2015 . 11 . 18

片側の黒目整形で合わせたい。経過を追いましょうⅢ。

本症例は、片側の眼瞼下垂症です。眼瞼下垂症に対する治療を受けていないために、左右差が目立って来たということです。開瞼に左右差があれば、見た目の重瞼の形も左右差を呈することになる解り易い症例です。そこで予定通り、術後の短期経時的変化を追ってきました。術直後、術後1週間、術後2週間と比較して下さい。

症例は38歳女性。挙筋機能(挙筋収縮距離+最大瞼縁活動距離)は両側12㎜と左右差が無いのに、同じ力で開く=挙筋を収縮すると、力が伝わらない為に瞼縁の挙がり具合に左右差を呈する状態です。腱膜性眼瞼下垂です。後天性で、原因は物理的損傷と考えられます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

上左図が術前、上右図が術直後です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

上左図が術後1週間、上右図が術後2週間です。

術直後の時点では、内側が強すぎる様に見えます。逆に開瞼はほぼ揃っています。

1週間目には腫れが取れて、ラインが随分揃って来ています。でも、遠目に見ると何となく開瞼に差が見えます。そして、2点の間が直線的です。2点がまだ強いからでもありますが、真ん中に追加したくなりました。当所から3点にしておけば良かったとも言えます。

そして2週間目には、ラインはなだらかになったのですが、開瞼が落ちてきました。埋没法は、締め具合と、糸を通す位置のバランスが命です。術中の強さは、日時単位で必ず緩んできますし、麻酔の影響もあります。特に片側の場合、ピッタリ合わせるのが難しく、経過中に変遷していき最終的に揃ってくれば良し、そしてそういう経過なら、長持ちする筈です。ところが二重のラインが揃って来たのに、開瞼の左右差が生じてきました。開瞼が落ちると二重が狭くなるのは自明です。実は、2週間目には追加修正手術を予定しようと打ち合わせていました。1点追加だけなら、ダウンタイムはやり過ごせます。形態が優先事項ですが、機能も改善しようかどうか迷っていました。この経過を診てやはり、NILT法で開瞼を強化して、かつ中央付近の重瞼線のカーブをキレイに作りたくなるのは、私と患者さんで一致する見解となりました。二人の間には信頼関係があります。

注;機能=筋力や筋力伝達、神経の回路等の動きのコントロール。形態=見た目の形。美容的とも表現される

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

そこで、左眼瞼中央部にNILT法を施行しました。上右の術直後の画像をご覧ください。今回提示した画像の中で一番きれいでしょ?。とても年齢38歳には見えないです。さすがに瞼縁の中央部がかくんと挙がっているのは術直後だからで、症例患者さんも経験からして納得されていました。綺麗な経過画像を提示できて良かったと思いますが、経過は変遷します。ちなみに、本症例は顔貌全体が理想的バランスで、目の左右さが最大の欠点でした。うまく定着するといいのですが・・。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

こうしてさらに1週間が経過しました。腫脹軽度で内出血も皆無とダウンタイムは無きに等しい経過です。追加して良かったですね!。っと、自分を誉めてあげようと(本当は患者さんの体質と安心感がそうさせるのです。)思ったのにい〜。やはり左内側が強いかな?。それより、開瞼が僅かに落ちてきましたかね?。許容範囲でしょうか?。もうしばらく様子を見て、内側のライン変更または弱めることをするかも知れません。そして開瞼差が目立つなら、もう1本追加も可能です。

前回述べましたが、本症例は外面の全体像がバランスが取れて素敵な人なので、”眼瞼だけ!”どうにかしたい症例です。完璧を求められれば、こちらも追求したくなる症例です。片側の症例は、全く対称にするのが難しいのですが、少しでも近づけたく出来ることをしていきたいと思います。幸いにして、患者さんとの信頼関係が得られているので、対処させてもらいます。逆に言えば、患者さんの内面性=キャラクター、タレント性が高いから出来ることです。外面も内面も素敵な本症例の診療に携われることを喜びとし、更なる努力を怠らない様にしたいと思います。

*注1;キャラクター=性格をはじめとした神経系の働きの滑らかさ。*注2;タレント性=辞書では特性と訳す様に、人格とも繫がる特徴。決して芸能人のことではない。

どんな治療でも、本症例の様に経過中に微妙に変遷していきます。特に片側では比較させるからよく解ります。その変化を追わせてもらいました。感謝致します。敢えて提示するのは、皆さんにも理解してもらいたいからで、症例患者さんの篤志でもありますし、当方としては「ナーンだそんなもんか?。」と言われても皆さんに経過を知っていてもらいたいからです。もう一度比較してみましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

上左;術前。上右;術直後。下左;術後2週間後追加手術後。下右;初回から3週間。こうして見て来ると充分に出来てはいます。

次回をお楽しみに。