眼瞼下垂および重瞼術の切開法は私達美容形成外科医の主戦場です。
症例;30歳女性 ソフトコンタクトレンズ装用歴7年 眼裂横径27㎜/内眼角間距離35㎜と小さい方ではない。挙筋筋力は14㎜と正常。
今回の症例は、よりよい結果と持続性を求めて、切開法を希望されて来院されました。1週間は休めるのでダウンタイムは困らないそうです。フェニレフリンテストでよく開く=腱膜性の眼瞼下垂がある。その上でシミュレーションして重瞼線は7㎜に設定しました。上右図の様に前頭筋を収縮する(眉毛を挙げて開瞼を補助している)ため、皮膚眼輪筋を3.5㎜切除する事になりました。
上図の術直前と術直後では参考にならないかも知れません。しっかり開いて、重瞼をしっかり止めて、皮膚も中途半端でなく端から端まで均等に切除すると、術直後にはこれだけ腫れます。でも経過を追ってお見せしたほうが参考になるでしょう。形成外科専門医は、ちゃんと医学的知識に基づいて手術手技を習得します。座学が先行して、実技を習得するのが医学特に外科系の研修であるのです。ビジネスのノウハウを得るために手術を覚えるだけのチェーン店系美容整形屋には経験できないのです。
しかし、形成外科の知識習得だけでは、個人個人の患者さんに適した美容的デザインを学ぶ機会は足りません。これまで紹介してきました様に、私は27年間のうち15年間は北里大学形成外科医局に所属しながら、当初から父の美容外科クリニック等で美容外科診療にも携わってきました。今から13年前に美容外科開業し、7年前からは銀座と大阪で美容外科・形成外科医として勤務しています。このような手術はオートメーション美容整形のチェーン店では、取り扱えません。もちろん、彼等の多くは形成外科研修を受けていませんから、切開法を学んでいません。かといって、形成外科の単独の開業院では、美容的見地が不足な医師がほとんどです。どちらも診療している当院だからこそ、切開法の経験と技術を信頼してもらえると思います。
今回説明した様に、切開法の眼瞼形成術は、形成外科・美容外科の両方の経験と知識を要する高度な手術です。そこで、この分野を出来る私達を、本当の美容形成外科医と称する事とします。
そして、1週間を経て、上記の如くの経過写真を撮影させて頂きました。この時点で、40%程度の治り具合でしょうか?。まだ腫れていますが、見て恐い程ではなくなったと患者さんの印象。抜糸したので、メイクすれば腫れは隠せます。ダークカラーは収縮色なので、腫脹による膨らみをカモフラージュできます。
この時点では、形態はまだ完成ではありません。開瞼時にはまぶたが弧を描くので、眼瞼縁が伸展されるのに、腫脹により体積が増えていますから、伸びないためです。腫脹が完全に軽快するまではそういうものなのです。ご覧いただける様に、特に内側が開きにくいのです。上眼瞼は、内側は蒙古襞を介して目頭に付着しているので挙がりにくいのです。外側は皮膚が目尻を越えて余裕があるから伸びるため挙がるのです。
そして、2週間が経ちました。腫脹は軽減中で開瞼は若干向上して、前頭筋の収縮が減ったのが見えます。しかしやはり、内側の開瞼が不足です。こうして経過を診て来たら、どうも内眼角部の問題=蒙古襞の拘縮を伴っているためと考え始めました。一重まぶたと、蒙古襞の拘縮の程度は遺伝子的に近い部位に原因があり、相関しているものと考えられています。術前画像では、奥二重ですから、蒙古襞が気になりませんでした。でも左右差があって、右は蒙古襞が突っ張っています。開瞼を向上したら、抵抗勢力である蒙古襞が目立つ様になる事は、理論的にあり得ます。そうであれば、Z−形成法による目頭切開=蒙古襞拘縮解除術が適応になりますが、今後の経過次第です。
こんな細かい形の評価を出来るのは、切開法の症例を多数経験して来たからです。だから、私達は自らを、真の美容形成外科医と呼ばせてもらいます。