2017 . 1 . 11

若返りにも黒目整形!。非切開法に適応する症例は楽ですよね。

眼瞼は加齢により必ず変形してきます。若年時は一重瞼を二重瞼にするべきだと再三再四記載してきました。一重瞼は先天性皮膚性眼瞼下垂症であり、筋性眼瞼下垂症が隠れていることも多いからです。そして、加齢に伴う皮膚性眼瞼下垂も早く進行しますから。開瞼という生体の機能面の改善が求められます。

対して加齢と共に生じる変形は機能的にも形態的にも再建の要素が強く、主目的は開瞼という機能面の改良ですが、形態的にも若年時の形態を取り戻したいという目的を伴います。

黒目整形とは、当初は切らない眼瞼下垂手術を称してきました。ところがこのブログで切開法の症例提示を繰り返してきた結果、切開法も黒目整形の一部だと認知されてきました。要するに、切開法でも非切開法でも目的は挙筋の前転と皮膚の挙上による開瞼強化であり、違いは皮膚の余剰を除去するかどうかだけです。機能的には同じ結果です。持続性や費用はもちろん差がありますかが、その点はいつも説明している通りです。

加齢により、皮膚が弛緩し伸展してきたら、それを持ち上げるだけ(重瞼線の移動)でいいか?、除去(切除)しなければならないか?。瞼縁に皮膚が被さるなら機能的には除去するべきですが、若年時から被さりがあったのなら、少し持ち上げるだけで結構形態的には満足される症例もあります。この辺は診察時のシミュレーションで判断します。

今回黒目整形の非切開法と切開法の選択結果として、画像上非切開法=NILT法により形態的にも機能的にも満足が得られた症例を提示します。ただし客観的評価はみなさんにおまかせします。

症例は58歳、女性。先天的には奥二重だった?。一度埋没法で二重を広げている。ハードコンタクトを30年、ソフトコンタクトを10年装用してきた。LF:挙筋筋力(滑動距離)13mmと先天性筋力低下ではなく、後天性腱膜性眼瞼下垂症ではある。緑内障があり、開放隅角か閉鎖隅角かは不明だったためフェニレフリンテストは回避した(後で調べてもらい正常眼圧を確認したので、局麻使用は問題ないことが判明した。)診察中、ブジーを当ててシミュレーションしてみると、重瞼線を1mm挙げれば弛緩した皮膚を持ち上げられるし、形態的にやり過ぎ感も呈さないことが見て取られた。

本症例は切らない眼瞼下垂手術が黒目整形として有用な患者さんだと判断しました。NILT法が使えます。まずは両側眼瞼の術前と術直後の正面写真を提示します。

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今回は患者さんのご好意で、顔面フル提示を承諾いただきました。実は今回、顔面全体の方が雰囲気が判り、眼瞼の改善性がいかに容貌に影響するかが見て取れると思いました。眼瞼の開きがルックスの要素のうちかなり(50%程度)を占めると思いました。

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術直前の上左画像では顔の印象全体が元気がないのに対して、術直後の上右画像では顔の印象そのものまで元気になった様に見られます。口角の位置さえも変わりました。頬前の力の無いたるみさえも解消して見えます。別に無理して表情を作ってもらった訳ではありません。たぶん嬉しくなって気持ちが高まり、表情も引き締まったのでしょう。

皆さんに知っていていただきたいことがふたつあります。毎回申し上げますが、先天的一重瞼は先天性皮膚性眼瞼下垂症という病気です。もうひとつ、形態的に一重瞼か二重瞼かということは機能的に評価しなければなりません。加齢変形で起こる皮膚弛緩により、二重瞼だった人が目の前に皮膚が被さってきたために一重まぶたの様になることがあります。これだけで皮膚性眼瞼下垂症ですが、瞼縁は挙がるのに皮が乗っかっていたら機能損失です。

要するに眼の前に皮膚が被さっているかどうかが機能的に重要です。診察場面では解かり易くするために、顔面を鏡に正対してもらい、正面視してもらい、眉を抑えたり離したりして、皮膚の下垂程度を見ます。瞼縁に皮膚が被さっていれば一重瞼、同高なら奥二重、皮膚が上にあれば二重瞼と分類します。

そして、ラインがどこにあるかが重要です。引き込みラインは挙筋腱膜が皮膚や眼輪筋再浅層に付着している線です。実は一重瞼でも瞼縁のすぐ上にはラインがあります。二重瞼では瞼板の上=瞼縁から7㎜前後に付着しています。若年時なら5㎜程度までは二重瞼ですが、加齢と共に皮膚が伸展すると被さって来ます。ラインは閉瞼時の瞼縁からの距離で計ります。解剖学的な位置関係を見ているのです。そして開瞼時には、前頭筋の収縮や、顔の向き、視線の方向によって挙筋の動的な左右差や皮膚の持ち上がりが変化します。治せる点と癖が残る点がありますが、むしろ動的に左右差がある方が自然な運動に見える事の方が多いのです。

今回の症例に於いてはラインを1㎜挙げて皮膚を持ち上げて、LT法で挙筋を強化したら充分に改善が見られました。これで済めば患者さんも楽に受けられます。私達も楽にこなせます。勿論全くダウンタイムがゼロとは言い張りませんが、生活に困らない程度でしょう?。ただし切らない手術では形態と機能が僅かでも後戻りするので、若干オーバーコレクション;over correction=過度の矯正をします。医学的な意味でのダウンタイムは無くても形態と機能が落ち着くまで数日は掛かります。ですから、こうしてブログ上で経過を追って提示していくことが皆さんに有用であると考えます。次回をお楽しみに!