2014 . 5 . 9

美容医療の真髄Ⅸ 切らない眼瞼下垂手術後は、いい感じ?。-2週間後-

2週間前に切らない眼瞼下垂手術を受けた症例の患者さんを撮影させてもらえました。

DSC00607手術前

DSC006701週間後

DSC006942週間後

短期的経過はもちろん困らない手術です。中期的には1週間でほぼ出来上がりといえ、2週間でほぼ完成といえます。今後は定着期と考えられます。

今回はこの手術の説明として、学会で新しい考え方、メカニズムが提示されたので、ご説明したいと思います。まずは眼瞼の断面図から見ていきます。

美しい目の解剖

先月の学会で、本邦の形成外科斯界で最も熱心に眼瞼を研究している信州大学教授の松尾清先生が発表されました。

私は松尾教授とは、17年前から懇意にしていて、見学に行ったこともあります。眼瞼下垂症に対する本邦第一の研究者で、いろいろな知見を毎年提示しています。それだけに過ぎずに、眼瞼の診療におけるいろいろな問題点、つまり一重瞼と二重瞼の差異と、眼瞼下垂の関係にも知識を与えてもらえます。

日本人を含む東アジア人には一重瞼が存在し、眼瞼下垂を伴うことが多いのは、これまで何度も説明しましたが、この知識の一部は松尾先生から仕入れたものです。さらに言うならば、東アジア人の眼瞼は世界人類70億人の中でも特殊な形態機能を備えているので、日本の第一人者は、アジア人向けの第一人者だといえます。

話しを進めると、「眼瞼=まぶたを開く力源について」以下の如く4点があり、お互いに連携しているそうです。

① 眼瞼挙筋が眼瞼挙筋腱膜を介して瞼板前面を挙上する。②挙筋とミューラー筋が一連の筋肉となって瞼板上縁を挙上する。③上直筋が上結膜円蓋、瞼結膜を介して瞼板後面を挙上する。④前頭筋が皮膚・中央結合組織を介して瞼板前面を挙上する。

上記4点のうち①がメインであることは確かで、後天性眼瞼下垂症は、腱膜が瞼板から剥がれているから、開きが悪くなるのは、いつも治療している私達が知っています。

そうして起きた後天性腱膜性眼瞼下垂症を、②の力を強化して治療するのが、私達が行う切らない眼瞼下垂手術=NILT法の仕組みだと考えています。

今回③のメカニズムが関与していると発表されたので考えてみましたら、私達の行う切らない眼瞼下垂手術は眼瞼結膜をも短縮しているではないかと気づきました。ですから、切らない眼瞼下垂手術=NILT法は、2重に強化していることが判ったのです。「やっぱそうか、だからよく開くようになるんだ。」と、私達の行っている方法に自信をつけたのです。

もうひとつの④は、眉下切開に関与する仕組みで、眉下切開でも皮膚の除去だけでなく、瞼縁の挙上も起きることは経験上知っています。さらに言えば、眉下切開と切らない眼瞼下垂手術の組み合わせは、4つの力源をバランスよく強化できる、理にかなった手術だといえます。

上の症例をご覧ください。実は3年前に眉下切開を受け、2週間前に切らない眼瞼下垂手術を受けたので、まぶたの開きが強化しているだけでなく、異常感がなく、バランスが取れた綺麗な(前回可憐なといいましたが、言い換えます。)目元となっています。知り合いにあっても「なんか可愛いですね。」といわれるそうです。

今回は新しい知識も加え切らない眼瞼下垂手術を説明しました。近々また症例提示の機会がありますので、「お楽しみに!。」

 

 

 

 

 

 

 

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