頬上顎複合体はMalar,メーラーと呼ばれ、前から見ると、眼窩下縁つまり下眼瞼の下を底辺とし、鼻の横が内側の辺で、外側は頬の後ろに囲まれる逆三角形の部分です。骨格的にも頬骨上顎複合体があり、Tripod,トライポッド=三脚(上下逆)と称されます。Malar にはMalar fat があります。骨の前の脂肪の塊ですが、笑うと”たこ焼き”型に膨らみます。三脚のうち後側の脚をButtressと言います。Malarと上顎を横の梁で繋いでいます。Buttressは訳すと控え壁とも言い、顔の横を支えています。
最近私はこめかみリフトを頻用しています。こめかみから眼窩外縁から、Malarへ向かって皮下剥離し、ゴルゴ線の外まで、つまりMalarの外側半分まで剥離します。ゴルゴ線はゴルゴ13,サーティー
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カテゴリー別アーカイブ: こめかみリフト
今やブームの広範囲剥離リフト。こめかみからはよく挙がり、長持ちします。
典型的に加齢に伴って生じる変形は、三つに分けられます。下垂と減量と弛緩です。基本的に全てが同時進行しますが時間差があり、当然ながら個体差もありますし、生来の形態と機能の個体差により健在化する加齢変形も違います。また、組織の増量は加齢に伴うこともありますが、原則的に全身症状のひとつであり、加齢に伴うのでなく肥満に伴います。
減量は、皮膚伸展に対して内容物が増量しないから起きますが、部位が限定されています。生来骨格的にゴツゴツしている症例は、元々コケている部位がよりコケますから目立ちます。やはり個体差があるのです。弛緩は皮膚が伸びることです。皮膚のコラーゲンの弾力が減り伸びて、面積が増えます。面積が増えた分、扇子の様に折れ折れになればシワとなり、垂れ込んだら弛みと表現されます。また一部の皮
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こめかみリフトは適応症例が限られますが、広範囲剥離なら効果抜群です。
フェイスリフトは読んで字の如く、顔を持ち上げる手術名です。だからこの言葉だけでは手術法を意味しません。部位も顕しませんし、効果や持続性も不明だし、患者さんにとっては手術法は術中に知り得ないのでブラックボックスです。
部位で分ければ、上から前額部から眉上から上眼瞼部を引く。こめかみから頬前や目尻を挙げる。耳前部から口角の横のJowl の膨らみを引き上げる。耳後部からはい際を皮弁状に引いて下顎下から頸部を引き上げる手術があります。全部同時には全身麻酔で8時間以上要しますから、費用も嵩みます。私は分けて行います。上中下に分けると局所麻酔で3時間前後で可能です。
手術法のバラエティーは、剥離層と剥離範囲が、効果と持続性に繋がります。もちろん糸で挙げる場合剥離は滅多に行われませんがトライし
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フェイスリフト手術を上中下に分けて、どれも見事な効果。
フェイスリフト Face Liftの歴史は長い様で短く、シワ取り術 Rhytidectomyと称していた頃まで遡っっても戦後です。割と大きな外科的手術ですから抗菌剤が発明されてからですし、第二次世界大戦時にはそれどころではなかったのです。1950年代にはUSAのCosmetic surgery:日本語に訳すと美容外科医が論文に書いています。日本人も1962年には論文を書いています。前に目頭切開の説明時に載せた眼形成外科医の内田先生です。その後1974年にSMASの概念が開発されて、欧米ではFace Lift手術が美容外科手術の中心として美容形成外科医 Aesthetic Plastic surgeryがこぞって施行しました。レーガン大統領が受けたのは有名な話です。
日本では美容整形医と
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こめかみリフトは剥離次第!
リフト手術は読んで字のごとく持ち上げることですが、他の部位と同様に切る手術と切らない手術があります。当たり前のことですが、切らない手術は糸で引っ掛けるだけです。眼瞼でも鼻でも必ず皮膚からずっこけてきますから、戻ってしまうことがあります。リフトでは昔は、溶けない糸を入れたら長持ちしましたが、かなり多くの症例で糸が露出してきたりしてトラブルを生じました。今は溶ける糸を使っていますから露出は無いにしても、当然戻ります。糸の跡が瘢痕になり保てるという説は眉唾ものです。
なお移植術は保てます。入れたものは残ります。対してたるみの皮膚を切除して引き上げても、後戻りは生じます。皮膚は術後早期にもまた伸びるからです。チェーン店では皮膚を切除して`テキトー`に縫うだけの"なんちゃってリフト"が横行してい
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