本症例は遂に、4週間を経ました。いかがでしょう?。症例説明はコピペして、画像を並べました。
症例は40歳前後の女性。顔のバランスとして下顔面の割合が長いタイプである事を治したいと来院されました。いきなり、「見た中で一番形がいいし、創跡の位置が適切で、それでいて創跡がほとんど見えなくなっているのはこちらだけです。」とお褒めに預かりました。
サイズ計測に入ります。鼻柱基部〜Cupid’s bowの底を計りますが、15㎜でした。これまで書いて来た様に15㎜が基準です。実は私、一目見てあんまり長くないかも、でもなんかモッタリしている口元だなあ、と思ったので計ってみたんです。口角だけが薄く寂しいからでもあり、下がっていないのに暗い感じがもします。なんかモソっとした口元が治せないか考えました。歯槽や歯が貧弱ですから、ぺたっとしていて唇も貧弱感があり、その為に長くないのに長く見える。例えれば日本人(アジア人)の平板な中顔面がノッペリしている為にやつれて見えるのと似ている形態です。長く見えるので短くしてしまいたい希望です。口唇そのものが薄いと寂しい印象になるのです。まずは口唇(鼻の下は白唇部です。)短縮術を適応しました。そして口角挙上術のデザインを検討しました。患者さんは「口角が薄く後退しているのは当然としても、それより内側まで薄いのです。」「でも私、口角はそんなに下がっていないので、するのなら内側までしっかり切除して下さい。台形でもいいから。」と提案されました。鼻翼幅が34㎜と小さいので、ここだけ切除すると、口角が下がる。だから赤唇縁での挙上術が必要なのです。「だったら鼻翼基部の直下まで赤唇縁を切除するデザインが求められますね。」と廻りくどく説明して同意しました。
とにかく画像を並べます。まず下に術前の正面像と右斜位像
下は術直後
下は術後1週間で抜糸直後
次の週にはメイクをしてきていただきました。
そして2週間後は、手術から1か月となりました。
私、前回は凹んでいました。メイクでキレイに見せつけられて、手術はどれだけの効果を作り出せたのか?。私の仕事量が足りなかったのか?。それはデザインの不足?、いやこれ以上のデザインはした事ないし。不足は追加で取り戻せるけど、過剰は取り戻せないから今回はこれでいいのです。確かにビビりではありました。じゃあ技術的には?、患者さんに尋ねられました。「下口唇の創跡がシワシワになっているじゃないですか?。」それは私は知っています。「辺の長さが違うのでしわになるのですが、唇は軟らかい組織ですから、収縮して治ります。」これは技術的問題ではなく、むしろこうしないで上口唇だけ切ると引き攣れた様な挙がり方をしてしまうのです。私は必ず下口唇も切って口角を口輪筋ごと挙げます。これは正しいと思います。
さて手術から4週間経て、傷跡は落ち着き(もちろんまだ赤いですが)、傷跡周囲の発赤も軽快し、内出血も引いたし、腫脹も軽快しました。口輪筋も回復し、口周りの運動には自覚的に他覚的にも異常を認めません。画像をご覧ください。微笑みを湛えている様に見られますね。患者さんそうしていますか?。意識していました?。画像上さらに美しい口元が見られます。外面の美は内面の善を作り出せます。これが美容外科医療の神髄です。神の手による真実です。美容医療は人間社会に対する適応性を高める作用があります。この画像の口元に吸い込まれて、しばらく眺めて居たくなります。
口唇縁のカーブは少しなだらかになったように見えます。傷跡の周囲の発赤が紛らわしかったからで、もう見た目にカーブは気にならないか?、なるか?。いや、まだ結論は出ません。この画像では優しい笑みに見えて、いいんじゃあないの?、とも感じます。でも静的:static 画像では評価が難しいのでしょう。美容形成外科は形態の外科ですが、生きている限り動くので、見た目には表情の外科です。動的:dynamic 形態が評価されるべきです。ですから、次回はお話ししながらよーく見てみたいと思います。
それからでないと結論は出ませんが。ridgeは作り出せるのです。いつもやっているヒアルロン酸です。代替武器があります。ヒアルロン酸でメイク代わりに形態を作れます。症例患者さんが良ければ、シミュレーションを兼ねて打ってみたいと思います。
画像上形態は格段に改善し、確実にいい雰囲気が出ています。見た目の感じが大事です。ですから逆に形態改善の余地があるなら、まだまだ検討する機会を作ります。その意味で、まだまだよく診ていかなければならず、しばらく症例の評価を楽しめます。だから口唇は面白いのです。