2018 . 1 . 8

上口唇(白唇部)短縮術と、口角挙上術と、鼻翼縮小術の経過良好。

これまでに口周りの手術は最終兵器だと書いてきましたが、実は最終でない症例が多いのです。他院での治療に不備や不足を感じて、再手術や追加手術を受けようと悩む患者さんが、少なからずいらっしゃいます。本症例が何を治したいのか画像を見ながら説明していき、今回術前と術直後と術後1週間を診ていきましょう。

症例は31歳、女性。本年5月に初診。鼻の下が長いと訴え、当方を受診。既に他院で、鼻翼を内側で切除して3mm縮小されている。不足例です。口角は下がっていない。本年9月に再来し診察して手術プランを立てました。やはり白唇は5mm切除、口角は45度7×7mm。鼻翼は更に小さくしたいし、創跡が連続出来るから同時手術は可能です。内眼角間に合わせて37mmを32mmにするため、内側を幅2mm切除して鼻孔底を糸を通し引き寄せる事とした。先ずは症例紹介から。

画像を診ましょう。正面像は術前、デザイン像、術直後、術後1週間の順に並べます。

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左斜位像と左側面像と下面像の術前と術直後と術後1週間を並べます。

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術後2週間を経ました。術前と比べましょう。

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口唇の中でも白唇部は単純に短くなりました。人中の尾根とくぼみも見られ、影も明瞭化しました。白唇の外反は適度です。下の4方向で見ましょう。赤唇は赤唇縁が挙がりカーブがはっきりし、弓の幅は小さくはっきりしました。口角はキュンッ!と挙がっています。鼻翼は丸く小さくなりました。

まず右斜位と右側面像を術前と比べてみましょう。続けて術後2週間の4方向から立体的に見てみましょう。

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立体像の比較では、単純に短くなるだけですっきりします。ただし、立体視すると、腫脹による膨らみがまだ見られます。上口唇(鼻の下は白唇部)短縮術と口角挙上術が最近のトレンドですが、今回は口の上の鼻翼縮小術も併施したので更に腫脹が遷延します。白唇部はまだ腫れています。

最近多くの症例を手術してきて、患者さんの術前の特徴に応じて、術式を微妙に変えています。デザインのこだわりを強めています。実は以前よりさらに上手くなったのかも知れません。本症例でもいくつかのポイントを強調しました。

1、鼻翼は術前の下面像で見られる様に、張り出しは無くなっているが幅が広いので、内側で引き寄せる適応です。その際鼻翼のどの辺りが幅があるかを良く見極めなければなりません。本症例はよくある胡坐鼻(下方の幅が大きい。)ではなく四角い鼻翼で、この場合鼻翼の下方をより小さくしたい形です。正面像で比べれば変化が判ります。四角い鼻翼が丸くなりました。

2、本症例では上口唇短縮の目的はありますが、口唇として寂しい。正面像や側面像で3次元的に見ると、E-lineがマイナスなのはいいですが、白唇部の後ろの歯槽も下がり過ぎて傾斜が無く、歯も傾斜が無いからその結果赤唇も下がっていて貧弱です。今回は鼻翼縮小と併施するので、口唇も寄せられるから、手術直後は膨隆の程度が増強するのでやり過ぎ感が見られます。しかしこれは腫脹が軽減する術後2週間の画像ではいい形が見られます。赤唇の露出にはお悦びです。側面像でも寂しくない口唇(=白唇+赤唇)が見られますが術後2週間でもまだ腫脹で厚ぼったいです。さらに今後の経過が待たれます。

3、寂しい口唇の多くは、人中も平板です。赤唇の弓もなだらかです。また、赤唇縁の両外側も薄く寂しいです。薄い唇をキュッと締めて、口角を自力で挙げると冷たく見えます。当然に口角挙上術が求められますが、口角は動的な形態が目立つ部位です。静的に挙がると動的な動きも無理な力が入らなくなって綺麗になるのです。術後2週間の正面像はキュッと締った笑顔の様な口元が可愛いく、挙がった赤唇がセクシーです。

3’、人中と弓ですが手術中の調整になります。数ヶ月来この記事を載せてきました。患者さんの中には面倒がらないで読んでくれる人も多く、「人中や弓は欲しいかも?!」と依頼する人もいます。本症例では軽度強調がいいかなと考え、手術直前に示唆し、縫合時に両側1㎜寄せてみて、一回見てもらいました。そこは術中に調整出来るので「この程度がいいね!」と言ったら納得していただきました。術直後は腫脹でオーバーコレクションになって映っていますが、術後2週間の正面像では人中が強調されて見えます。弓が急峻になったのも見えます。下面像で見ると前後方向にも弓が見られます。

4、鼻の位置の変化は判りますよね。鼻翼を寄せたので鼻柱が膨らんで術直後の画像では下にのしかかってます。鼻翼は口唇短縮術の結果引き下げられています。挙上筋群のトーヌスが働かないからです。術後1週間の正面像では鼻柱は挙がってきましたが、鼻翼はまだ挙がってきません。側面像で比較すると判ります。鼻翼挙筋の回復には2週間以上かかるようです。かなり回復しています。鼻の位置は数週間後には元の位置に戻ります。

本症例は最近の定番である上口唇短縮術と口角挙上術の併施に、鼻翼縮小術の内側切除法を同時施行しましたので、術直後は腫脹が増強しています。術後2週間でも一部に影響が見られますが、形がかなり見えてきました。今後経過を見ていくのが楽しみですね!