まずは画像を提示します。
上の画像は、上左が当初、上右は切らない黒目整形手術後で眉下切開前、下左が眉下切開直後、下右が眉下切開術後1週間です。
約1か月前に黒目整形から始めた患者さんの第二弾手術を施行しました。黒目整形はその名のとおりに、黒目の露出を増やす手術です。視界が良くなり、眼を開きやすくするという意味で機能的手術です。上の2枚画像はその術前術後ですが、上の左右の画像は同じ正面視でも眼球の露出サイズに明らかな差が見られます。
しかし、皮膚の余剰は二重を広げて持ち上げただけなので、余分な皮膚が上に行っただけですから、上が膨らんでいます。それにやはり、機能的にも邪魔ですから、眼を開く際に前頭筋が収縮する反射運動はそのまま残りました。この状態に対しては当然、皮膚の余剰を切除するべきでありますが、切除をする部位を2カ所から選べます。眼瞼の二重瞼の線の上で切除する方法は従来のしわたるみ取り手術ですが、皮膚切除だけを目的とするなら、眉下で切除する方法があります。
症例をもう一度説明します。58歳、女性。先天的には奥二重だった?。一度埋没法で二重を広げている。ハードコンタクトを30年、ソフトコンタクトを10年装用してきた。LF:挙筋筋力(滑動距離)13mmと先天性筋力低下ではなく、後天性腱膜性眼瞼下垂症である。シミュレーションしてみると、重瞼線を1mm挙げれば弛緩した皮膚を持ち上げられるし、形態的にやり過ぎ感も呈さないことが見て取られた。本症例は切らない眼瞼下垂手術が黒目整形として有用な患者さんだと判断しました。そこでまずNILT法が使えました。皮膚の切除は後の課題として、まず機能的改善を図る事にしました。切らない手術は容易に受けられますから、社会人には第一選択になります。
NILT法では腫れぼったさは残りました。切らない眼瞼下垂手術=黒目整形非切開法=NILT法では、落ちてきた皮膚、眼輪筋、眼窩脂肪を上に持ち上げますから、被さりは無くなりますが、ラインの上に貯まります。でも黒目が出て目力が入ります。患者さんも「視界が広がって嬉しい。でもぼてっとしている。」と善し悪し二面を訴えました。それはある程度想定内です。「機能面はLT法で改善を、形態面は皮膚の余剰ですから、眉下で切除しましょう。」と提案しました。そして眉下切開を施行しました。
眉下は平均して比較的ダウンタイムが短いので2次手術としても受け易いと思います。眉下は楽な手術の部類です。本当にそうなのかは経過次第です。まったく手術後経過の変化が無くなるまでは3か月待ちましょう。腫れやむくみは日内変動や波があります。朝は晴れていて夕方はすっきりしたのにまた明朝はむくんだ。この繰り返しで治っていきます。血行動態は、常に変動しています。一般人でも脈だけは判りますよね。そんな動態が手術の後は余計に表出されるのです。傷が治るには、いろいろな化学物質や細胞の移動、組織の製造と移動が続き、やっと3か月で治まってきます
このように段階を経ての手術では、形態と機能の変遷を確認しながら、受けられるメリットがあります。とはいっても、その適応は多様です。個人間には結構な個体差があります。毎回言うように、一重瞼と二重まぶたでは大違いです。蒙古襞の程度にも差が大きく、形態と機能の両面に影響します。それに眼瞼の組織は量的に個体差が大きく、機能と形態に大きく影響します。機能的には挙筋の筋力の大小と挙上力が眼瞼縁に伝わるかどうかですが、診察と検査で判ります。形態的な皮膚と眼輪筋の量と下垂度はシミュレーションで判ります。しかしどちらも機能と形態の両面に影響します。