2017 . 4 . 25

片側ずつの切開法眼瞼下垂手術症例。目頭切開術もしました。何故か一度落ちましたが、やっと治せました。。

本症例は数か月前から提示してきています。みなさんに長期経過を見せていくのがこのブログの特徴ですが、きりがないので通常3か月までにしています。ところが今回は訳があって半年以上の経過を出させていただくことになりました。 症例は40歳代の女性。一重瞼だった。20年前に埋没は受けているが、ご覧の様に外れてきた結果ラインが乱れている。LFは11.5mmで、眼裂横径23㎜、内眼角間34㎜、角膜中心間距離58㎜と眼球の位置が離れていないのに、目の窓の間が離れている。つまり蒙古襞が被さっているし、ピーンと突っ張っている為にまぶたの内側が開かない。所謂吊り目っぽくて、キツい目元の感じに見える。くぼみ目や三重瞼も生じているし、黒目の上が2㎜以上隠れている(=MRD<2㎜)から後天性腱膜性眼瞼下垂を伴っていると考えられる。 この様な機能と形態の改善にはなんと言っても`黒目整形`=眼瞼下垂手術切開法とZ-形成法による蒙古襞の拘縮解除術=目頭切開が最良の結果をもたらします。ブログの読者の皆さんはご存知だと思います。 それでは経過を追って説明します。

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まず術前9月初めに初診されました。10月初めに左側の手術をしました。開瞼は良好で重剣もくっきり、目頭の創跡は治っています。

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片側ずつの手術になりました。術後早期(約1週間)のダウンタイムは隠したいました。できれば両側同時手術が望ましいのですが、そういう手もありです。上に12月末の術前のデザイン画像と術直後の画像です。

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上左図は1月初めの抜糸時の画像。よく開いています。ところがその2週間後に来院して頂いたのですが、右眼瞼がご覧の様に開かなくなりました。何故だと云われても、私も困りました。手術法を思い出しますと、皮膚側から侵入して眼瞼挙筋を瞼板に1糸縫合固定した上に、眼瞼結膜側からの縫縮を2糸加えています。思い出しても落ちた原因は判る由もないので、切らない手術でインスタントに修正してみました。もちろんフリーで試してみましたが、すぐ戻りました。 そこで原因検索も兼ねてもう一度切開手術をさせてもらうことを提案しました。もちろん症例患者さんもお困りですから、承諾いただけました。

5.今回の手術の1週間後です。まだ腫脹が残ります。同部位の二次的手術は瘢痕の影響のために創傷治癒が遷延します。

6.三週間目でもまだ腫脹が残りますが、見た目には隠せるとのことです。

今回の手術所見を述べ、手術手技を解説します。と言っても手技はほとんど同じです。まず切開だけします。眼輪筋は前回の手術時に瘢痕化していますが、切開線からその深層だけです。逆に言えばそこを剥離していけば挙筋腱膜に達することができるから容易です。腱膜を露出すると前回の糸が見られました。ところが瞼板に挙筋腱膜を縫合した糸が結紮が無くなっていました。結紮とは結び目のことですがないということは止まっていないということです。それでは開瞼強化がなされません。糸の種類はプロリーン:Polypropylene なのですが、これまでほどけたことはありません。というか弾力(伸展性)があるためにしっかり結べて緩みにくいというのが売り文句の高額製品なのです。30年来使用してきて初めてです。実はもっと弾力があるアスフレックス:Polvinylidenefluorideというのがあり、私たちは切らない眼瞼下垂にのために仕様をオーダーして(特殊な構造なので特注なのです。)いますが、これを特注して挙筋縫合に仕様してみたいと思います。所見と手技はこれだけで画像の如くの結果が出せました。

それでは片側のトラブルですから、もう一度近接画像を並べて経過を説明します。

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上の画像は左から、1回目の手術の術前、デザイン、術直後、2週間後。順調な経過でした。

14.8.7.

ところが1回目の手術の3週間後に上左画像様に開かなくなりました。今回再手術して上中央の様に出来、上右画像と比べても開瞼は揃いました。重瞼が広いのは腫脹のためで、揃います。

とにかく現段階では治っています。まだ腫脹があるので、重瞼が広いのですが、ラインは変えていないので必ず揃います。問題は開瞼の対称性です。現時点ではよく開いています。若干オーバーです。黒目に移るライトの点が右目は見られ、左眼には見られないのが証拠です。でも修正際手術ですから、アンダー:Under correctionよりはオーバー:Over correction にするべきです。そんなに差はないので見た目に変ではないと思います。

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これでホッとしていてはいけません。まだまだ、経過を診なければなりません。何しろ前回は3週間目に落ちましたが、縫合部が瘢痕化して癒着するには3か月はかかります。医学的に証明されています。そんなことは形成外科医なら知っているのですが、他科の医師は知る由もありません。だから私は真摯に診療していきます。