2017 . 8 . 14

後天性眼瞼下垂で腱膜修復術をするなら、蒙古襞の拘縮も解除した方が機能と形態を満たします。

加齢による後天性眼瞼下垂症に対する手術は切開法が適応になる場合が多いのですが、第一に皮膚切除を要する場合が多いからですが、第二に重瞼の引き込みが弱くなってきた症例が多く、確実に重瞼を再建するべきであるからでもあります。第三に挙筋腱膜の状態を確認するべきだからでもあります。

そうした症例でも、もう一つ、やはり蒙古襞の拘縮が強く、眼瞼下垂症の発症に関与している場合が多くあります。いつも言うように、一重瞼では二重瞼に比べ蒙古襞の被さりと拘縮が強いために、重瞼術の際にZ-形成法による目頭切開で拘縮解除した方が、機能的にも形態的にも改善性が高いので、併施する様に奨めていますが、加齢性後天性眼瞼下垂症でも、併施する方が機能的に向上性が高い場合が多いのです。

今回はその典型例です。術前所見から診断しました。そして画像を見れば判ります。

症例は54歳、女性。数年前から肩凝り頭痛が酷く、何かと情報が流れている眼瞼下垂症が原因ではないかと受診した。sC.L.数年使用してその後は眼鏡使用。先天性には狭い二重で、引き込みは弱くしわ状。前頭筋常時収縮で眉を引き上げている。

現症:LF、Levator Function、挙筋活動距離=12mm。眼裂横径25mm、内眼角間40mm、角膜中心間63mmであり、眼球は少し離れているが、目頭の間は遠い。目の横幅は小さい通常一重瞼の人のサイズ。つまり蒙古襞は被さっているし、画像の通り縦に突っ張っている。

機能的には眼瞼修復術として挙筋筋力は正常下限であるからLT法と蒙古襞の拘縮解除のためにZ-形成法による目頭切開。形態的には蒙古襞を両側1.5mmずつどけるZ-形成法による目頭切開と重瞼術切開法で定着を図るさいに皮膚切除してすっきりさせる。二つの行為はもちろん同時にしかもどちらの目的も達するべくの手術を予定しました。

具体的なデザインは、中間の6mmラインで幅4mm皮膚を切除し、眼瞼挙筋を修復しする。内側まで皮膚を同幅切除し、4mmのZ-形成の上の辺に繋げる。

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上の図は術前、術直後です。術直後には何故か顔が傾いていて、しかも左の眉毛を挙げています。そのために重瞼幅が拡がっています。もちろん腫脹の左右差もあります。但し開瞼は充分に改善されています。目頭は自然な形態で、ちゃんと眼瞼の内側も開いています。近接画像を見るとよく判ります。

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開瞼葉明らかに向上しています。左眼瞼では糸のかかった2点が、Notch,切痕になっていますが、やはり周囲の腫脹のためです。重瞼の幅も腫脹のためです。目頭の形は自然です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA術後4日目に再来された際に一枚画像を頂きました

まだ左前頭筋収縮の癖が残りますが重瞼は狭くなってきました。やはり腫脹が影響していると考えられます。開瞼が向上すれば、それだけでいい感じの目元になるのです。

今回の症例はミッドエイジですから、術後軽快の期間が平均的に長くなると思います。ですので、今後の経過を診ていきましょう。次回抜糸後に画像提示しますので、お楽しみに!