2015 . 7 . 16

黒目をもっと出したい!まぶたのカーブを綺麗に!

一昨日久しぶりにブログに紹介する提示症例に巡り会えました。何故最近無かったのかと言いますと、5月来患者数が多く、診察が忙しかったため、症例提示の依頼をする間がなかったのです。結構気を使うもんで・・、精神的な余裕の問題です。

今回の症例は快諾していただきました。これまでに何回か、他院や当院で改善を計って来た患者さんですが、ゴールが高くなかなか辿り着けなかったケースで、今回思い立って治療を受けたかったそうです。私のこれまでの症例提示も参考にして頂き、修正をご要望いただいたのですが、費用の問題もあり(もちろん症例提示の承諾を頂くからには何らかの利益供与します。)、今回手術に至り、提示させて頂くことになりました。

患者さんは28歳女性。他院で数年前に切開法の眼瞼下垂症手術を受けています。当院には二年前に来院され、切らない眼瞼下垂手術をいたしました。カルテ上の画像を見ていくと、ある程度の後戻りが見られました。 ここからが、私の美容的観点と技術の見せ所です。美容外科医には美容医学が必要です。まずは術前写真をご覧いただきます。

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上二図が術前の画像で、左図は第一眼位で、右図は上方視をしてもらった画像です。もちろん、眉は書いていますが(Tattooです。)、だからではなく眉を上げない様に意識しているので、近いです。上方視時にも、挙げない様にしています。これまで何度も言ってきましたが、眼瞼下垂であろうとなかろうと、少なくとも上方視では脳が反射的に信号を出し、前頭筋収縮して眉毛を挙げる様な神経回路があるのですが、意識すれば回路を断つことができるのです。珍しいケースです。

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上二図は、術前の近接像です。さて何を治したいのでしょう。よ〜く見ると。

1;開瞼に左右差があります。左図(右目)は右図(左目)に比べて上がりが少ないです。見方として、黒目(角膜)の上に被る瞼縁の高さの瞳孔中心からの距離を比べます。もちろんその方法は、瞼縁に皮膚が被さっていない場合だけ使えます。ついでにいうと、それを二重まぶたの定義とします。

2;MRD,MarginReflexDistance;辺縁反射距離という数値は、カメラにリングフラッシュを付けて写真を撮る際に、瞳孔中心に反射点ができて計り安いので頻用されます。残念ながら当院にはリングフラッシュがないので、実物か近接写真でしか計測できません。正常では3㎜以上とされています。そうして計測したら左も2,5㎜でした。

3;さらによ〜く見ると、瞼縁のカーブが、外上がりになっています。瞳孔の外縁と内縁に掛かる瞼縁の高さを比べてみると判ります。少なくとも内側の瞼縁は、直線状に目頭に繋がっています。つまり所謂吊り目なのです。原因は・・、やはり蒙古ひだの拘縮です。ここで当院の、Z−形成法による内眼角部の拘縮解除術の出番です。もうこれまで何度も提示してきましたから、お判りでしょう。ちなみに本症例もブログで見た結果を求めて、私を受診されたのです。

術前診察の結果、手術法は黒目整形=切らない眼瞼下垂手術;NILT法とZ−形成法による目頭(切開)拘縮解除手術を行いました。

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それでは結果を、と言いたいところなのですが、今回の症例では、術直後の画像でどうだっと、いいきれません。これまで何度かの手術を経ているため、瘢痕が強く伸びきらない。出血が多く創が見える。また挙筋の強化はできましたが、腫れているのでカーブが作れません。術直後の画像は皆さんに説得力がないでしょう。

通常通り翌日来院して頂きましたが、写真を撮り忘れました。でも術直後と比べて、格好ついていました。診察しながら私は、「一つ目の開瞼強化はもちろんできましたよね?、二つ目の左右差も解消したでしょう?、目頭は開いたし、内側付近のまぶたも開いていますよね?。」と確かめてみました。上記画像よりは、改良を求められた点が向上しています。患者さんに「判りました。今後の経過を見ます。でも右目は気に入ったけど、左目の内側はもう一つかな?。」と苦笑いされました。そして「様子を見てみますが、いまいちだったら、次回は切開を御願いすると思います。それでいけますよね。」といわれ、私は、「切開なら任せて下さい。」「私は上眼瞼手術のうち約半数は切開法を行っています。そんじょそこいらの美容整形屋とは違いますから。」とか言ったものの、今回の結果を得ないことには気が気でないのでした。

っということで、ゴールの設定が高く、難しい、だから面白い症例です。Polysurgery であることも術者にとってはDisadvantage なpoint ですが、前進であれば患者さんにとってはAdvantageなので、経過を診ることが患者さんにとっても、医療側にとってもMerit であると言う症例提示です。

1週間後の抜糸と経過診察が楽しみです。皆さんは画像を楽しみにして下さい。ところで、最近英語論文の解説をブログに載せていたので、脳の中に日英混在していて、今回のブログ中にもalphabetが混じりチャンポンになっていることをお詫びします。