖がある様に求めました。
採取した耳介軟骨です。今まで何回も採取していて、もう無理とも考えていました。でも触れてみると、有りました。左耳甲介に残っていました。上図の様に取れました。上左図の左側が8×6㎜のダイヤモンド型で鼻尖の土台、中が8×4㎜の帯型で鼻柱まで下げる為、右の小さいのはツンッとさせるため。上中図はこれを三段重ね(親亀の上に子亀を乗せて、そのまた上に孫亀乗せて)して、糸を3枚に通して接着した図。上右図はそれを側面から見た図。
これが鼻尖に入ると形態が整います。
下には手術後1週間での画像群。
抜糸は一部だけとしました。
意外と経過は順調で、鼻尖のうっ血は、紫から赤になり回復途上です。鼻根は高くなっていますが、鼻根の最下点は目頭と眉の中間にしました。
下には術後2週間の画像群。
全抜糸しました。実はこの時、癒合不全の創から膿を排出しました。慌てて抗生剤を処方しました。鼻尖部に何回か創が出来て微生物が侵入した訳ですから、巣食っていたのでしょう。プロテーシスの周囲に波及しなければ良いのですが・・・。
下には術後3週間の画像群。
正面像ではだいぶ落ち着いて来て、形態的にまともに近づいています。排膿は止まり、圧出も出来ません。抗生剤が効いたのです。従ってプロテーシスの周囲に波及していないと考えられます。創跡の陥凹は、移植軟骨で押し出されて浅くなっていますが、簡単には平らになりません。ヒアルロン酸で埋めておきます。
右斜位像での鼻尖の陥凹は見えますが、瘢痕ですからなかなか平坦化しません。左側面像では鼻梁(鼻スジ)から鼻尖へきれいに通っています。
本症例は、難しいのですが、何とか少しでもこれまでの形態を取り戻したいとの希望に答えて行きたいと思います。しばらくはヒアルロン酸で修正して行きましょう。
術後5週間で再来しました。前回のヒアルロン酸注入は形は良かったが、微量なのでやはり吸収されると訴えます。画像を診ればある程度残っています。逆に積み重ねは意味が有ります。
鼻尖は一度でも創が出来ると陥凹が残ります。何しろ鼻尖はドーム型(本当はダイヤモンド型)の曲面ですからわずかな陥凹が見えてしまいます。
側面像や斜位像での形態は明らかに改善しています。眉間から一度下がってから、鼻陵(鼻スジ)から鼻尖に架けて、直線的になりました。鼻尖が凹んでいません。ただしこの時期は、皮膚が狗縮するので、鼻尖に追加移植した軟骨の土台の自分の鼻翼軟骨(いつも言うのですが、鼻尖は鼻翼軟骨が形造っています)が押しつぶされて高さが減弱しています。これまでの症例を診れば判る様に、数ヶ月後には狗縮が解除されて、前に出ます。その間ヒアルロン酸でメンテナンスするのも良い手です。近々また診せてもらえます。お楽しみに!
今後鼻翼挙上術の新しい術式デザインを試行する予定です。いろいろ学術的に調べなければ!。早速勉強します。いい年でもまだまだ進化を求めます。
とか言っていたのに、先ずI型プロテーシスを再建する事になりました。いくつかの改良点があります。最低5㎜長くして、鼻根を越えて眉間に繋げる。患者さんは「ガッツリやってえ〜!。わざとらしくてもいいからあ〜!」と危ない事を言います。更に「高さは8㎜でお願いします。」とまたまた無理を承知で希望します。私「危ないです。皮膚が伸びなかったら縮小します。」「それでも何しろ創が多発している訳だから、出ちゃうかも知れません。でも創跡が増える訳でもないからやります。」と押し切られてトライする事になりました。半ば投げやりな気持ちを持ちました。
という訳で、前回の手術から3か月も経たないで再挿入術に到ります。先ず術前、術直後、翌日の各方向の画像を並べて提示します。
下面像と作成したプロテーシス。
下には術後1週間の各方向。
眉間がブチ腫れています。血腫です。長いものに入れ替える為に眉間の皮下を剥離しました。
結果、プロテーシスの周囲のポケットの中に血液が貯留しました。血液はゼリー状に塊り粘性があるし、下方のポケットは狭いので下には排出されません。貯めっぱなしだと、血腫は免疫が働かないし栄養価が高いので感染の危険があります次週も変わらないなら穿刺吸引する事を予告しました
続けて術後2週間の各方向。
術後8日目、つまり抜糸翌日に鼻孔内から突然血液が溶解した液が多量に排出されたそうです。抜糸した創跡の孔からでしょう。結果血腫”瘤”が消失しました。予告した穿刺は不要です。
ご覧の様に4方向で診ると、眉間の膨らみは無くなっていますが、替わりに内蔵された棒状の物体が見えます。私「え?、これ何?。」とか言って触れると、硬い。患者さん「プロテーシスに決まってるじゃない?。」と教えてくれるから、私「こんなに長いの入れたっけ?。」と聞き返し「そんなに長いのよく用意出来たね。」と人ごとの様に宣う。何かこっちが変になって来たみたい。だから私もう一度念を押して「これ見えるじゃない?。こんなに長くて良かったの?。」と訊くと、患者さん「そう頼んだじゃない。ちゃんと言った通りに出来たじゃない。」と悦ぶ。私今思い返すと、上に書いた様にガッツリやったんですね。形態的に求めた結果を得られて、酷いダウンタイムも過ぎて来て、良かった良かったは結果論です。何より今後トラブルが無い事を祈ります。
二つの手術を続けて載せて来たので、術後何か月か不明となりましたが、来院されました。
とにかくプロテーシスは安定していて、鼻尖も軟骨で形は出来ています。ただし一度皮膚が破れた鼻尖には創跡の線状陥凹が多発しています。ヒアルロン酸で埋めていきましょう。
4方向で診ると意外を創跡は隠せていますし、確かに形は観られます。
下面から近接すると鼻尖の傷跡は見えますが、しばらくは観血的治療は見合わせましょう。何しろ長年診て来た患者さんで、時々ワンダリングしても今回の様に戻られて、私に罹りに来ますから、私の何とかしたいと想っています。いつかは修正を考えますから今後とも宜しくお願いします。
当院では厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。
医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の説明も加えなければなりません。今回の手術は鼻尖軟骨移植3枚で35万円+消費税です。 I型シリコンプロテーシス挿入による隆鼻術は18万円+消費税です。出演料として20%オフとなりますが、今回は再建手術ですから更に安くして、