2018 . 9 . 13

口周りの手術を別々に。白唇部短縮術からするのもありです。経過が早い。

症例は25歳、女性。本年3月に口周りの手術を希望されて来院。確かに白唇の長さ=鼻柱基部〜Cupid’s  bowの人中部は20mmと長い。顔面縦比を測ると、上顔面56㎜:中顔面58㎜:下顔面68㎜と下が長い典型例です。その比率は上口唇長(白唇+赤唇)28㎜:下口唇長(赤唇+頤)45㎜で上下口唇の比率は黄金比の5:8に近い。つまり下口唇も上口唇も長い。E-ラインは5mmプラス(口唇突)。顔面部品横比は、内眼角間35㎜:鼻翼幅36㎜:口唇幅50㎜と黄金比の5:8に合わせると、口唇幅は5mm拡大しても良い。この様に診察したが実は4月に骨切り予定とのことなので、予め口唇の診察を受けておこうと考えた賢明な患者さんです。

4月に再来しました。頬骨骨切りと下顎V字切除+頤前突術でご覧の様な顔面骨格で来院。頬前と額に脂肪注入、眼瞼切開も受けて、口角下制筋にBTXしたが効かなかった。つまり口角挙上も併施したいとの希望もありました。ただしその後に脂肪注入の2回目を予定しているため、その後顔面の側方の印象が変わるため口角挙上術は見合わせた。でもギリギリ3か月しか待てないため白唇短縮術を6月9日に手術を予定しました。

下顔面のうち、骨切り術で頤は短くして、前突したので画像でご覧になれる様にE-ラインが整ったのに、上口唇だけが長い状態。5mm切除をデザイン。外反は赤唇のH-Aですから吸収されます。口輪筋を折り畳み、外反を目論みます。人中と弓は明瞭なので、作製しない。

先ず術前と術直後の画像を載せます。

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上に正面像の術前、デザイン、術直後。下の二列は両側面と両斜位の4方向。

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先ずは、白唇部短縮術を施行しました。まずは手術の当日の画像です。本症例の患者さんは骨切りを受けてから,満を持しての白唇部短縮術ですから、口周りのスッキリ間は既に得られています。要するに長い上白唇を短くしたらほぼ完成する口周りです。やはりいつも私が強調してきた様に、口周りの手術は最終兵器です。ただし上に記した様に今後顔面脂肪注入の予定を立てていて、その結果口角付近の様子が変わると予想される為、口角挙上術は二次的に予定します。もし巧く行けば口角が挙がるかもしれないからです。そこんところは経過中に提示出来ると思います。

下に術後1週間目抜糸時の画像を提示します。人間の身体は術後48時間がピークの反応をします。腫脹、内出血、運動低下等のダウンタイムの酷さが、術後1週間でどのくらい軽快しているかはピーク時の程度に左右されます。本症例は如何でしょう。頭の良い、精神的に安定した人なので経過も軽いでしょう。

IMG_4360左図は術後1週間の正面像。

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上の4図は両側面、両斜位の4方向。上の術直後と比べて、腫脹の軽減が顕著です。確かに早い方です。閉口は?、力を入れていないで撮影しました。僅かに隙間が有ります。この程度は可愛いです。患者さんもそう言っていました。乾く程では無いそうです。力を入れれば閉じますが頤にも力が入るので特に意識しない様に奨めました。では、筋力の回復に伴う鼻の位置は?、さすがにまだ下がっていますが、鼻翼の広がりは治りつつ有ります。口輪筋の回復の方が早いからです。

既に可愛いです。口角挙上は不要な症例となるかも知れません。

そして術後2週間です。ターニングポイントです。

IMG_4823やはり口角は少し下がって見えます。

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これまで年間100例以上はこの手術をして来まして、標準的な術後経過は判っています。術後1週間の抜糸直後にはピーク時に比べて平均的に、50%の腫脹は残っています。そのため口周りの表情筋の運動機能はまだ低下しています。術後2~4週間で腫脹が軽減していき、結果表情筋の運動機能が回復してきます。トーヌスの回復と言いますが、これまでの説明を繰り返します。

口を閉じる筋肉は口輪筋です。本症例では術後1週間で隙間は僅かです。術後2週間では気にならないそうです。口を閉じる力は鼻翼も寄せますから鼻翼が横に拡がっているのは先攻して戻ります。そして上唇鼻翼挙筋というのが曲者です。回復が遅いだけでなく、時間差があります。鼻翼を引き上げる力は徐々に働いてきて、術後4週間では必ず元の位置に復します。ところが口角を主とした口唇を挙げる作用は遅いのと、口角起居上術を併用すると作用が不明となります。今回は白唇部短縮術の単独施行なので、上唇挙筋が弱い術後2週間の時期には口角が下がっています。ですが、上唇挙筋が働けば口角が挙がるのか、やはり形態的に相対的に口角が下がっているのかは現時点では不明です。

ですから、術後4週間で表情筋の回復が成った時点で口角の位置を評価しなければなりません。本症例ではその点が見ものです。

そして術後4週間です。創跡は赤いですが、メイクすれば見えません。拡大像では創跡は谷ですが、Nostril sill,鼻の孔の底の土手の麓の折れ返りにありますから、色さえ無ければ自然な形になります。さて口角ですが、特に拡大像では下がって見えます。口は力を入れないと隙間がありますが、これはこれでセクシーです。

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4方向では口角が下がって見えません。白唇のカーブは外反してC−カールが見られます。

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とにかく可愛い口唇の印象です。

そして術後3ヶ月で来院されました。

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術後3ヶ月で創跡は目立ちません。そして全く拡がっていません。赤い線はピンクになり、メイクで見えません。両側鼻翼部の横の余剰皮膚の膨隆も消失しました。鼻の位置も元に戻りました。私が行なった人中部を中心とした上白唇部短縮術の経過としては通常です。単独症例ですから、早い方ですが、術後3ヶ月では口周りの手術症例中の95%以上が完成しています。

ところで口角挙上術に関しては見合わせましたが、患者さんは迷っています。こうなると口角の下垂は口周りの印象の一部を絞めるに過ぎないからです。頤形成でE-ラインはすっきりして品性が挙がり、長い白唇はすっきりして上下のバランスも黄金分割比になった。細い頤と短い上白唇の対比が女性的。白唇がC−カールして、下がった口元の中に赤唇が突。セクシーです。残るは口角と鼻尖の位置です。私の客観的判断として、これらの要素が口周りの印象に占める割り合いは15%+15%と考えられます。これじゃあ患者さんも判断に苦しむでしょう。何れにしても患者さんは数ヶ月検討するそうです。たぶんまた、診察を継続していく症例でしょう。またお目にかかる事ができるのが私にとっても楽しみな患者さんです。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。

医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

手術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

6月から費用の説明を加えなければなりません。今回予め載せます。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。