その前に!2週間前に手術した:重い懸垂型ピアスによって後天性耳垂裂となり、ピアス孔を作製しながら、修復した2症例のうちのお一人が来院されました。キズが落ち着いたので、懸垂型ピアスを入れてみました。トンネルがしっかりしているので、今回は伸びないでしょう。
さて本日の美容医療の症例は?
眉間というか右眉頭と目頭の間のほくろです。色は淡いのですが、毛が生えていてサイズは8×6mm、今も増大傾向だそうです。レーザーで毛根まで削ると、跡が目立つし、切除して、縫い縮めると、眉や瞼が変形してしまう可能性があります。近くの皮膚科にかかったら、悪性の可能性は低いし、取らなくていいと言われたそうです。私は言いました。「そりゃーまあ―、皮膚科医は手術を得意としない人が多く、ましてや顔で、変形をきたす可能性がある部位の手術からは逃げますよ。」「しかも、大きくなっているし、悪性化の危険性は皆無ではありませんよ。」
私達形成外科医はこれを、綺麗に、変形をきたさずに治せます。こうするのです。
この様なデザインです。ほくろを完全摘出したら皮膚が欠損します。そこへ、変形をきたさない所から皮膚を移動するのです。
そして手術を始めます。まずほくろをくり抜きます。毛が生えているので、毛根の下=皮膚全厚(約2mm)までちゃんと取ります。こわいのでピントをぼかしてます。その後皮膚を持ち上げます。これを皮弁といいます。
皮膚を移動して縫います。ご覧のとおり、眉毛も瞼もひきつれていません。手術前と変わりません。キズは消えます。
何故、この症例を提示したかというと。
これまで、”美容医療の神髄”の題名でいくつかのテーマを発信してきて、歴史的経緯でも途中まで述べましたが、美容医療の片羽根である形成外科の啓蒙が不足していると実感したからです。
美容外科(昭和53年までは美容整形と称していました。)は広告宣伝されていますが、形成外科診療の内容は啓蒙されていないのです。それは一言でいえば、保険医療だからです。どういうこと?。建前でいえば、保険診療は公平だから宣伝は不要だということでもありますが、本音を言うと、宣伝すると医師間で目立って、嫌がられるからです。でもブログなら、書籍や講演会と同じような啓蒙活動なので、問題なく発信できます。
形成外科は形態と機能をバランスを取りながら、診療する科目です。病気として治療する際に、体表面や顔面などの、形態変化や傷跡があっては困る部位に対して、専門的な技術と経験に基づく知識を駆使して、形態的に障害のない結果を得ることを目的としています。そして、そのための研鑽を経ている医師が日本形成外科学会認定医です。私達形成外科医は、特別な結果を出せます。
まずは手術前、手術後の症例写真を提示します。来週抜糸したら、また詳しく続きを書きます。
皮弁形成術等の形成外科の真髄も次回。