最近は素敵な女が多く来院されます。たぶん美人が最終兵器としての口周りを希望されるからです。この部位の治療に於いて評判の様です。美人を更に高級な美人にする診療は、美容外科医冥利に尽きます。皆さんお間違えなく!美容医療の対象は美人の人です。人は外面的にはそれぞれでも、内面的な美人が外面をより向上することで好結果をもたらすのです。いつも私は美人度は内面と外面の調和だと考えてきました。
美人度に点数をつけて説明すると、多くの人が「個性があるのだから、人による。」と反駁します。」そこで私は言います。「もちろん時代と場所で変わるけど、普遍的な基準はあります。そうでなければ美容医療は成り立ちません。」実際学術的な基準はあります。世界的な美容形成外科学会で議論される基準は計量的で具象的であり、美容や美術関係の学問ではリベラルアーツの一つとして抽象的なれど普遍的な考察がされてきました。最近は顔学会という広い学問も発展していましす。もし、何も基準を考慮しないで美容医療をしたら、誰が見ても不可思議に思えてしまいます。
診療とは治療=手術だけでなく、診断=適切な選択も含みますから、美容医学的経験を要します。そしてそのため、この様なハイレベルの診療は患者さんの満足度が高いから、結果も良好になります。何故なら、美人をより美人化すると、医療者側も医療対象である患者さん側も、満足度が高いからです。「これは素晴らしい美しい!」と私が感じれば、多くの人が同様に感じます。患者さんもそのうちの一人です。
症例は37歳、女性。細面(ほそおもて)の患者さん。顔面輪郭は卵型で理想的ですが、上中下の比率は上顔面(生え際~眉の下)70㎜:中顔面(眉下~鼻下)60㎜:下顔面(鼻下~頤尖)65㎜です。中下のバランスが不満。中1/3が短いのは鼻尖が上方にあるためで、下1/3が長いのは上口唇(白唇部)が長いためです。
診察すると、鼻唇角が(側面で鼻柱と口唇の角度)110度を超えるので鼻尖が上方に向いている。鼻尖が上方で、しかも定規を当てると、鼻陵の延長線よりも低い。鼻柱基部〜Cupid‘s bowは20㎜です。15㎜以下が望ましいし、ANS,Anterior Nasal Spine=前鼻棘が前方にあるために外反が無い。いわゆる鼻の下が長くて、ノペっとしているタイプです。
鼻尖部隆鼻&下制術は耳介軟骨の2~3枚重ね:onlay がきれいです。但し軟骨移植はオープン法が好ましいです。鼻翼幅は34㎜と大きくないが、細面なので比べると大きいし、よく笑うので拡がらない様にしたいとの希望でした。でも縮めすぎると、逆に鼻尖との比率が崩れるので33㎜を予定しました。
下顔面が長いのに対しては、上口唇(白唇)短縮と口角挙上術の併施が求められます。二次的に取り組む事を承諾されました。患者さんは既に理解していて希望されました。どちらも何回もブログで提示している手術ですから。でも優先順位と日程の決定が難しいのでした。本症例では今回鼻の手術を優先します。鼻の手術はテープ固定を1週間要しますが、その後は夜間だけです。隠す必要はあまりありません。口の手術は1週間で抜糸したらメイクで隠せますが、動的(しゃべる、食べる)な形態に於いては2~3週間異常感を伴いますから、カムフラージュを要する場合があります。
下に術前、術直後、テープ固定後と術後1週間と2週間の正面像を提示します。
引き続き術後1か月と2か月を大きく提示します。
13×10㎜の耳甲介軟骨を三つに分けて重ねてOnlay graft しました。鼻尖の形はダイアモンド型に作れました。これがきれいな鼻尖の条件です。しかも正面像でもハイライトが見えます。では位置は?。実は鼻尖下制術では腫脹によって鼻柱から鼻尖が持ち上げられてしまいます。術後早期は正面像ではむしろ鼻尖が上にあります。経過画像を見ていくと微妙な変化が判ります。
鼻柱と白唇をトレースして(えんじ色線)、鼻唇角を比較しました。鼻稜から鼻尖もトレースしました(インディゴ色線)。上図左から術前左側面、術直後側面、術後1週間、2週間の側面像です。経過は前回説明しました。鼻尖の位置は下がりました。鼻尖が鼻稜の延長線よりわずかに前にあるのがきれいです。アップノーズとはこの形を言い、白人では至上とされます。但し白人では鼻が長いからで、アジア人で鼻が短いのに鼻尖が前にあったら豚鼻に見えて×です。本症例では見事にきれいで鼻が長くなり、理想的なアップノースになりつつあります。まだ変遷するでしょう。
下面像では 術前と術直後で鼻翼の差と鼻孔の大きさが変わりました。術後の画像では鼻尖の両サイドのくびれも見られます。ただし下面像で創をご覧いただくと目立ちました。術後中期的経過で、傷跡は平らにはなりましたが、色がある限りメイクでのカバーが必要です。平均3か月はかかります。下からの結果はまだまだ完成ではありません。
口周りの手術に於いてはエステティックライン(鼻尖と頤を結んだ線と口唇の前後位置)が基準です。ゼロであるのが品が良く見えるのは当たり前です。人間だけが口で啄(ついば)まないから、口が突出していません。口が出ていない方が進化して見えます。対して、鼻が短く鼻の下が長いと品が無く見えます。要するに”鼻の下を伸ばして”いる様に見えるからです。本症例は口が出ていないのですが、鼻の長さと高さを要しました、一歩ずつ理想に近づけています。
面長の美人輪郭の本症例では、これらの問題が解消すれば、かなりの美人度アップが望めます。今回第一段階として鼻の手術をしました。鼻尖の手術は経過を待たないと出来上がりが見えません。つまり画像上でも長期的経過を診ていかないと美しさが解かりません。3か月の経過を楽しみにしましょう。
鼻尖の手術は腫脹が集中して形態が出来上がるのはまだまだ先です。これまでの症例でも数週間後には必ず見事な鼻尖が見えてきました。本症例では2か月で見えてきました。