2017 . 8 . 31

鼻翼縮小術の内側切除法は久し振りですが、後戻りが少ない筈です。

今回は鼻翼縮小術を依頼された患者さんを御紹介します。実は3ヶ月前に口唇(白唇部)短縮術を施行した患者さんです。ブログにも載せました。大変満足されて、鼻翼縮小術を希望されました。

鼻翼最大幅は37㎜と大きく、内眼角間28㎜と近く、バランスが悪いのです。ここは重要です。画像をご覧になると判ると思いますが、鼻翼が胡坐をかいています。下方が大きいのです。加齢現象で増大したのは患者さん本人も認識されています。また口唇短縮術が影響している訳ではないのは、前回の画像を見れば判るはずです。

画像を見ると、鼻翼の張り出しも有り、鼻翼の付け根よりも丸く出ています。何度も言いますが、外側切除は適応が限られます。この様に丸く張り出している症例だけが適応します。チェーン店系安物美容整形屋ではコスト面から、闇雲に切除法を薦めますが、丸く張り出していないのに外側切除を受けないで下さい。ただし、外側切除は当然に、創が出来ます。抜糸まではメイクで隠せません。ですから、にわかには受けられません。

患者さんは突然時間が出来たので、鼻翼を治したいと考えました。ただし人に会う機会があるそうです。外側は切開出来ないので、幅のサイズの減少を優先したいとの事。確かにそれなら、人に会える。でも患者さんは勉強していて、戻りが有るのではつまらない。若年者では半分戻るのに対して、年齢と共に戻りが増える傾向が有ると、私は正直に言いました。症例は50歳代です。

実は私は、内側を切除して剥離して、しかも糸も掛けて、後戻りが半分以下に出来ていました。しかし最近何年かは安くて、ダウンタイムが少ない切らない方法を選択する患者さんが多かったのです。広告宣伝もそのように打っています。後戻りに対しての二回目手術は廉価にしますから、何回か手術する患者さんもいます。その度に後戻り量は減るのです。しかし加齢による後戻りの多寡はばらつきが有るとはいえ、追加手術をする症例は若年者より明らかに多いのです。

するとどちらが提案するまでもなく、内側を切る案が出ました。そこで私は、色を為して説明しました。一般的に内側切除+糸での縮小法のメリットを知り、説明出来る医師は少ないです。私は経験が豊富ですから、どの手術にも対応出来ます。内側切除は、巧くデザインすれば創が見えません。基より糸のかかった所も目立ちません。これなら人に会えると考えて、どちらともなく切らない鼻翼縮小術+内側切除での後戻り防止術を施行する事になりました。

画像を提示します。先ずは術前の正面像と下面像。

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術直後の正面像と下面像。とりあえずいい形です。

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DSC00132ルーラーを当ててサイズを確認します。最大幅32mDSC00131下面像を照明下に見ると、鼻孔そこに赤い創の線と黒い糸が見えます。縦に紡錘形に幅2.5m切除し、縫合した後です。

今回切らない鼻翼縮小術に加え内側切除術を併施しました。後戻りを最小限にする目的です。いくつかのデザインが報告されています。1、外側の切除の適応が有る場合には、外から内側に掛けて鼻翼をU字型に切開することがあります。本症例も適応ですが、創が見えない手術を選択しました。2、内側だけ切除する際には、鼻翼基部まで切開するデザインが頻用されます。やはり、前から来合うが見えるので避けました。3、鼻孔底だけの切開では寄せ切らないのですが、糸を併用すれば充分に効果が得られます。3’、鼻孔底を切開する際に両側の皮弁化した切開線の外側の皮膚に糸を掛けて引き寄せる方法は報告されています。皮弁を寄せるとその位置に癒着してくっ付くので、後戻りが少ないと言う理論です。手技が煩雑で、面倒な割に後戻りの量の予想がつかないため滅多に施行する医師は居りません。

今回私は紡錘形に切除して、創の外側の粘膜下を剥離して裏側に糸を掛けました。両側の糸を粘膜下で通してサイズに合わせて繋ぎました。3法と3’法の間の子です。真皮縫合の様に裏を縫い寄せれば後戻りが少ないと考えました。通常の切らない鼻翼縮小術で先ず寄せておいて、そのサイズに中も寄せました。二重の手段です。後戻りの程度は予想がつきませんが、万が一全く後戻りしないと寄せ過ぎ感を見せる可能性も否定出来ない所です。

でも、本症例では鼻の下が短くなってすっきりした上に、鼻翼も小さくなれば更にすっきりした下顔面を魅せる事でしょう。とにかく、今後の経過を中長期的に診て行きましょう後戻りの程度が少ない様に祈ります。