2018 . 6 . 26

取り急ぎ切らない眼瞼下垂手術=黒目整形非切開法=NILT法で結構良い。

最近のブログ提示症例は、眼瞼と口周りが半々くらいになりました。正直な術後経過と見事な完成結果を載せてきて、評判になっている様です。症例が増えても手を抜くことはしません。いえ、手術はもちろん診療も丁寧な行為を怠らないし、そのうちの多くをブログ提示するのですが、内容も一人ひとりの個性に応じてバリエーションがあることをご説明していきます。今回は特にその一例として皆さんにも判りやすい症例でしょう。

来月から、インターネット上で広告と見做される内容の画像提示が禁止されます。最新とか最高とかの客観的に証明出来ない文言も禁止されます。誘引行為といって、自分の医院に患者さんを呼び寄せる為に良好な結果と判断した症例だけ載せる。または結果良好な画像だけを提示したり、更に酷いクリニックは画像を改竄して、来院を呼び込む様な画像提示が横行していたからです。

私はご存知の様に契約した症例を全部載せていて、しかも逐一経過を追って、ダウンタイムも理解出来る様にして、またそのメカニズムも説明しています。どう見ても客観的な医学的見地からの記事と画像なので、誘引行為とは見做されていません。厚労省のお墨付きも得ました。

因みに、眼瞼の手術=主に重瞼術ですが、私達は眼瞼下垂手術を併施する症例が大部分です。何れにしても、美容整形の時代から眼瞼の手術はそのクリニックでも症例数の過半数なのですが、その割に画像提示が少ないようです。しかも、術前とダウンタイムが過ぎた時期の術後画像を並べるだけのやり口がほとんどです。だからこそ、私は経過を追って客観的な画像提示により患者さんに正しい認識をして欲しいのです。

このブログはその点でよく判る症例提示です。何故ならば、私も手術術式の選択に迷い。患者さんも迷わせてしまいました。眼瞼下垂を改善するに当たって、目頭部の蒙古襞の拘縮がある症例に対して、Z−形成法による目頭切開を併施したかったのに、こちらのスケジュールの関係で眼瞼下垂手術比切開法だけとなったのですが、その経過と結果を見て来てどう評価するかが面白くて、納得出来るものだと思うからです。だから読者の皆さんにも参考になり、充分に意味があると思うから臆面も無く提示させていただきます。

症例は22歳、女性。先天性一重瞼で糊やテープでも二重まぶたにならない。これは先天性皮膚性の眼瞼下垂です。LF,Levator function: 挙筋筋力(正しくは挙筋滑動距離)14mmと正常範囲ではある。画像でご覧様になれる様に、水かき状の蒙古襞の拘縮強い。眼裂横径25㎜、内眼角間35㎜角膜中心間58㎜と眼球は離れていない(顔が小さい)が眼の間は離れている。典型的な蒙古襞の被さりが多い症例です。

当然いつものやつ、黒目整形ですが、時間的に切開法は難しいとのことで非切開法の黒目整形NILT法(切らない眼瞼下垂手術)と、一重瞼の標準的な蒙古襞を二重瞼の標準的な蒙古襞に変えると共に拘縮(水かき状の突っ張り)を解除する一辺4mmのZー形成法での目頭切開が適切と考えられます。年齢からして判る様に四月から就職して社会生活が変わるので3月中に手術を受けたいとの希望でした。遅い!手術枠が満席です。NILT法だけなら枠がありそうでした。末広型の最高位でNILT法を2点することとなりました。これだけでも目的の半分は達せられます。

画像を見て如何でしょう?。

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術前画像は二葉載せます。皮膚性眼瞼下垂症に対する代償性に、開瞼時に常時前頭筋の収縮が不随意に起きています。眉が約1㎝も挙がっています。

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NILT法を施行しました。術直後は傷みで顔を下げていました。しばらく冷却して内服薬(消炎鎮痛剤)を服用したら、すぐに痛みが引いて顔を上げて撮影して下さいました。眼瞼挙筋で目を開ける様になったので、前頭筋収縮が緩和され眉は元の位置に降りました。下の画像は術後1週間で落ち着きました。やはり二葉、左は開瞼を抑えて、右は強く開いて。

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続いて術後3週間です。右は近接してやや上方視線にしてもらいました。開瞼は良好で重瞼もくっきりしています。もちろん内側には重瞼がありません。やはり蒙古襞の被さりと拘縮が強いからです。術後経過で蒙古襞のツッパリ感が増悪して、下眼瞼まで繋がり水かき型に戻ってきました。

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術後6週間(=約1か月半)で撮影しました。

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遂に、術後3か月を迎えました。二葉載せます。

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可愛いでしょう。子供っぽさは可愛いと表現されます。でもこの出来上がりで大人っぽくなりました。目が離れていても美しい目元です。目力も入っています。目頭の蒙古襞による拘縮は美容上の形態的問題と開瞼阻害という機能的問題を起こしますが、少なくとも目はよく開きました。切らない眼瞼下垂手術=黒目整形非切開法=NILT法が蒙古襞に勝ちました。私がしっかり縫い縮めたからですかね?。

とにかく一度完成とします。鼻根や目頭はまだ診ていきます。

近接画像を見比べて下さい。

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上の術前と下の術直後の眉と瞼縁の距離を見比べて下さい。IMG_1279IMG_1280

とにかく眉の位置が降りました。前頭筋の代償性収縮がされないともとの位置に戻ります。一重まぶたという状態=先天性皮膚性眼瞼下垂症で、眼瞼が皮膚で覆われていると視界が得られないのを脳が感知して自動的に前頭筋への信号を発し続けます。バイパスです。眼瞼が容易に開ける様になるとそれだけで視界が得られるから脳からの信号が絶えて、おでこの力が抜けて眉が元の位置に戻ります。元の位置とは眼を閉じているときの位置です。

下は術後1週間です。

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下は術後3週間です。水かき状の蒙古襞が見られます。

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下は術後6週間です。

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遂に、術後3か月を迎えました。

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蒙古ひだが水かき状でも、重瞼線が内側の点から蒙古襞に向けてカクッと曲がって不自然なラインにはなりませんでした。もちろん目が離れた感は解消していません。週単位で追って術後経過を見ていくと、腫脹の軽減に従って重瞼の幅がデザイン通りになってきました。末広型の最高位にデザインした通りになりました。でも、内側はどんどん落ちてきました。蒙古襞の拘縮は皮膚を引き下げるからです。もちろんZ−形成法による目頭切開をして拘縮を解除すれば目頭のすぐ外側ギリギリまで重瞼が出来ます。アジア人の二重瞼では、約半数が末広型で半数が平行型です。本症例では末広型の最高位にデザインしました。

本症例は取り急ぎ非切開法の黒目整形=切らない眼瞼下垂手術=NILT法をさせていただきました。NILT法は眼瞼挙筋を眼瞼結膜側から折りたたんで瞼板に縫合し、挙筋の筋力が瞼縁に伝わり易くする方法です。同時に二重瞼を作製します。二重瞼にすると皮膚を持ち上げなくてはならない為に挙筋に負担が掛かり、それまでの力の入れ方では開きが足りなくなり得るので、挙筋を強化した方が良いのです。

毎回書いて来ましたが、目頭切開は蒙古襞の交縮を解除する目的と、被さりを無くす目的の二つを満たす手術をしなければ異常感が残り、しかも機能と形態の二面を改善出来ません。ですから、従来のデザインでの手術法で目頭切開を受けた人は不自然に見えてしまいました。

一辺4㎜のZ−形成法は機能と形態を満足に改善出来る唯一の手術法です。理論的にはこれまで説明してきた様に自明ですし、二重瞼の自然な形態に改良出来るのはこれまでのブログで見ての通りです。でも本症例では、現時点で蒙古襞の拘縮解除をしなくても、子供っぽい目元で居るイル感がありありですが、それはそれで近年では少なからず見かける例です。

本症例の患者さんは、本年4月から就職して社会人になったのですが、要するにその前の3月中に手術を受けたかった訳です。切らない手術なら術後経過は数日しかかからないので可能だし、目頭切開手術も1週間後の抜糸すればメイクで傷跡(小さいので隠せる)は見えません。でも3月はみなさんが受けたい時期です。両方の手術を施行する時間は取れませんでした。患者さんは受けたかったので、残念だし申し訳なかったと思っています。

でも社会人となったら、子供っぽい目元では軽視されてしまします。上手く日程を立てて目頭部の蒙古襞の拘縮を解除するZ-形成を、予定したいと考えていらっしゃいます。実はその前に、鼻根のフラット感を改善すれば目が離れて見えなくなります。今後画像提示出来ると皆さんの参考にもなると思います。