各標榜科目と学会専門医との話をしてきましたが、その際他国の状況が気になりましたので、調べてみました。
まず判ったこととして、欧米先進諸国では科目標榜の際に、学会からの何らかのライセンスを持たないとならない、という条件を課していない国はないということです。
USAでは形成外科と美容外科はほぼ同一の科目で、専門医でなければ標榜して開業できません。ほぼ同一というのは、皮膚科医が美容皮膚科を、眼科医が眼瞼形成外科を、耳鼻医が耳鼻の形成外科を、乳腺外科医が豊胸術を診療することもできるからです。もちろんこの場合特別な研修を経ています。USAの美容形成外科専門医 Bourd of American Sosiety of Aesthetic Plastic Sugery は取得が難しく(費用が高いだけですが?)、だから美容意識の高い割に、美容医療医が少ないのが現状です。ご存知のように、USAは先進国では唯一国家医療保険がないので、すべて自費診療です。風邪でも多額の費用がかかるので、美容医療に費用を掛けるのは当たり前で、経済的に忌避観念がありません。マイケルがそうでしたよね。もっとも、白人は全員二重瞼ですから、重瞼術が不要なため意外とニーズがないのかも知れません。何れにしても、USAでは、美容医療の技術を学会を通して法律的に保証しています。
西側ヨーロッパの先進国も同様の医療制度を取っている国がほとんどですが、保険医療だけの国もあります。とは言え、ほとんどの国で形成外科医(UKは近代形成外科の発祥の地、イタリアは皮弁法の発祥の地)は社会に認知されていて、美容外科診療をも学会で切瑳琢磨しています。フランスは自由と美の国ですから美容医療が発達していて、エステ的な行為も医療機関が施行していて、クオリティーを高めています。東ヨーロッパの国々は、25年程前まで共産圏でしたから、自由主義的な美容医療は発達できませんでしたが、最近はちらほら行われています。ただしやはり、制度的にには遅れていて、形成外科と美容外科がトレーニングされていないにも関わらず実施されているようです。東南アジアでは一部で(タイ等)美容医療が発達してきています。
西洋医療行為は欧米が発祥ですから、アジアは遅れているのは当然です。我が国は少なくとも、20年前までは経済大国でしたから、お金のかかる国家からの医療供給力は進んできましたが、安全性を担保する専門医と科目標榜の制度は整備されてきませんでした。
振り返ってアジアの大国、それも美容医療大国と呼ばれる韓国はいかがなってますでしょうか。現在調査中ですが、一部判明した点だけ記載します。韓国では、形成外科と呼ばず成形外科と呼びます。日本の美容外科の前の呼称である美容整形も韓国では使われています。もちろん、韓国の美容整形は日本から学んだり、在日韓国人が輸入?、輸出?したりして発展してきたので、科目名もそのまま使っているのでしょう。それはともあれ、韓国は「整形大国」とされていますよね。別に進んでいる訳ではなく、国策として、経済政策の一環として(芸能も込みで)売り込んでいるだけです。全然大統領も受けていましたよね。本来アジアの国々には儒学思想が浸透していて(つまり封建的社会だと言うことです)美容医療に対する忌避観念が定着しています。「親からもらった顔をいじるなんてもっての他だ!」という罵声は、日本でもつい最近まで聴かれました。韓国も軍事政権が長かったから、当然そうでした。ところが21世紀に入り、アジア通貨危機後にIMFの指示でなりふり構わず外貨獲得を強いられました。テレビ売ったり、車売ったりと同じように美容医療も売って、ついでに芸能人も売っちゃえという作戦を国策として遂行するために国民は意識改革をしたのです。金のためなら、背に腹は代えられないという訳です。あっ違う、腹(食うため)には顔を変えられるということか?!。今や、韓国に行くと、40歳前の女性の大多数が美容医療を受けているのが判ります。技術的に高くないため(そりゃあそうだ、日本の美容整形やから学んだのだから)バレバレの作品がゴロゴロいます。もちろん年配者は、昔は受けていませんでしたが、経済力がある者はアンチエージング目的の美容医療は受けています。
おっとー、また脱線しました。本論に戻りますが、上記のコンセプトがあるから、韓国では安全性の担保としての標榜科目は?状態で、専門医制度なんかユルユル甘々みたいです。成形外科学会というのはありますが、会員2000人に対して、専門医は200人だそうです。日本では形成外科学会の会員数が3000人に対し2000人が専門医です。逆に言うと、日本では、形成外科医はトレーニングと試験をクオリファイしないで標榜すると医師側が危ういからです。韓国では、美容医療が発達しているのではなく、国家が国民の美容整形に対する忌避観念を払拭しただけなのです。もう一つ薬剤や医療器械の制度も韓国では特殊で、KFDAという厚生省のような政府機関があるのですが、科学的根拠を置いておいて、商売優先で何でも通しちゃうみたいです。かといって安全な物も多いため我々日本人が個人輸入して、審査している状態です。
専門医の話の続きが長くなったため一度止めます。美容医療の標榜科目には、タイトルの如くいくつかありますが、次回形成外科と美容外科から再開致しますのでお許しを。