2018 . 9 . 26

いつものじゃあないよ黒目整形=眼瞼下垂手術切開法とZ-形成法による目頭の蒙古襞拘縮解除手術。副涙点の説明。

眼瞼下垂手術兼重瞼術切開法+蒙古襞の拘縮解除を目的としたZ-形成術。今回6週間までの経過を再掲します。腫脹とそれによる開瞼の低下が軽減していき結果が見えてきました。

それに副涙点の存在が影響しています。下にその説明を載せます。

症例は、28歳女性。ブログ見て来院。10年前他院で埋没法2点?。その後6点?。数か月前から緩んできた。眼裂横径(一重瞼者の平均値=25.5mm)24mm:内眼角間(一重瞼者の平均値=35mm)38mm:角膜中心間(平均値=60mm)59mmと小顔で目(眼球位置)が離れていない。比して蒙古襞の被さりと拘縮が強い。LF,Levator Function挙筋滑動距離=挙筋の生来の強さ:13mmと正常下限。診察すると眼窩脂肪はヘルニアではない。

いつもの手術が適応しますが、シミュレーションすると重瞼ラインはこれまでの埋没のラインより1mm挙げたい。切除幅は最低量の2mm。目頭の蒙古襞解除のために一辺4mm、60度のZ-形成術が適しています。ところが、手術直前に問題点が発覚しました。その件は後段で。

画像は一部減らします。

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上に術前の両眼瞼像を二葉。

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術前の左右近接像。

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デザインは開閉の二葉です。蒙古襞はデザインのところまで退けます。 IMG_6647IMG_6648

術直後も露光を変えて二葉。疲労で開いてくれません。 IMG_6649IMG_6650

左右近接像。左眼瞼はキラリ、右眼瞼は腫れました。術後1週間では両側とも腫れていました。 IMG_6827IMG_6826   抜糸した直後は私が引っ掻いてしまうので、目頭の創が赤く目立ってしまいます。このまま肥厚性瘢痕(ケロイドもどき)にならなければいいのですが・・。その点は体質次第です。

本症例は50%の確立で軽度の肥厚性瘢痕を起こしそうな感じです(抜糸時の発赤の程度が判断材料です)。目頭部の創跡は肥厚性瘢痕の好発部位です。実はそこに本症例の特徴があります。

本症例は先天性異常を伴っていました。とはいってもいつも書いて来た先天性皮膚性下垂を呈する一重瞼とか先天性筋性眼瞼下垂に蒙古襞の拘縮を伴うとかの問題ではありません。目頭部の先天性異常である副涙点が存する症例に目頭切開を施行した初めての症例です。若干の影響がありました。詳しい知識下に書きます。よく見れば目頭の直下に点状のピットがあります。

そうこうしているうちに術後3週間となりました。さすがに腫脹は軽快してきましたが、まだ開瞼が不良です。ところで肥厚性瘢痕は軽度ですが左の下に粒上に診られます。3週間で膨らんでくるのは時期的には標準ですが、出来方が特殊です。

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今回は術後6週間でも画像を戴きました。

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経過期間は週単位掛かりますが、結果はかなり良いのではないでしょうか?。パッチリしています。見事に開いています。目がパッチリして魅力的です。二重の幅も対称的でしかも目頭から徐々に広がるギリギリ末広型で自然で綺麗です。目頭の蒙古襞を外したので眼瞼の内側も開きやすくなって、吊り目になりませんでした。失礼ですが、眼瞼部の画像だけを見ていると惚れてしまいます。だって自然で可愛いので!。

目頭の肥厚性瘢痕は左がまだわずかに膨隆していますが、厚みが減って赤みも減っています。もう治ります。左は副涙点の影響ですから、時間が掛かります。右は白くなり始めました。

特殊な症例ではありますが、眼瞼はよく開き、重瞼も綺麗です。傷跡はまだまだもっと目立たなくなります。次回3か月をお楽しみに! 当初書こうと思っていたのですが、調べてからにしました。極まれな副涙点の説明です。

はじめに、みなさんは涙点を知っていますか?。涙道も?。涙腺とは違います。ああそうです。ドライアイの患者さんにプラグを入れる孔が涙点です。この面は眼科の分野ですが、涙道の 涙は涙腺が分泌します。泣く原因が何もなければ一日に数ccだけです。眼球を潤すためです。大部分は鼻に流れ出ます。顔面に漏れ出しません。泣けば沢山出ますから、鼻に流れる量を超えると顔面にあふれます。

涙が鼻に抜ける道を涙道と総称します。ここからは眼科領域でもありますが、形成外科医が取り扱う部位です。眼瞼の一部だからです。皆さん覚えておいてください。外傷等での損傷に対して再建が必要なことがあります。顕微鏡下手術が必要なので形成外科の得意分野なのです。

上下眼瞼の目頭の赤肉(涙湖と言って涙が溜っている。)のすぐ外側の縁に小さな(最少では径0.1mm)孔があります。これが涙点です。孔は盲端ではなく管に繋がっています。涙小管と言います。太さは外径1mm程度の細い管です。

上下の涙小管は、涙点から半円形のループ(上下あるから合わせると全円)を描き、合流して目頭の皮下の骨の窩にある涙嚢に挿入されます。涙嚢はから下に向かって鼻の中に開口する鼻涙菅があります。涙はこうして鼻の中に流れます。

ここで一つ、みなさんは疑問を持つでしょう。そんな小さい孔から細い管を通って流れるのかと不思議でしょう?。実はポンプ機能があるのです。洋語でLacrimal pump systemと称します。実は私の医学博士取得時の副論文(3通の原著論文を要します。)です。三次元画像で描出しました。ひと言でいえば眼輪筋が収縮することで毛細管現象を起こして、涙を涙点から吸出し涙小管ないから涙嚢へ溜めます。後は重力で鼻涙菅から、鼻腔へ流出します。

何故この部分を研究したかというと、目頭部の解剖は目頭切開に重要だからです。一般人の中には医者は何でも知っていると思っている人が多いのですが、細かい解剖は学生時代には習いません。専門科に入ってから関係する専門分野の勉強をします。しかも、眼瞼の解剖には細かい変異が多いからです。だって一重瞼と二重瞼だけでも変異です。人類(Homo sapiens)がアフリカで発祥した際には二重瞼で作られました。一重瞼はアジアでの寒冷地適応による突然変異です。また蒙古襞もアジア人に特有の変異で、一重瞼と同座の遺伝子上にあります。これまで何回も強調してきました。だけど、よく判っていないしかも細かい部分の立体的な構造は解明されていない点が、まだまだ沢山あります。

私はちょっとですが研究したので、眼頭部分の解剖には詳しいつもりでした。だからこそ目頭切開を得意としています。ところが本症例は思いがけない先天的異常を持つ症例でした。副涙点です。ごくまれな先天性異常ですから、副涙点を伴う患者さんに目頭切開を施行したのは初めてでした。

前置きが長くなりました。副涙点がある為に手術後経過が通常と若干違う説明をしようを思ったのです。右の副涙点が影響している様です。実は順天堂大学形成外科から手伝いに来ている若い有能な医師が立ち会っていましたが、彼と共にさらに勉強した内容を次回に説明したいと思います。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。