2017 . 10 . 18

口角挙上術の追加手術→結構いいんじゃない?

上口唇(白唇部)切除術と口角挙上術の組み合わせ手術の形態は良好です。動的なDynamic 形態と静的なStatic 形態がありますが、動きも正常化し、セクシー度合いが挙がってきました。他の患者さんが本症例をご覧になって、「唇の形が石原さとみさんみたいに可愛くなっていますよね!」って云っていました。表情に富んだ口元という意味でしょう。キュンっと挙がった口角が好感を呼ぶのでしょう。本症例はその点で満足な形態を得られたそうです。それは最大限希望を汲んでの手術法というか、切除幅を大きくしたからですが、患者さんは、「創跡の問題は置いておいて、次に進みたい!」と切り出されました。口角の追加切除です。

その前に先ずは前回の経過を示します。症例は26歳、女性。ご覧の様に歯列矯正中ですがそれは前後位置で、上下長を治したい形態。内眼角間30mm、鼻翼幅36mm、白唇長17mmと長いし、鼻の幅もある。相対的に唇の横長も短い。逆に横長に比して厚みはある。

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まずどう見ても長いから切りたい。白唇を切除すると口角が下がって見えるので口角リフトは必要だと理解されました。鼻翼のサイズがあるのですが、顔面とのバランスはよい。でも鼻と唇の幅の比率からして唇が寂しい。口唇幅を大きくしたいので、口角リフトのデザインを検討した結果、斜め方向45度に向かって挙げました。さらにシミュレーションして、白唇部切除は口が閉じるギリギリの7mm。口角は8×8mm頬骨弓方向へつまり45度方向に引き上げるとデザインにしました。側面像でエステティックラインがゼロなのに鼻の下が長いので唇がべたっとしている。もう一つ唇の裏返りは足りないので軽く外反させる事にしました。

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術後5週間の画像を提示します。実はメイクして創跡の赤い線を隠してくれました。口唇の運動機能は回復してなかなかいい。とはいっても、これまでとはサイズが違いますから創跡がまだ見えます。形態には満足されていました。

側面ではエステティックラインが整いました。エステティックラインは側面顔貌での鼻尖、唇、頤先の前後的位置関係で、3点が直線にあるのが理想です。でも、3点の上下関係もエステティックラインの印象を変えます。勉強になりました。斜位でもチョコンとした唇が乙女チックです。動的な形態として”微笑み”を湛えているかのようです。

口角部の創跡が目立ちます。そりゃあそうです。8×8㎜も切除しました。引き上げ量が多ければ移動距離が多い。それだけ創が引っ張られます。上の画像で両側口角にV字型に創跡の線が見られます。左鼻翼〜鼻柱下の創跡も、本症例では幅が出ました。いつか切除再縫合が求められるかも知れません。6ヶ月目までは待ちたいと思いますと言い続けました。それにしても、この症例後患者さんが続いています。感謝に堪えません。患者さんは美容的な理解力が高く、毎回私と楽しく診療してきました。

そのうちに、創跡の経過は置いておいて、口角の追加手術の話題に移りました。そして今回の手術です。先ずは画像を!。前回の手術から8か月経ています。

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術前と術直後の正面像と右斜位像を提示します。口角挙上術の追加切除をしました。前回頬骨弓に向けて45度方向に7×7㎜の切除をしましたが、もっと挙げたいと望まれました。

そうやって診ていると、解りました。本症例患者さんの口唇は厚い。それはそれでセクシーですが、前回の術前の画像を見ても、幅が無いから縦横のバランスが取れていない。前回口唇を外反させたから口唇の厚さは増加した。それもそれでセクシーで、それこそ石原さとみさんになっちゃったのですが、経過を診てきてみると追加切除したくなったのも判りました。口角が上口唇結節(中央のプクッとした部)より下では無いのですが、徐々に下がったと考えられます。

さすがに口角は後戻りすると考えられます。リフトと同じメカニズムです。そもそも切除短縮手術は後戻りが起きません。白唇部と眉下が典型です。対して挙上手術は周囲の組織が伸びてくれば降りて来るのでしょう。フェイスリフトは5年分挙げても1年後には2〜3年分戻ります。何年か前に私の先輩が、小タットウーをして移動距離を計測して発表しました。口角も計りたいのですが、当院の画像は計測に堪えられる技術がないので見合わせています。

ただし前回の手術は経過が長く、口角に肥厚性瘢痕を生じました。説明した様に肥厚性瘢痕は拘縮しますから(水かき状と表現しました。)、その間は逆に、引き上げが保たれていた訳です。月単位経て、肥厚性瘢痕が軽快していくに従って緩んで、後戻りが生じたのでしょう。

白唇部は創の線に直行する方向に力が働くので、創跡が広がれば後戻りします。対して口角は創跡が水かき状に拘縮していると過剰に挙がっていて、瘢痕が成熟して軟らかくなると後戻りしてくるのでしょう。実は後戻りでは無く、デザイン通りの位置に戻ったのに過ぎないのかも知れませんが、月単位で周囲の皮膚が弛緩したのかも知れません。計測して学術的に発表したいものです。

いずれにしても、縦横のバランスを変えたいのは視診上判りました。ただし患者さんと私は頚をひねって悩みました。鼻唇溝を越えて口角を持っていく訳にはいかないでしょう?!。それでは解剖学的に不自然でしょう?。そんな形はあり得ないでしょう?。また丁々発止の診察場面を楽しみました。

その結果、今回の術前のデザインプランは立ちました。私が作った口角を更に、45度方向に5×5㎜の三角まで切除して引き上げられます。ご覧の様に鼻唇溝から数㎜の余裕を取れました。術前と術直後の写真を見れば、かなりやった感がありますが、前回の経過画像を見れば判る様に、月単位で目立たなくなり、形態も綺麗になります。

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と言うことで、1週間で抜糸しました。意外と創跡は綺麗に治りました。どうも本症例患者さんは創傷治癒機転が早い様です。それはいつも言っている様に患者さんが精神的に安定していて、しかも医者(東京皮膚科・形成外科院長:森川一彦)との信頼関係が深いからです。それはそうです。私は本症例の患者さんと毎回楽しく診察してきました。患者さんが美的センスに溢れて可愛いし、キャラクターも明るく、そして聡明です。誉めてばかりいますが、美容的観点に優れ、良く出来ています。一部は私が修正しました。今回の契約上はお見せ出来ないのが残念です。私は美しいものは美しいと認める。美しさを揚げられる点はちゃんと指摘します。そうした意見にも反駁することなく、私と患者さんは深く検討を加えてきました。そんな診療が楽しいのです。

本ブログは美容医療的な評価を説明して、皆さんにお伝えする為ですが、美容医療には美容的な評価と医学的な評価の両面があります。本症例では美容的にはディープな領域に入りました。皆さんお判りでしょう。医学的には限界ギリギリの手術を行なってきました。ですから両面から診て結果は良好としか言い様がありません。題名にある様に結構いいんじゃあない?!ッという所です。まだまだ1週間ですから、医学的には完成ではありません!。

もちろん今後の経過画像を載せていきます。お楽しみに!