2016 . 10 . 19

片側の切開法眼瞼下垂手術=黒目整形を希望された。蒙古襞の拘縮が目立つからいつものやつ。当然両側したくなります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA今回術後1週間で抜糸しました。経過が早いですね。実は術直後の48時間にいろいろと気を付けられたそうです。

一部の説明は前回のコピペをお許しください。症例は42歳、女性。先天的には一重まぶた。20年前に埋没法で重瞼術を受けている。その後の経年変化で、眼瞼下垂症状を呈してきて、くぼみ目、重瞼線の多様化を来たした。合併症とLF11.5mmで先天性が否定的であることから、後天性腱膜性下垂と考えられる。

 ただし眼裂横径23mm/内眼角間34mm/角膜中心間58mmと、眼球が離れていなくて顔幅も小さいのに、(計り忘れました。画像も提示できないのが残念です。)横径が小さく、蒙古襞の被さりが大きい。画像を見ても判る様に拘縮も強く、眼裂内側方面の瞼縁も皮膚も挙がらない原因になっている。

初診時に眼瞼下垂と重瞼術に対しては切開法での定着を希望されました。では、蒙古襞の拘縮はどうしましょうか?、通常は眼頭切開の同時施行の検討を提案するはずなのですが、何故か今回は告げなかったようです。したがって左からの片側ずつの、眼瞼下垂症手術を予定しました。

そこで手術当日に、術式の確認をしようとして、ブジーをラインを当ててみたら即、蒙古襞の解除も希望されました。スタッフと相談して決行しました。Z−形成法による目頭の蒙古襞の拘縮の解除術は、自然な形態と機能には欠かせないと考えられます。これまでのブログを見ていれば皆さん知っていますよね。だから出来るなら、切開法と同時に施行した方がよいのです。

画像を提示します。今回の予定は左片側の手術です。目頭も片側で決行します。

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上画像が術前と左側手術直後です。ライトの反射を見て下さい。ちゃんとできました。

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上に術直後の近接画像を提示します。同様にライトの反射を確認すると、左側撮影時には下方視となりましたが、それでもよく開いています。ただし、左下方視でもあるからか外上がりです。上の両眼の画像ではよく開いて、外上がりは目立ちませんよね(無くは無い?)。右側は内側が挙がっていません。目頭切開による形態的機能的改善はこの違いです。

目頭切開という言葉は古いと思います。洋語ではMedial Canthoplasty とかEpicanthoplastyとか呼びます。直訳すると内眼角形成術です。つまり切開や切除が目的では無く、形態を改善することで機能的改善を目的としているのです。従来の目頭切開は、蒙古襞を切除して横径のサイズを拡大することが第一目的でした。押し売り的美容整形では、平行型の二重を希望する患者さんに目頭切開をしなければ出来ないと薦めることも増えていました。でもどちらにしても、ただ切り取る手術法デザインが横行してきました。美容整形の旧いやり方で、今でもほとんどのチェーン店では進歩していません。一番酷いのはチェーン店での三日月型切除です。だからあ〜違うんです。蒙古襞は皮膚・眼輪筋が拘縮している、つまり下眼瞼から繫がった蒙古襞が突っ張って持ち上がらない為に、上眼瞼の内側が挙がり難い原因になっているのを治す必要の手術なのです。つまり眼瞼下垂症手術の補助として必要な症例が多く存在するのです。その為には縦の拘縮を解除する手術デザイン=Z−形成やW−形成が有効です。形成外科医に取っては常識ですが、非形成外科医のチェーン店系の美容整形屋はビジネスに邁進していて勉強しませんから、知る由もなく理解も出来ません。そもそも彼等の中に眼瞼下垂手術を適切に施行出来る医師も少ないのに、手を出してしまうのが現状です。そして皮膚性眼瞼下垂である一重瞼を伴っている症例では、蒙古襞の拘縮が標準的に存在するのです。一重瞼の遺伝子と蒙古襞の遺伝子は併存しているからです。ですから、重瞼術を施行するに当たっては蒙古襞の解除をするべきか診断しなければなりません。通常シミュレーションするとすぐに、形態的に判断出来ます。本症例でも術直前に診断されました。つまり多くの症例で、一重瞼を二重瞼に改良する重瞼術を施行する際に、蒙古襞の解除=内眼角形成術(Z−形成法がもっとも有用)を併施した方が、自然な形態と機能を作り出せます。本症例でははっきり見えますよね。術後画像を見ても、他院で埋没だけ施行されている右眼瞼の形態は不自然です。眼瞼下垂症手術+切開法重瞼術に、Z−形成法による内眼角形成術を併施した左眼瞼の方が、自然な形態です。しかもよく開いていて、機能的改善にも寄与しています。もちろん術直後は腫脹を伴っているから、手術した感はあります。

上の述べた様な意味で、本症例では良好な結果を得られましたね。今後右眼瞼の手術と共に、左眼瞼の経過を提示して、皆さんにご理解を深めていただくよう期待しております。

こうして、1週間で抜糸に至りました。下画像は両側眼瞼の画像。さらに下に近接像を提示します

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右眼瞼(上左画像)と左眼瞼(上右画像)を比べればその形態と機能の差は歴然としています。手術後である左眼瞼では、開瞼がアーモンド型です。これが狙いです。重瞼高は変えていませんが、クッキリ入っています。比して右眼瞼では、埋没法で二重瞼になってはいますが浅く、内側の皮膚が被さっていて瞼縁が隠れています。結局皮膚性眼瞼下垂が改善されていません。どっちが綺麗ですか?。審美眼を働かせれば左眼瞼に決まっているでしょう。もちろん術後早期ですから、まだ強過ぎます。でも本症例は、治りが早い方ですね。この経過を見れば、対側の右眼瞼の手術の予定も立てられると仰っていました。ついでに、ほくろも焼いてあげるつもりです。