2018 . 3 . 26

上手く出来たのに、重瞼が浅くなっちゃった。あわててお直し。

夏に休みを利用して手術を受けた患者さんが沢山来院しました。毎日の様にいい手術をしていました。それは、眼瞼下垂手術&重瞼術切開法と蒙古襞の拘縮解除する目頭切開手術:一辺4mm60度のZ-形成法の併施です。術後経過を診るたびに明るい。明るいのは目元のキラキラ感でした。

そして、術後3か月まで画像提示します。11月に多くの症例を提示しました。完成した結果を見て最近数か月はまた殺到しています。

眼瞼の切開手術は、保険診療になりますが、目頭切開Z−形成法は自費診療になります。でも併施した方が自然です。何故なら、一重瞼と二重瞼の人では、蒙古襞の平均的な被さりと突っ張りが明らかに違うからです。一重瞼を二重瞼にしたのに蒙古襞が被さって突っ張っているのを治さないと、自然状態にはあり得ない動的形態になります。それを不自然というのです。

機能的形態が変わるのは、当然に変えたいから手術を受けるのですが、自然状態にあり得る状態に持っていかないとなんか変なままになります。患者さんが自然にと言うならば、自然状態にあり得る形態に変えるのが良い美容形成外科医です。

症例は28歳、女性。先天性には奥二重で3年前埋没法を受けたが右側は約1年で浅くなった。LF11.5mmと軽度の先天性眼瞼下垂症で、ソフトコンタクトレンズを4年使用したために後天性眼瞼下垂症も合併している。眼裂横径24mm、内眼角間35mm、角膜中心間55mmと蒙古襞の被さりが強く、拘縮も強い。三白眼も呈しているし、開瞼時に前頭筋も収縮して眉を挙げている。 切開法で重瞼を定着させたいから受診。

ラインは変えなくてよい。挙筋はLT法で強化できる。蒙古襞の拘縮のために、吊り目状態で内側の白目が隠れているし、黒目の上に掛っているのを解除しないと不自然な形態になるし、眼瞼下垂手術と重瞼術の効果を阻害するため、拘縮解除を目的としてZ-形成法による目頭切開を予定した。 OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

術前、術後1週間、術後6週間、術後3か月の画像を並べます。術後経過がよく判りますよね。眼瞼の形態は明らかに改善していて、特に内側方面が丸く挙がったので吊り目が解消して、アーモンドアイになりました。これがきれいな目の窓でしょ?。私はよくできたと思います。 OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

上に近接像。右眼瞼の術前と術後1週間、左眼瞼の術前と術後1週間。 OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

術後3か月の左右眼瞼。エクステンションアイラッシュを着けてきてくれました。綺麗な二重がクッキリとはいり込み、パッチリと開いている目元に見つめられる様です。三白眼も解消して、前頭筋の代償性収縮による眉毛の挙がりも緩和されて目元がキリッとしました。目頭の創跡ももう目立ちません。これが術後3か月の結果です。

本症例は最近のZ-形成術による目頭切開手術の中でも、術後の肥厚性瘢痕が比較的目立った症例でした。6週間がポイントなのは、その時点がピークな症例があるからです。膨らみと赤みの程度の差はあれど、本症例では術後3か月で肥厚性瘢痕は軽快していますました。実は早く治したいのでステロイド注射を受けたからです。

こうして中長期的経過を診てきたら、ある時!

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こうなりました。

IMG_1230両眼瞼の画像を見れば残念!ながら変わりました。 IMG_1235あわてて埋没法を追加しました。 IMG_1240IMG_1239

術直後の近接画像は疲れているのか?痛いのか?開いてくれません。

重瞼術および眼瞼下垂手術(黒目整形)の切開法を目頭切開=蒙古襞の拘縮解除術をZ-形成法で施行した患者さんですが、切開法の重瞼術が浅くなったり外れたりするのは久し振りで稀です。

いつも切開法のブログ提示を載せて、毎回偉そうに他院の批判を書いてきました。切開法は外れないのが筋です。切開して止めないでも重瞼になると間違った認識を持ち続けている医者が未だにいます。特にチェーン店系での手術の後に来院されます。もう10年ほど前にになりますが、若いペーペーの形成外科医の勉強会があり、私はオブザーバーで出席しました。その際テーマの一つである切開法の眼瞼下垂手術+重瞼術の話題の際に重瞼固定をしているか尋ねたら、約50人の参加者の中で80%の人が止め方も知りませんでした。大部分が美容皮膚科医ですから当然です。たまにそこからやり直しに来ます。

二重瞼は眼瞼挙筋の挙上力が皮膚にも伝達する構造です。埋没法は糸で繋いで伝達しますが、糸は皮膚の裏に引っ掛かっているだけなので抜けてしまうことがあります。私は外れた人を切開して確認した症例を沢山経験しましたが、決して糸が切れたりほどけたりはしていません。外れるということです。 切開法では挙筋と皮膚の間に瘢痕を作って伝達させるのですが、瘢痕が出来上がるのに最低3か月は掛かります。だから最初に糸で繋いでそこに瘢痕が出来るのを待ちます。

以前は私も結び方が悪くほどけることがありましたが、現在結び方を改良し、コマ結びにしてからはほどけません。但し長さが合っていないと緩み落ちます。 本症例はたぶん繋ぐ糸の長さが長かったのでたわんだのでしょう。だから瘢痕が出来上がる頃にずるずる落ちてきたのだと考えられます。とにかく埋没法で繋いで今からでも瘢痕が形成されるのを期待しましょう。

だからもう何回か見ていきます。次回1週間後から3か月までは経過を診ていきたいと思います。