たまにはって言っても、症例は沢山ありますが、ブログに載せる、所謂モニターになる症例が少ないだけです。部分的画像提示で20%オフですが、切らない眼瞼下垂手術だけなら、大概の人は希望しません。目頭切開の症例はどうせ切るなら、眼瞼下垂手術も切開法になる人が多く、ブログにも沢山提示しています。
今回は訳が有って、切らない眼瞼下垂手術と目頭切開の併施となりましたし、眉下切除術までを予定をしているので、今後にかけてブログ提示を申し出られた有り難い患者さんです。たまにブログ提示するので、詳しく説明して行こうと思います。前段で目頭切開、後日切らない眼瞼下垂手術を書き加えます。その後眉下切開後にも説明を加えたいとと思います。
症例は32歳女性。何回か来院してから、この手術の好きな私の下に辿り着きました。当初は眉下切開で腫れぼったい膨らんだ眼瞼を治したい主訴でした。ただし眉下だけだと数字的に、眼裂横径24㎜:内眼角間31㎜:角膜中心間57㎜と蒙古襞の拘縮が強く、目頭付近が突っ張りBow stringsになるタイプですから、蒙古襞の拘縮を解除する一辺4mmのZ-形成術が先行する方が良いと診断しました。眉下と同時は時間的に難しいから先ずこちらからしましょう。それに開瞼は若干弱ってきている。LF13mmと、先天性眼瞼下垂症では無く、後天性腱膜性眼瞼下垂ですからNILT( 切らない眼瞼下垂手術)の適応です。NILTをすると上眼瞼の腫れぼったさが線の上に移動するから、蒙古襞と同時にNILTを先行しておき、眉下を後日でも可能だと判断しました。
上のラインに合わせてNILT3と、蒙古襞の稜線に沿ったZ−形成術を施行する予定になりました。手術当日に、もう一度二重棒(ブジー)を当てて幅を決めるシミュレーションしてラインは右のラインのさらに1㎜上にデザインしました。目頭はいつもの様に、一辺4㎜のZ−形成です。
画像は3列。両眼瞼部、左右の近接像。
術前は上に書いた通り眼瞼が腫れぼったいだけでなく、皮膚と瞼縁の高さが同じ、つまり奥二重で、瞼縁も挙がっていません。`黒目`が隠れています。
術直後の撮影時には開いてくれませんでした。お疲れさま!状態です。 創があるので翌日に診せてもらいます。開瞼は良好で、皮膚も瞼縁より上にある二重瞼です。でも線の上の軟部組織(前葉)は、持ち上がった分ボテッとしています。もちろんいつか眉下で切除をしましょうね。目頭の創の経過は順調です。
今回はまた目頭切開の術式について説明します。 その前に、蒙古襞は目頭部で涙湖(赤肉)に被さった皮膚の襞で、私は水鳥や蛙の脚の水かきに凝らしています。実際人には水かきはありませんが第一指間(第一指:親指と第二指:人差し指の間)を拡げたカーブに似ています。実はここからヒントを得たのです。 形成外科領域では、やけど等の外傷をを治します。やけどで指間が引き攣る(野口英世の指)と、開かなくなります。形成外科医はこれを治したくて、Z−形成術を施します。指が普通に使える様になって喜ばれます。私は2例経験があります。野口英世博士も形成外科医がその当時存したら人生が変わっていたでしょう?。他にも外傷ややけどで、足背や、前頚部。わきがを昔の手術法で切除された(術者は父ですが・・)結果の引き攣れ等々を治した事があります。
どの場合でも引き攣れ=拘縮は創跡が瘢痕になって縮まり伸びない為に困るから治します。そこで実は蒙古襞は外傷では無いのですが、先天性の引き攣れ=拘縮です。東アジアで発生した遺伝子DNAが蔓延り日本人では程度の差こそあれ、必ず蒙古襞を持っています。私もちょっと被っていますし赤肉全部が見えません。白人は皆蒙古襞を持っていませんから、赤肉が見えます。ただし蒙古襞は一重瞼の遺伝子DNAの隣にある為、一重瞼の平均的蒙古襞と日本人の二重瞼の平均的蒙古襞は差があります。内眼角間距離として約3㎜の数字的差です。 その様な訳で、一重瞼を二重瞼に変える重瞼術をする際には蒙古襞を二重瞼の正常値に近づける目頭切開を併施するべきです。自然な形態にするべきです。ただし蒙古襞にはもう一つ重要な要素があります。引き攣れ=拘縮を起こしています。先天性に皮膚の突っ張りを伴います。上に書いた様に、突っ張るから伸びません。指が開き難いのと同じく目を開き難くしています。一重瞼の患者さんが眼瞼下垂症状を呈するのはここにも原因があります。しかも蒙古襞は目頭側にしかありませんから、目頭付近だけが開き難いので、吊り目状態になります。アジア人がSlant eye,吊り目野郎と揶揄されるのは(MLBで事件がありました。)この為です。 拘縮にを伸び易くする為には手術法として、植皮や皮弁法がありますが、上に書いた様にZ−形成術が最適なのは、私達ベテランの形成外科医はとっくに理解しています。1996年に韓国で発表され、私は施行しました。
10年前にデザインが改良され現在の術式が当院では本邦独自の方法として行なって来ました。その後真似て行なおうとした医師が居りましたが、いかんせん美容外科医で形成外科のトレーニングを積んだ医師は少なく、知性が足りない為に彼等(特にチェーン店の若造)には理解出来ない様で、他院で受けてちゃんと拘縮解除された症例には出会っていません。それどころか修正術を私達が加えた症例が数例あります。
何度も言いますが、Z−形成術は拘縮解除を目的とします。そして水かきや蒙古襞に対しては除去の効果もあります。一辺4㎜のZ−形成術では、襞が縦に3㎜伸びて、横に3㎜(ただし裏と表に皮膚があるため半分の1.5㎜)退きます。残念ながら今回はデザインの画像を忘れましたが、図示すれば判ると思います。たまに提示する図で下に説明します。
形成外科医にとってZ-形成の術式と幾何学的な理論的なデザインはお手の物です。一辺4mmの60度のZ-形成は横方向に1.25mm開いて、縦方向に3mm伸びます。
上図の如くのデザインです。abを蒙古襞の稜線に沿って引いてから蒙古襞の表裏にcabdをデザインして、正三角形の皮膚を入れ替えると上記のような形態変化が得られます。幾何学的に数字通りの変化が見られます。実際には三角形の皮膚(三角皮弁)を眼輪筋ごとめくり増すが、下に靭帯と涙小管があるので、解剖を熟知した形成外科医でないと難しい手術です。
最近涙小管の説明はしましたよね。私の専門分野です。 症例の画像を診ると、本当にその様な形態と機能の変化が得られています。次回は切らない眼瞼下垂手術の説明を致します。
下に抜糸時の画像
開瞼量は力の入れ方でこんなに違う画像になります。下の近接画像でもよく開いています。
どう見ても形は良いです。傷跡はまだ見えますが何れかは見えなくなります。
閉瞼時は、糸のかかった点がまだ見えますが、これも消えます。 切らない眼瞼下垂手術の詳しい説明はを今後書き加えていきます。
下に術後2週間の画像。
下に術後1か月の画像。
術後3か月近く経ました。
両側眼瞼像は撮影距離を変えて二葉。上左図は約1m、上右図は約50㎝。近くから撮って「カメラのレンズを視て下さい。」とお願いすると(確かに視ている)眼球が寄ります(医学的には輻輳と言います)。それでも、寄り目に見えません。患者さんも気にならないそうです。目頭切開術を一辺4mmのZ-形成法で施行すると、蒙古襞の拘縮は解除されてきつい感じが解消するのに、内眼角間距離は2mm程度しか近づきません。結果的に自然な形態を呈して、機能的には開瞼の向上に寄与します。
近接画像でも目頭の傷跡は目立たないのですが、わずかに肥厚性瘢痕を呈しています。もう一か月内服薬で軽快を待ちましょう。来月まだ目立つようなら、ステロイドの局所注射をします。
問う訳で医売れにしてももう一回画像を戴けると思います。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。
症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。