2016 . 11 . 16

イケメンはやりがいがある。!1週間で完成とはなりませんが。

イケメンをよりカッコよく、男前をアップする美容医療は私の得意な分野です。とにかくイケメン作りは楽しいです。

今回の症例はイケメンですが、美容マニアです。ごらんになってお判りになれますか?。とにかくよくできています。ところが、細部に問題点があります。今回患者さんが訴える三点は私も理解できました。

症例は22歳、男性。これまでに鼻柱延長術と鼻翼縮小術を受けている。効果は得られているが、バランスが取れていない点があるということで来院されました。問題点を挙げます。

1、鼻柱延長術の際に鼻尖に耳介軟骨移植を受けているが、鼻尖の高さが足りない。側面像や斜位像を見れば、鼻尖が下がっているのが見える。いわゆる鳥のくちばし状と形容される変形。鼻尖を高く、鼻稜の延長に持っていきたい。

2、鼻翼の傷跡を見ると、鼻背に向かっての傷跡が幅がありしかも取り足りない。鼻翼と鼻背間の溝は鼻孔縁と平行のカーブにすれば、鼻翼そのものを挙げられるから創跡切除を兼ねて切除を追加すればよい。

3、これまでに骨切りした結果軟部組織の余剰が見られると訴えられました。歯槽部(歯茎の骨)が後ろに下がった結果口唇の軟部組織が相対的に余剰となった訳です。その結果余った分が口角が下がって表出しました。

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結果を下図に提示します。術直後に血腫予防のための圧迫と形態維持のためにテープ固定をしましたが形態は見えます。では改善点と方法を説明します。問題点が解消しています。

1、前回と同じのオープン切開を使いアプローチしました。耳介軟骨を15×8㎜大で採取しました。もう一度鼻尖の鼻翼軟骨を水平マットレスで寄せてから、その上に対角線10㎜のダイアモンド型と5×8mmの楕円形の耳介軟骨を重ねて移植しました。側面像や斜位像で、鼻尖が鼻稜の延長線にあります。正面像でも、鼻尖の形がはっきりしました。

1`、下からの像で見れば、鼻尖が前より高くなり、尖ったのが判ります。高くしたし、尖らせました。細かいデザインが結構見えるのです。鼻の孔も小さくなりました。実は鼻翼最大幅もあるので、縮小を希望されたのですが。私としては、同時施行は無理なのと、まず鼻尖の改造を行ってからバランスを見て鼻翼の数字を決めようという提案の下、二次的にすることにしたのです。

2、鼻翼の上の創跡とその下の鼻翼の余剰を紡錘形に切除し、縫合しました。正面像で鼻翼の位置も挙がり鼻柱より上にある矢印鼻になりました。側面像や斜位像で見れば判る様に、傷跡つまり溝が鼻孔縁のカーブと平行になりました。これは私の父が昔たまに行っていた手術で、どっかで真似た医師が手をつけたのですが、コンセプトがイマイチだったので、同部で私が追加手術をした訳です。形もよくなり、傷跡も細く出来ると思います。

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3、上下の歯槽骨の骨切り術=セットバックを受けています。前から4番目の歯を抜いて、両側の3番目から3番目を骨ごと後ろに下げる手術です。私も一度施行したことがあります。ところが硬組織だけ下げると結果的に減量したのと同じですから、軟部組織が余剰になる訳です。その結果は見ての通り、弛むのですが、口角が下がる形態を呈します。

この状態に対して、私が2年前からよく行なって来た口角リフトをご覧になったそうです。ブログに何例か提示していますからね。この適応であるのは明白です。上に5㎜切除して縫い挙げました。画像を見れば形態的効果は明瞭です。傷はもちろん見られますが、実は2日後には見えなくなっていました。

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そして1週間後の経過を提示していきます。男性は治りが早いので、いいね!な経過をお見せ出来ます。抜糸したのちに固定(軟骨の位置がズレない様に皮表から押さえておく)テープを一度外した状態で撮影しました。

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正面像では鼻尖の尖りが見られます。鼻尖のハイライトがダイアモンド型=立て菱形に出来ました。これは父の時代から見出した理想の鼻尖の形で、軟骨をそのように成形しています。右上の図の術前の画像と比較するとよく判ります。

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右側面像と右斜位像。ストレート鼻に出来ました。

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左側面像と左斜位像。上右は比較の為に術前の左側面像を載せました。比較すると、オウム鼻;parrot beak nose(オウムの鈎型のくちばしの様な鼻という意味)だったのがストレイトな鼻筋になっています。鳥が人間に戻りました。

どの方向から見てもいけている。そうです。イケメンにしました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA下方からの画像です。鼻の孔も小さくなりました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA軟骨を採取した耳介の前面には傷跡はありません。

鼻柱の傷跡は目立たないし、耳にも傷跡は見られません。1週間は耳介を表と裏から圧迫ガーゼするのが邪魔なだけです。鼻柱の創跡は目立たなくなります。形成外科的技術を持ってすれば、傷跡を気にすることはあり得ません。

このような形態に形成しないと不自然ですよね。このように男性でもイケメンを求めると、バランスを取って形態改善をしていかなければカッコウ悪いですよね。そもそもイケメンとは定義が難しいのですが、昨今ではいけてる奴とは、ルックスを持ってして稼げる奴との認識が優勢でしょう。いや違う、ルックスの善し悪しは個性に付随するものだとの意見もあるかも知れません。私はそれも違うと思います。美容医療の結果として好ましい形態は経済的効果をもたらすこともありますが、目的にしてはいけません。あくまでも美容医療は人格の一部としての豊かさです。そして美には基準があります。個性は尊重しますが、理想的美容的形態は学術的にも定説があります。いつも言うのですが、レオナルドダヴィンチの時代から、美学(美術学というリベラルアーツの萌芽)の一つの分野として、人間の標準的な良い形態は研究対象とされています。現代でも通用する学問です。ですから、少なくとも美に基準はある筈です。

本症例は男性というジェンダーのでの美学を表現しています。これを男の美学と言わずしてなんと言いますか?。とにかく次回中期的な経過をお楽しみに。