2017 . 10 . 4

鼻翼縮小術の内側切開法が評判です。

鼻翼縮小術の手術法には何種類かあります。1、40年来行なわれて来たのが外側切開法。ただし適応は限られます。鼻翼の付け根よりも張り出しが大きい症例だけに使うべきです。2、そして付け根を寄せるには、第一に糸が使われます。この10年来頻用して来ました。寄せた量の約半分が戻ります。年齢と共に戻る量が増えていました。逆に加齢で鼻翼幅は広がりますから、アンチエイジングの手術をしてのニーズは高まってきたのにです。3、そこで15〜10年前には良く使った方法、内側切除+糸での縫縮法を復活させてみました。内側を切開しても創は見えません。友人の美容外科医であるDr.広比と議論して、内側切除法に皮弁法を加えると創が表に出ないで済むと考えました。三か月来で約5例施行した中の一例です。

元来美人系の人や、他の部位の改善を図り美形が得られていても、中顔面から口唇付近の改良が欲しいと気付く人は多く居ます。むしろその人は、知的な美的観点が豊富な証拠です。鼻と口は位置関係が重要で違いが見えます。何故なら口元の美容は知性と品性を表現します。

症例は41歳、女性。若返りを求めて来院されました。早速美容的な評価をします。上下眼瞼、口元等は手を付けてきた。修正や追加を出来る部分を診断しました。外鼻の鼻陵は高くしているが、鼻尖の下がりが残り、鼻翼は外側切除を受けたが、幅は38㎜と変わらなかった。またです。外側切除の適応診断をしないクリニックが多発しています。その点を説明すると、患者さんは「先ずそこから治したいの〜!」と乗り出してきます。更に「ブログ見ましたけれど、糸だけでは戻るんですよねえ!。内側を切開するのも見ました。」とよく判っています。先ずはこれからちゃんと治しましょうという事になりました。

今回術後経過を魅せたいので、各方向の、左から術前と術直後と術翌日と術後1週間と術後2週間の画像を並べます。先ずは正面像から。

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サイズは上記の通り、術前は最大幅38㎜でした。しかも鼻翼に下方が広いあぐら鼻です。予定では30㎜まで縮めようかと考えました。実際は手術中に32㎜まで締めて行った時点で鏡で見せて止めました。術直後は32㎜です。翌日も変わりません。術後1週間で計ると、35㎜まで後戻りしていました。術後2週間では35㎜と後戻りが止まりました。でも患者さんは「形が綺麗。下が小さくなって嬉しい!」と喜んでいます。私はそれを見てうっとりしました。そこで術前画像を見て「前はあぐら鼻だったんですよ!。鼻も下が細い方が美しい。」と言い添えました。

更にもう一つ。後で気付いたのですが口唇も締まってこれまた色っぽいんです。後段で示します。

DSC00316DSC00323DSC00328DSC00362DSC00445下面像は当たり前に結果を見せます。サイズは上記の通りですが、その結果鼻翼の付け根の折れ返りと、最大幅の差が変化しています。術前は外側を無意味に切除されているので、鼻翼の張り出しがなく、ベタッとしています。付け根を締めると適度に張り出しが出来て鼻翼らしい丸みが出来ます。これが自然な鼻翼の形態です。そうです。外側切除は手術適応が狭いのです。診断は手術法の決定の為にあります。美容医療でも診察が大事なことが判りやすい部位です。

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側面像では、よく見なければわかりませんが口唇の傾斜が変化しています。僅かに上口唇の(何度も言いますが、唇は鼻の下全体をいいます。皮膚の白い部分が白唇部、赤い部分が赤唇部です。)外反が増強しています。本症例の患者さんはエステティックラインがマイナスなので口唇が前に出ても下品にならないのです。むしろキャラクターとしてエステティックラインがマイナスだと女性として奥ゆかしく色っぽいのですが、ゼロの方がセクシー感が出て調和します。

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斜位像でも側面像と同様の変化が得られています。口唇の外反が効いています。実は口唇の手術を予定しています。口唇が後ろに下がっていると品性があるのですが、長いからのっぺりとしてもたついている。野暮ったいのです。ご覧の様に創跡も目立つ。今後一つ一つの経過を見ながらバランスを取って順次改善を図って行きましょう。それにしても、術後2週間の口元はきれいです。患者さんが「キューピットの弓:Cupid’s bow がはっきりとしてキレイですね。」と自分の顔に満足しています。私は「ほんとだあ〜!。」一緒になって喜んで、「それはそうなります。でもそれは貴女のエステティックラインが、素材が綺麗だからです。だから結果が得られるのです。」とか言って、にっこりとしました。

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本当に口唇の傾斜と外反が向上し、キューピットの弓の形が綺麗になりました。相対する人の心を射止めます。最右図の術後1週間では、口紅で強調していただき有り難う御座いました。でも外反は正面からは解りません。そのため長くてだらんと白唇部が気になってしまいます。

ところで患者さんは良く知っていますね!。勉強しているのですね。知識をお持ちですね。患者さんが知識を持っているとが結果が良好になりますから、これからも診療が楽しみな患者さんです。

術式ですが、ただの内側切開手術ではありません。先日、日本美容外科学会JSAPSの学術集会があり、リッツのDr.広比とも議論しました。内側切除法は糸だけよりは後戻りが少ないが、粘膜で寄せても結局は徐々に伸びて来る。そこで糸プラス、内側切除に内側の粘膜の裏側を縫合すれより良い。更に両側の鼻翼の間の粘膜を骨膜上で剥離して、寄せた位置で癒着させればその位置に留まる筈です。剥離層が難しいのですが、そこは形成外科医なので知識と経験があります。上手く剥離して糸で寄せておけば、その位置に癒着するのです。要するに私と広比医師は形成外科と美容外科を同時に研鑽して来たから、この様な手術法を編み出すことができたのです。

事実、本症例では若干の後戻りはあれど、術後1週間からは止まりました。このまま推移すると思います。何より患者さんは喜びます。形態が美しく、しかも口唇にまで好影響を及ぼしました。でも油断は禁物。今後の経過を随時提示していきますから、お楽しみに!