2018 . 7 . 5

目が離れているなら、目頭切開といっても、適切な手術法でないと。当然眼瞼下垂手術も。

目頭切開手術は戦前から行なわれて来ました。私はこれまでに何度も何度も強弁してきましたが、一重瞼に伴う蒙古襞の被さりと拘縮は同時に治した方がいいに決まっているからです。戦前に内田先生が発表した手術法は戦後も今から数十年前までは行なわれて来たW−形成法です。私も15年前まではしていました。この方法はまあまあの結果を得られます。でも理論的に、W法では再拘縮を防げますが、拘縮の解除は出来ません。私の父森川昭彦は、曲線のオメガ型切開法を考案しましたが変法に過ぎませんでした。ましてや、三日月型切除法は最悪です。美容整形のチェーン店は美容形成外科の学術的研修をしないで見よう見まねで手術しますが、S美容外科を代表として、彼等は三日月型を相伝して来ました。勉強しないからそれしか知らないのです。三日月型は縦に創跡が出来るからこれが拘縮して術前よりも引きつります。吊り目が増悪するのです。バッカじゃないの?、って結果です。チェーン店(患者さんは大手と呼びます。)の美容外科が行なっているのは医療でなくビジネスですから仕方ないのでしょう。

Z−形成法は1994年に韓国で発表されました。蒙古襞が拘縮して吊り目,slant eyeを呈するのは、アジア人の限られますが、韓国に先を越されました。ちなみにslant eyeは欧米人がアジア人を「目が細くて出っ歯!」とコケにする差別語で黒人に対する「negro,ニガー!」と同様に現在公式の場で叫ぶと罰せられます。先日大リーグでダルビッシュ選手(イラン人とのハーフですが、吊り目です。)に対して打ち取られた対戦相手が「この、吊り目,slant eye野郎!」とヤジを浴びせたら出場停止処分を下されました。尚、このブログは医学的知識に基づいて書いているので罰せられません。

吊り目は蒙古襞の拘縮が起こし、蒙古襞の被さりは目の間が離れる原因になります。これを治す為には理論的(医学的=科学的)にZ−形成法以外にはあり得ません。中学で習う数学的(幾何学的)に計算すれば理解は容易です。結果は明白です。今回の症例の患者さんは予め理解した上で受診し、直ちに希望を述べました。下に記載した様に計測上適切な見解です。画像を見ても4㎜の60度のZ−形成法が適応します。こうして皆さんが理解して来院されるのは嬉しい限りです。

症例は、59歳女性。産まれつき二重まぶたも加齢と共にくぼみ目となり、重瞼線が複数になる。LF,Levator function(挙筋滑動)12㎜と正常範囲でも下限値。その理由は眼裂横径24㎜:内眼角間距離(平均値34㎜)38㎜:角膜中心間距離(平均値60㎜)64㎜と目(眼球の位置)が離れているし、目の窓の間も遠い。つまり蒙古襞の被さりと拘縮が開瞼阻害の一因となっている。その結果目の窓の内側が挙がり難い吊り目,Slant eyeを呈しているのがその証拠。患者さんはブログを見て理解していて、目頭部分の蒙古襞の拘縮と被さりを治したい希望で、Z−形成術が適しているのでは無いかと考えて来院し私に罹りました。

当初目頭切開だけの希望でもあったが、やはり開瞼が弱いと指摘しました。眼瞼下垂を治し、三重とくぼみ目を治すために、どうせなら眼瞼下垂手術を切開法で保険で併施しようかと迷いました。フェニレフリンテストでシミュレーションすると、よく開くからLT法で可能と考えました。重瞼は一本に揃えたいが開瞼を強化すれば変わるし、上のラインは余分なので皮膚切除して一本化がよいデザインと、ブジー(二重棒)に依るシミュレーションの結果で見出しました。手術直前の診察で左の下のラインで切除4mmと確認しました。目頭切開は定式となった一辺4mm、60度のZー形成法が適応します。

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術前の正面像を二葉。

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左右の近接画像です。

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デザインは開閉です。目頭部のデザインは小さくて良く判りません。

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術直後の正面像も二葉。

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近接像では右眼瞼が腫脹しています。

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翌々日も画像を頂きました。腫脹は術直後より更に亢進しています。48時間がピークです。

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近接画像では更に酷く見えます。

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術後1週間で抜糸した直後です。腫脹はまだ強く、内出血も広がりました。

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近接画像では抜糸下ばかりの目頭部の創は赤くZ型に見えますが、左眼瞼の内側は術前に比べて良く開いています。

今回手術から術後1週間までの画像を提示しました。残念ながら加齢も影響して腫脹が強く起きました。形態と機能の評価はまだ難しいので、次回以降に説明します。お楽しみに!

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当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。