法令線、ほうれい線、人相の用語ですが、最近になって一般化しました。何故でしょう。美容外科、いや昭和53年に標榜科目となる前は美容整形と称していた診療科では、広告が生命です。通常患者さんは、他科と違い本当の口コミを伝えないので、多額の費用を広告に掛けても、自由診療価格ですから元が取れる様なビジネス体系としてきました。過去の紙媒体の広告時代から、TVCMしかなかった時代は、診療内容を細かく記載できない法制でしたが、抜け道で本の広告のフリをして書いていた輩が横行していました。21世紀に入ってインターネット時代になり、(美容)医療広告も、ホームページに記載されます。HPは当初は広告と見做されず、改竄や嘘の内容がありました。その後多種のSNSが流行し、説明は簡易で、画像が主体ですが、改竄も横行しました。結果的に数年前に法律が出来て、規制がかかりました。今やSNS上では”ほうれい線”をよく見かけます。
ほうれい”線”は美容医学では【鼻唇溝】と書きます。英語では日常的にNaso Labial fold,略してNLFです。ご覧の様に溝です。シワでも”線”でもありません。溝の皮下には頬骨筋群という表情筋が付着していて、表情で引き上げられながら引き込まれます。鼻唇溝の外側はMalar Fat Padという脂肪の部屋があって、凹みませんから、境目が溝になります。ところで表情ですが、細かい動きの説明は省きますが、笑う際が主です。そして逆に口を窄める口輪筋は怒った表情時に動き、鼻唇溝を内側に引きます。ですから、性格を表します。よく笑う人、明るい人は鼻唇溝が八の字から丸く広がります。暗い人はいつも拗ねていて口を尖らせているから鼻唇溝も窄まっています。その様な人は暗い表情が定着して見えます。
中でも鼻唇溝の最上部、鼻翼の横の三角形は骨格の角度の影響で深い部位です。皮下に頬骨筋群の一つである上唇鼻翼挙筋が付着していて上後ろに引き込んでいます。だから一番深い部分です。私は”ほうれい線”を目立たなくしたい患者さんに、第一選択としてはヒアルロン酸を使います。その場合も三角形の部分をメインで埋めますが、窄まっている場合には”線”にも入れて、その際に外側に押し広げって入れて明るい溝に変えることも出来ます。もちろんヒアルロン酸は吸収されるべきものですから、第二選択としてプロてーシスを薦めます。ただし、骨の上に入れるために鼻翼横の三角形にだけ入れます。でもそこだけでも”線”も押し出されて浅くなります。ですが、鼻唇溝の角度は変えられません。浅くなれば良い症例は明るい性格の患者さんでしょう。ただし窄まっている暗い人にも浅くなれば目立たなくなり喜ばれます。本症例はその点でプロてーシスが最適です。
症例は66歳女性。遠方から来院されて何ヶ所かの手術をさせてもらっています。当初から鼻唇溝は気になっていました。年初からその点に触れています。年齢に見えない明るい患者さんですが、私も”鼻唇溝は深い”とカルテにも記載しました。前回の手術の経過中に早速診察しました。カルテには”鼻唇溝の上方の三角形の窪みは頬前及び鼻翼付け根と段差が4㎜ある。線は窄まっていない”とあります。遠方で抜糸には来院できない予定と云われました。この際吸収糸で縫合すれば可能となりました。鼻翼の内側の切開縫合なので、傷跡は見えないし、糸も3週間あっても邪魔にはならいと考えました。でも手術は定式で行います。
画像は各方向を術前術直後で視ましょう。
正面像で術前の画像。上右図は微笑んでいますが、深さは変わりませんが、広がっています。表情が豊かで、刻まれています。
デザインに点線で描いた三角形内にプロてーシスが埋まります。術直後は笑顔でも鼻唇溝は浅い。
近接画像で手術中の画像を説明します。
デザイン後は仰臥位で撮影したので、深く見えませんが、三角形だけが窪んでいます。
局麻後に切開し、三角形の深部の骨の上にポケットを作成します。出血を止めるために創内にガーゼをいれました。上右図はプロテーシスの原型を当ててカットラインを描きました。
左右の三角形にサイズを合わせるためにカットラインを当ててみます。カットして載せてみます。
プロテーシスを器械台の上に持ってきて、台に描いた鼻翼の画に合わせてみます。更に面取りして、滑らかにして、もう一度顔に載せて見ます。厚さはご覧の通り4、5㎜です。
鼻孔内の傷を撮影したつもりが露光不良で写りませんでした。それだけ見えにくい創なのです。ちなみにプロてーシスは入っています。
創縫合して仰臥位で撮影した画像が上左図、座位で撮影したのが上右図。深さは全く違いますが、術前と比較したら明らかに埋まっています。
4方向の術前と術直後画像で比較しましょう。
右からの斜位像。ともに座位。明らかに埋まっています。
左からの斜位像。ともに座位。深さが全く違います。
術前の側面像は忘れました。上二葉は術直後の側面像です。鼻翼が全体見えるのは鼻唇溝が埋まっている証拠です。
翌日見せて下さいました。疼痛軽度でよく眠れたそうです。位置を確認してもらいました。腫脹は亢進しましたが、術後48時間から引き始めますと伝えると「大したことなさそうね?!。」と患者さん。私「それは患者さんが明るいから、自律神経的に身体に好影響を及ぼすからです。」更に次の手術の話題も切り出されました。なんとも明るく楽しい女性です。
術後1週間で画像とコメントを送って下さいました。
予定通り撮影して下さって、送ってくれました。見事に埋まっていますが、実は明るい画像で影が見えません。まあ明るい女子だからこれでよいのでしょう。
斜位像でも浅い鼻唇溝です。側面像でも鼻翼が見えます。
コメントです。”抜糸は溶ける糸を使って頂いたので伺いません。”右の糸はない様です。左はありそうです。”でも呼吸等に支障はありません。”見た目にも翌日からマスクも付けずとてもよいです。”どこがそう変わったというより、なんだか若々しくなったという変化です。”大幅な変化は見られなくても、明らかに顔の感じが若いという風に感じます。”呼吸も普通にできるし、ダウンタイムが全然なくてよかったです。”ゴッドハンドのお陰です。
術後2週間で画像とコメントを送って下さいました。
コメントです。”1週間後とほとんど変わらず状態ですが、鼻の中は右は何もないけれど、左はまだ何かある様な気がします。”けれど呼吸に支障もなく快適に過ごしています。”先生のお陰です。ありがとうございます。更にメールに♪♪とあってルンルンの様です。
やはり明るい女子です。
術後1ヶ月でも画像を送ってくださいました。ありがとうございます😊
色々な方向で見ても鼻唇溝は浅い。
コメントも添えて下さいました:もうすっかり馴染んでいます。鼻の中の違和感もなく(最初からあまりなかったけれど)、手術をしたことさえ忘れてしまいそうです。森川先生の背術はダウンタイムの間は大丈夫かしらと心配になっても、その後は手術をしたことさえ忘れさせてくれるほど自然な出来上がりでとても満足しています。森川先生に出会えて本当に幸せです。これからも宜しくお願いします。
毎回ご丁寧なコメントも頂き恐縮しています。
術後3ヶ月で完成を診ましょう。
手術を受けたことを忘れてしまうくらい自然な結果ですとコメントをいただきました。では効果はありましたよね?。
当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログに加筆しています。もちろん画像操作はありません。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の説明も加えなければなりません。今回の手術:鼻唇溝プロテーシス挿入術は両側で28万円+消費税です。ブログ提示の契約を頂いたら出演料として20%オフとなります。