2016 . 12 . 7

上口唇短縮術‐切開法が評判です。

このところ上口唇(白唇部)を短くしたい患者さんの来院が増加しています。評判かどうかは判りませんが、このブログを見て来院する人が多く、経過が良好で(傷跡が目立たなくなる。)詳しい内容が説明してある為に安心だという患者さんの声を聴きます。嬉しい限りです。それにさすがに最近は、数少ない美容外科・形成外科医の優位性が知れ渡って来たと考えられ、探し求める患者さんが多くなりました。そんじょそこらのビジネス的非形成外科医や逆に美容外科を知らない形成外科医との違いが理解されて来たのだと思います。ただしこの手術は、最終兵器で経過が長い。言い訳するのでは無く、今回の画像提示は術当日に限るので、結構すごいと思います。怖がらないでまずはさわりからご覧下さい。

症例は20代、女性。USAの白人と日本人のハーフでタレントさん。白人の要素として、顔面が縦横の比率的に長い。上中下顔面の長さもすべて6㎝以上で、頬骨最大幅は130mm以下と細い。ところが下顔面の縦長の中で、鼻の下が特に長いためバランスが悪い。鼻の下の皮膚の部分も唇です。赤い唇(=赤唇部)と白い唇(=白唇部)と言います。私は計測ポイントとして、鼻柱基部(中央の鼻と白唇部の折れ返り点)と赤唇部の中央(キュ―ピットの弓の最下点)の長さを計ります。15mm以下が標準です。症例患者さんでは20mmありました。

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術前の画像を見ると鼻の下が間延びしている。半分アジア人のため上下顎が突出している。Bimaxillary Protrusion です。所謂エステティックライン、英語でAesthetic line(米語でない)がプラス。感嘆にいえば口が出ているため、間延び感が余計に目立つ典型的な例です。

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デザインです。三つの留意点があります。1、鼻孔底へ切り込むデザインにするか?、鼻孔底前底の土手を温存するか?。2、鼻翼を超えて鼻唇溝へバックカッとするか?。3、切除幅をどうするか?。三点についてはご覧の通りのデザインを希望されました。切除幅は6㎜としました。これらの点とか内部処理については後日に説明します。

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縫合を行った直後です。かなり切除したためか?、局所麻酔で口輪筋が動かない(力が入らない)ためか?、口が閉じません。でも術前のシミュレーションでは閉じたので心配はしません。

切除手術の際には、翌日に診察します。残念なことに画像はありません。翌日には局所麻酔は切れていますから、口輪筋に力が入れられる様になりました。閉じようとすればちゃんと閉じます。力を抜けば、上の術直後よりは狭いとはいえ開いてます。でも半開きの口元が好きだそうです。確かに鼻の下が長いよりは半開きの口の方がずっといいです。1週間後の抜糸時には画像を頂きます。

本手術は最終兵器だと前に述べました。何故かというと1、美容外科の典型的な手術の中で、顔面の前方を切る手術はこの手術を眉下切開だけです。いかに切除縫合を丁寧にするかがポイントで、絶対に形成外科医にしか受けてはいけません。かといって、一般の形成外科医は美容学(所謂美的センス)を学んでいないため、これらの手術をしたがりません。私達の様な形成外科と美容外科を修行したものでなければ出来ません。でもそういう医師は日本では100人にも満たないのが現状です。2、顔面の印象は、目元の印象が約50%を左右します。目を見て話すからです。次に引いてみて正面輪郭です。口元の問題はバラエティーに富んでいる為に、一般の患者さんがゴールを見出せない部位で、他の顔面の印象を高めたのちに、「ああ、この口元をこうすれば品性が高められるんだ!」っと気付く部位です。だから最終手段となることが多いのです。3、口元は前後関係も気になる点ですが、骨切りまでするのは侵襲が大き過ぎて無理。そこで上下位置の修正によって代替することがあります。いってみれば前後位置を上下位置を治して`ごまかす`訳です。だから最終手段となるのです。

口元の長さと突出は、印象として品性を左右します。今時の若い人に品性なんて求めても無駄かも知れません。失われた20年の間に日本人はヤンキー化して、品なんかに見向きもしなくなりました。でも考えてみて下さい。鼻の下を伸ばすという言葉は現存します。また、口の出ていない動物は人間だけです。口で食べないで手で食べるからです。これは本当の人間性です。品性に繫がる人間性です。ですから、口元の手術は美しさのための最終兵器です。

話しが飛んで長くなってしまいました。実際の手術のデザインと方法と経過についての説明は、次回の1週間目の画像の提示の際に詳しく記載いたします。

実際術直後の画像だけでは説明の仕様が無い手術ですから、悪しからず。