眼瞼下垂手術兼重瞼術切開法+蒙古襞の拘縮解除を目的としたZ-形成術。出来上がりは1週間以上先になります。腫脹とそれによる開瞼の低下が見られます。
症例は、28歳女性。ブログ見て来院。10年前他院で埋没法2点?。その後6点?。数か月前から緩んできた。眼裂横径(一重瞼者の平均値=25.5mm)24mm:内眼角間(一重瞼者の平均値=35mm)38mm:角膜中心間(平均値=60mm)59mmと小顔で目(眼球位置)が離れていない。比して蒙古襞の被さりと拘縮が強い。LF,Levator Function挙筋滑動距離=挙筋の生来の強さ:13mmと正常下限。診察すると眼窩脂肪はヘルニアではない。
いつもの手術が適応しますが、シミュレーションすると重瞼ラインはこれまでの埋没のラインより1mm挙げたい。切除幅は最低量の2mm。目頭の蒙古襞解除のために一辺4mm、60度のZ-形成術が適しています。ところが、手術直前に問題点が発覚しました。その件は後段で。
画像を見ましょう。
上に術前の両眼瞼像を二葉。
術前の左右近接像。
デザインは開閉の二葉です。蒙古襞はデザインのところまで退けます。
術直後も露光を変えて二葉。疲労で開いてくれません。
左右近接像。左眼瞼はキラリ、右眼瞼は腫れました。
今回は術後4日の画像を戴きました。下に左右眼瞼の近接画像。
術直後よりも更に腫れました。左右とも力が入りません。毎回書いて来た様に、手術後の反応は48時間がピークとなります。創傷治癒機転です。その結果手術後に腫れが亢進して来ます。人間はその様に出来ています。局所の毛細血管が拡張して、創傷治癒の為の体内化学物質が浸出して、創を治します。その結果容積が増えるのが腫れ(腫脹)です。48時間を過ぎたら浸出物は体内に吸収されて行き,refilling stage 容積は減り始めます。まだその中途です。ところで目頭はそんなに腫れないので、形態として目頭の吊り目は解消しています。
術後1週間で抜糸しました。
腫脹が軽快してきて(ピーク時の半分くらい)、開瞼が得られて来ました。手術直後の左眼瞼を見直して下さい。キラリと開いています。まだ半量程度ですが、かなり開いて来ました。
抜糸した直後は私が引っ掻いてしまうので、目頭の創が赤く目立ってしまいます。このまま肥厚性瘢痕(ケロイドもどき)にならなければいいのですが・・。その点は体質次第です。本症例は50%の確立で軽度の肥厚性瘢痕を起こしそうな感じです(抜糸時の発赤の程度が判断材料です)。目頭部の創跡は肥厚性瘢痕の好発部位です。
ここで一般人が間違う様に仕向けられたケロイドとの言葉を説明します。戦後直ぐに人体実験としての原爆症を診療(実験結果検分?)死に米軍の軍医達が乗り込んできました。その際焼失したのは除いてほとんどが対面に3度の熱傷を負いました。何とか治してくれたうちの10%程度がケロイドになりました。他は成熟瘢痕です。赤く膨隆した創跡がケロイドです。一生残るのがケロイドで、年単位で平らに白くなるのが肥厚性瘢痕です。白いツルットした面の傷跡はケロイドではありません。USA軍は面倒なのでみんな一緒くたにやけど痕をケロイドと見立てました。この言葉が戦後流布しました。
ですから皆さん御間違え無く、USAに騙され続けないで下さい。今もUSAの二軍化が進んでいますが、医学的には差異を認めましょう。何故なら、ケロイドはアジア人種と黒人にしか起きません。白人には滅多に生じないので知らんぷりなんです。
話が脱線しました。本症例は先天性異常を伴っていました。とはいってもいつも書いて来た先天性皮膚性下垂を呈する一重瞼とか先天性筋性眼瞼下垂に蒙古襞の拘縮を伴うとかの問題ではありません。目頭部の先天性異常である副涙点が存する症例に目頭切開を施行下初めての症例です。若干の影響がありました。詳しい知識は次回以降披歴します。よく見れば目頭の直下に点状のピットがあります。次回以降に説明します。
そうこうしているうちに術後3週間となりました。さすがに腫脹は軽快してきましたが、まだ開瞼が不良です。ところで肥厚性瘢痕は軽度です。
当初書こうと思っていたのですが、調べてからにしました。副涙点です。はじめに、みなさんは涙点を知っていますか?。涙道も?。涙腺とは違います。ああそうです。ドライアイの患者さんにプラグを入れる孔が涙点です。細かいこと書きだしたら長文になるのでコピペして一部省略してページを変えて書きます。
今回は術後6週間でも画像を戴きました。
経過期間は週単位掛かりますが、結果はかなり良いのではないでしょうか?。パッチリしています。見事に開いています。目がパッチリして魅力的です。二重の幅も対称的でしかも目頭から徐々に広がるギリギリ末広型で自然で綺麗です。目頭の蒙古襞を外したので眼瞼の内側も開きやすくなって、吊り目になりませんでした。失礼ですが、眼瞼部の画像だけを見ていると惚れていまいます。だって自然で可愛いので!。
目頭の肥厚性瘢痕は左がまだわずかに膨隆していますが、厚みが減って赤みも減っています。もう治ります。左は上に書いた副涙点の影響ですから、時間が掛かります。右は白くなり始めました。
特殊な症例ではありますが、眼瞼はよく開き、重瞼も綺麗です。傷跡はまだまだもっと目立たなくなります。次回3か月をお楽しみに!
術後3か月で最終的完成を診せに来院されました。
今回の画像は開瞼を強調してくれました。目元がはっきりしました。重瞼も揃って綺麗です。傷跡は気にならないそうです。
一言「気に入ってます!。」と仰って、頭を下げて、ニコッとして帰られました。私も「3か月間傷跡も心配だったかも知れませんが、きれいになるんです。いい症例で、画像を戴きましてありがとうございました。」と会釈して、手を振りました。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。
医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。