今回の症例は、皆様に受け入れられることを期して掲載した訳ではありません。皆様に理論的説明のために提示したのです。何を説明したいかというと、美容整形屋には、理解できない科学的根拠があるかをです。
上2図は術前術後で前回提示しました。
術後1週間で抜糸しました。印象として、全体の目つきが改善しています。そうです、そこが目的です。これまで何回か、埋没法の重瞼術や、切開法の重瞼術を受けてこられたし、目頭切開も受けていますが、なんか変。綺麗と言い難い。精気がない目つき。違うんだなあ〜!っていう感じ。今回切開法の眼瞼下垂手術と、目頭の拘縮解除術を施行しました。
よく見て下さい。黒目の上に被さる瞼縁の傾斜が大事です。術前は黒目の上に掛かる瞼縁が斜めに内側が落ちています。術後1週間では、水平になっています。そこが大事ですよ。これを作るのには、形成外科、美容外科の、知識と経験が必要です。その点で、挙筋の強さの調節と、目頭拘縮の解除法は私達の得意分野です。またまた、自分の瞼を提示してみますが、黒目の上に掛かる瞼縁が水平になっています。別にこうしたいという例ではありませんが、よく患者さんに目が大きいと言われるのは水平な瞼縁も一つの理由であると考えられますから、提示してみました。
前回、水かき上の目頭の突っ張りを治す方法と言いました。私の指(第一指間)でシミュレーションしました。では何が変わるのでしょう。4㎜のZ−形成術をデザインし、皮弁を入れ替えると、目頭の水かきの長さが√3=1.7320508…延長し、目頭が√3開くという理論です。皮膚が伸びるってどうゆうこと?ってお思いでしょうが、別に引っ張って伸びるのではなく、幾何学的計算に基づき、距離が増えるののです。結果!、瞼の内側方面の開きが明らかに改善しました。その結果が水平の瞼縁です。もちろん眼瞼挙筋の強化時に、2点なら2点のバランスを取って水平を作ります。できたでしょう。
今回の症例は、複数回手術例で不自然な形態だったし、開瞼も阻害されている。吊り目状態でもある。目頭が丸くて虫型。なんとかいい形を取り戻したくてこれまで悩んできた方で、私達としても何回も努力してきた患者さんです。今回の短期経過上は、かなり再建できたと思います。まだまだ経過上よりよい方向性に変化しますことを推測し、願い、来週に提示致します。